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#contents
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*導引根源の訓 [#s13185a9]
 (現代語訳)
 
 ある人が問う。
 「諸々の病気は何が根本原因なのか。」
 
 答えて曰く。
 「つかえ滞ることによって起こる。」
 
 また問う。
 「治療術はいくつあるのか。」
 
 答えて曰く。
 「鍼灸薬按摩祝由の五法のみ。ひとつも捨てることは出来ない。
  喩えれば、
  (五行の)水が親ならば火木金土は必要ない、
  心臓が中心なのだから肝臓、腎臓、脾臓、肺はなくてもよい、
  薬があれば鍼灸按祝など必要ない、
  といって他を捨ててしまうのと同じ意味だ。
  世俗の人は見た目や風聞に親しみ、薬の効果がなければ早計にこれも
  定めと諦めてしまう。
  養生に深く志すのならば、五法ともに奥義を究め明らかにするべきだ。」
 
 
 扁鵲伝にこうある。
 「垣の一方を見る、髄を搦し荒を採り幕に爪し腸を洗う。」
 
 澄相公は言う。
 「無病長命、虚を実と為し、老を若くなす。」
 
 両公が述べていることは、按摩の究極の根源を要約したものだ。
 能く工夫しなさい。
 
 「垣の一方を見る」とは、外から見て内を知ること、
 病状を見抜き覚り知ることだ。
 
 「髄を搦し荒を採り幕に爪し腸を洗う」とは、肉筋を扱い、
 骨髄を治療する業(わざ)だ。
 
 本文にほとんど註釈してある。
 これを見て鍛煉しなさい。
 
 澄公が「無病長命」と言うのは、常に按摩していれば諸々の病気に冒され
 ることなく、もし病気になったとしても教えのように行えば、たちまち癒
 されるだろう。
 
 稽叔夜養生論にあるように、按摩をしていれば神仙になるとはいわないま
 でも、千歳までや六、七百歳までは寿命を保つことが出来る。
 
 「老を若くなす」とは、年を取ると肉は結ぼれ皮膚は皺になり筋は枯れ骨
 は硬くなる。
 按摩して骨のように硬くなった凝りを砕いて肉とすれば、痩せおとろえず
 に筋骨が潤い、老人になっても若くなる事は疑いない。
 
 「已病を治さず、未病を治す」とは、平生病気ではない時に、既に病気に
 望んでいるかのように養生するということだ。
 病気になってしまってから治療するというのは、まるで戦が起こったのを
 見て慌てて矢を作り出すようなものだ。
 この心得は重要である。
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**内容 [#r596e7ac]
導引(按摩)の根源的教えを、素問に習った問答形式ではじめています。
-病気の根本的原因
--つかえ、滞り
--藕絲(気血の通路)の閉じ、結ぼれ(「藕絲の訓」)
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次に、治療術の種類と重要性を述べています。~
ここまでは引用ではなく架空の人物の問答なので、本書オリジナルの主張なのでしょう。~
-治療術には、鍼・灸・薬・按摩・祝由の五法があるのみ
-ひとつの術のみを極めるのではなく、五法すべて極め明らかにしなさい


鍼・灸・薬・按摩はそれぞれに専門職が存在し明らかですが、祝由が今ひとつ不明です。~
同年代の和漢三才図絵をみても職業としての鍼毉(はりたて)、按摩(導引)、醫(くすし)は出て来ますが、祝由に相当する職業は掲載されていません。~
「五法ともに奥義を究め明らかにするべきだ。」と書かれている以上、臨床として学ぶべき何らかの技術体系があるがずなのですが、何が祝由に該当するか分かりません。涙)~
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ひょっとしたら、ここに書かれている「五法すべてを究め明らかにしなさい」というのは、ひとつの理想論なのかも知れません。(その割りには文字数が多くて気合いが入っている)~
当時、鍼灸のスペシャリスト=鍼毉(はりたて)、按摩のスペシャリスト=按摩師、薬(本草)のスペシャリスト=醫師、がそれぞれ自らの専門分野ひとつを究めんとしていたのが現実ですし。~
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我が国の書物中按摩の文字が見えるのは大宝律令(701)が最初ですが、その第二十四「医疾令」には按摩博士と並んで咒禁博士が定められています。(「日本における按摩の歴史」)~
「按摩咒禁生学習条」には~
『按摩生は、按摩、傷折(しょうせつ)[打ち身・捻挫・骨折]の治療法、及び、刺縛しばく[針で悪~
 血を瀉出したり、骨折過所を固定したりする]の技術を学ぶこと。咒禁生は、咒禁(まじない)し~
 て邪気を払い病災を防ぐ方術を学ぶこと。みな3年を期限として成業させること。       』~
とあります。~
当時治療術としての按摩を復興させんとする導引口訣鈔が、大宝律令に定められし当時の咒禁術をも掌中にした按摩博士を夢見ていたのかも知れません。~
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参考として川崎生泉/著「新編療術極秘録」から、我が国に古代から伝わる禁厭(まじない)法を「日本古代の薬按摩祝由」に掲載してありますが、導引口訣鈔中の祝由と関係あるかはまったく不明。~
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