*25-衆-社会労働委員会-11号 昭和31年12月13日 [#sffa7fda]
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''○藤本委員長代理''
 次に、医業類似行為に関する問題について発言を求められておりますので、これを許します。
受田新吉君。

''○受田委員''
 今議題にしていただきました昭和三十年の法律第百六十一号の、いわゆる医業類似行為業者に対する法律の第十九条に、療術既得業者に対する措置が三年の期限付で示されておるのであります。
これに対しましては、特にその既得権者に対する特別の考慮を払うべきであるという理由をもって、本委員会の委員全員が付帯決議を付して政府に要望したのでございますが、その付帯決議は

「医業類似行為に関しては、政府は引続きその業態を把握、検討の上左記事項に関し適当なる措置を講ずべきである。
一、第十九条第一項の規定による届出をしたる既存業者であって、本法に認められたい者について猶予期間中に充分な指導を行い、国民保健上弊害のない者については、その業務の継続ができるよう適切な措置を速かに講ずること。」
と規定してあるのでございます。

    〔藤本委員長代理退席、大坪委員長代理着席〕

これに対しては当時の政府の責任者たちはひとしく付帯決議の趣旨を尊重する旨の答弁があったのでございます。
その後時日が経過いたしまして、その残存期間も漸次縮小されて参っているのでございますが、ことにこれらの既存業者の中できわめてまじめに経営をしている人々は、年令的にも、その他のいろいろな事情でこの期間内に政府が何らかの適切な措置を講じなければ、はなはだ不安定な状況に立っているのでございますが、当時のあんま師、はり師、きゅう師等の方々の中にも、まじめな意味のこれらの人々を擁護すべきであるという声も強く出ている今日、政府はこの付帯決議の趣旨をどのような形で生かそうとせられるのであるか、政府の所信をお尋ね申し上げたいと思います。

''○小澤政府委員''
 いわゆる医業類似行為に従事する人たちが昭和三十三年をもってその仕事ができなくなるということは、まことにお気の毒なことであり、何とかしてこれを救済しなければならぬと考えております。
その措置といたしましては、御承知の通り省令を制定いたしまして、できるだけ簡易にあんま師に転業できる道を開いてございます。
この三年間にできるだけ多数の人をこの方面に吸収いたしまして、その後の生活の道も確保できるような方向に進めて参りたいと考える次第でございます。

''○受田委員''
 その期間中にいろいろな事情で政府の考えるあんま師の試験というものの受験できない人々、それが今ここに書いてある付帯決議に掲げたところでございます。
その人々をどうするかを今お尋ねしているのでございます。

''○小澤政府委員''
 省令におきましては、講習等を受けられないような人の都合も十分考えまして、六カ月の期間内において十八日、たとえば日曜だけででも講習を受け得る道を開いております。
しかも講習科目、また受講者のその後の受験等につきましても特段の便宜をはかりまして、ほとんど大部分の人はこれによって解決できるのではないか、また解決するようにいたしたいものである、かように考えている次第であります。

''○受田委員''
 その大部分の解決できない人々の場合を付帯決議にうたっているのでございますが、その付帯決議の措置をどうお考えであるかをお尋ねしているのであります。

''○小澤政府委員''
 届出業者は全部で丁万二千九百二十名ございます。
この十一月末までの受講者数は二千数百名でございます。
第一年次の講習会の成績といたしましては、かなりよい成績ではないかと思うのでございます。
第二年次、第三年次、われわれといたしましても特段の努力をいたしましてこれに吸収いたしたい、かように考えておる次第でございます。

''○受田委員''
 ここに掲げられてあるのはそうしたいろいろな事情で受験できない人とか、あるいは老齢である人、あるいは長く何十年も業務に従事して今自分の信念としてあんま師の受験ができないといったような立場の人今日あらためてそういう機会に恵まれない人々、きわめてまじめな考えでやっておる人々を、何かの形で救うべきであるというのが付帯決議の趣旨でございました。
それが全員の趣旨でございましたが、そういう場合のそうしたまじめな意味の業者、長期にわたって業務を続けてきた信頼される業者に対しての御措置をお伺いしておるのであります。

''○小澤政府委員''
 さような人々に対しましては、都道府県を通じて極力講習会に受講することを勧奨いたしたいと思います。
まだあと二ヶ年も期間が残されておりますので、われわれの努力によりまして、転業というものをできるだけスムーズにいかさなければならないと考えておる次第でございます。

''○受田委員''
 その政府の措置によって最後に救われなかった人々に対してはいかようにせられるのでございますか。

''○小澤政府委員''
 今から見通しを申すことは困難かと存じますけれども、例外的にそういう人々が出ましても、これは制度の上においてやむを得ないのではなかろうか、かように思うのでございます。

''○受田委員''
 政府においては、そういう方々が出てもそれはやむを得ないこととして善処する、この付帯決議の線に沿うて善処する御趣旨であると了解してよろしゅうございますか。

''○小澤政府委員''
 私がただいま申し上げました趣旨は、三年間にあんま師の資格を取り得なかった人に対しまして、従前の医療類似行為を引き続き許すという趣旨で申し上げているのではございません。
万一あんま業に転業できなかった人に対しましては、社会福祉その他の制度の活用によりまして、生計困難な人等に対してはこれを救済していくほか方法はないのではなかろうか、かように申し上げた次第であります。

''○受田委員''
 それでは付帯決議の線とは違ったことになると思いますが、御所見はいかがでございましょう。

''○小澤政府委員''
 私が前局長から事務引き継ぎを受けた越旨は、ただいま申し上げた方針をもって前局長がこの問題に対処するというふうに承わったのでございます。
私はなお検討する余地があるかと存じますけれども、この趣旨を貫く段階に今日はある、かように考える次第でございます。

''○受田委員''
 残存期間のきわめて限られている人々の将来にわたっての業権の維持ということ、その人一代限りは何とかして守ってやろうという趣旨で本院は全員一致政府にそれを要望したのでございまして、政府もそれに対して善処するという御答弁があったわけなんでございますから、国会の付帯決議の線を尊重するという観念において政府は十分今後手を打つ用意を持っておられますか。

''○小澤政府委員''
 私に引き継がれた業務は、三年間の猶予期間にできるだけ漏れなくあんま業に転業活用することによりまして、衆議院におけるところの御決議を尊重していくというふうに引き継ぎを受けた次第でございます。

''○受田委員''
 それはここに掲げられた付帯決議の線に沿わない。
付帯決議はその間に救われなかった人を特に何とか考えてやれという意味でここにあげられてあるのであります。
この趣旨を政府は十分検討していただきたいと思います。
一つ付帯決議の当時の全員の声であった趣旨の再検討を十分していただいて善処してもらいたいと思います。

''○小澤政府委員''
 実は私がただいま申し上げたような趣旨において事務引き継ぎを受けたのでございますが、なお御発言の趣旨がございますので、その点については、今後研究いたすことにいたしたいと思います。

''○受田委員''
 その引き継がれた御意思が、付帯決議の線と違っておる。
前局長から受けた意思はこうだということでありますが、厚生省当局として考えていただきたいことは、わざわざこの付帯決議を規定したことは、この法律の初めに掲げてあるところの線に漏れる人があって、その人々が期間内に救済されない場合に、特にこれは考えてあげなければならないから、それに対する業権の維持をいたすように措置を考えるべきである、こういう趣旨であったのであります。
これはこの文書を読んでいただけばはっきりわかるのであります。
それをもう一度あらためて考え直すということでははなはだおそきに過ぎると思うのであります。
今あなたから、そういう付帯決議の趣旨をあらためて考え直すという御答弁があったので、これはもうそれ以上はやむを得ないかと思うのでありますが、政府としてそこを十分に含んで検討してもらいたい。
よろしゅうございますか。

''○小澤政府委員''
 先ほど申し上げました通り十分に研究してみたいと存じます。

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