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 *22-衆-社会労働委員会-53号 昭和30年07月29日 [#kd7059d1]
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 ''○中村委員長''
  休憩前に引き続ぎまして会議を再開いたします。
 
  あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案を議題となし、質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次許可いたします。
 
  この際大橋君の発言を許します。
 
 ''○大橋(武)委員''
  議事進行に関してでありますが、本法案につきましては、先般小委員会が設けられまして、小委員会でこの問題について審議があったはずでございますので、この機会に小委員長から報告を求められてはいかがかと存じます。
 お諮りいただきたいと存じます。
 
 ''○中村委員長''
  それではその意味も含めてお願いいたします。
 松岡松平君。
 
 ''○松岡(松)委員''
  ただいま大橋委員からの御発議もありましたので、その意味を兼ねまして質問を試みたいと思うのであります。
 
  政府委員にこの際お尋ねいたしたいのは、私ども小委員会において懇談した結果、十九条の二の規定並びに第一条のうちにお尋ねしたい事項があるわけであります。
 そこで第一条には「医師以外の者で、あん摩」とこうありまして、「(マッサージ及び指圧を含む。)」、こういう意味の規定がなされておるのであります。
 小委員会の懇談の際には、この点はまことに不明確である、固有の意味のあんまと固有の意味のマッサージと、固有の意味の指圧とは違うのであるから、この「あん摩」という抽象名詞のカッコの中に、あんま、マッサージ及び指圧が含まれるのではなかろうか、そう規定するのが厳格な意味で正しいのではなかろうかという意見でありまするが、政府当局において、この点の御説明を願いたいのであります。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  御説明申し上げます。
 あんまとマッサージとは、もちろんその起源は異にいたしております。
 すなわち、どちらかと申し上げますれば、あんまは漢方医学に発しておるし、マッサージは西洋医学に発しておりますけれども、その後における発展過程において、現在におきましては、すでに基本的には同一の基盤に立っていると考えられるのでございます。
 すなわち漢方医学の経穴経路、あるいは西洋医学の循環器障害回復あるいは皮膚内臓反射説、そういったものの上に立っておりまして、その施術方法といたしましても、押し、引き、もみ、なで、さすり、たたきというような行為によりまして血管あるいは神経筋肉等に刺激を与えて生体反応を試みるということになっておるのでございまして、また指圧につきましても、徒手をもって皮膚の表面からいわゆる神経系統を加圧いたしまして、神経なかんずく自津神経系を興奮せしめて生体反応を求める施術をいうのでございまして、これはあんまの施術でありますところの押し、もみ云々という行為の主として押す行為を特に強調するということになっておるわけであります。
 今申し上げましたように、理論的には、これらの三つのものは同一の基盤に立っておりますし、それから具体的な手法としましては、あんまの手法としてありますところの幾つかの手のいずれを特に強調するかということに帰するかと思いますので、従ってこれらのものは、やはり同一の範疇のものとして取り扱うことが適当であると考えられます。
 たとえば医師について言いましても、ひとしく医学教育を受け、医師の免許を受けた者が、ある者は内科方一面、ある者は整形外科方面、ある者は産婦人科方面を志してそれぞれ自分の特技を相手の状況によって適用していく、こういうような姿が、これらの問題については望ましいと考えますので、医師について、たとえば内科医師であるとか、あるいは外科医師であるとか、あるいは整形外科医師であるとか、そういったふうに初めから教育ないし免許等の関係を分けて考えることは好ましくない。
 そういう基本的な考え方、この三つの理論的ないし具体的手法の関係からいたしまして、ただいま御提案申し上げたような趣旨に規定をいたした次第であります。
 
 ''○松岡(松)委員''
  免許を与える面からかんがみますと、ただいまの政府委員の御説明はごもっともに考えられるのでありますけれども、あんまにいたしましても、マッサージ、指圧にいたしましても、これは一つの営業の業態でございます。
 従って、あんまにかかるか、マッサージにかかるか、指圧にかかるということは、いずれも現在の社会段階においては、治療を受ける人たちの目的が違うのであります。
 マッサージを受けたいという人、あんまを受けたいという人、指圧を受けたいという人、みなおのおの目的の趣旨が違っておるのでありまして、従ってその営業の業態が、もしあんまという一本の免許看板でありますと、現在までは、指圧においては現行法によって指圧の看板を許されておるのであります。
 それがこういうふうに規定されて参りますと、指圧の看板をはずしてあんまの看板一本になります。
 そうすると、羊頭を掲げて狗肉を売るというようなことに、すべてなるとは私申しませんが、看板はあんまで中身は指圧である、こういうような結果に陥る憂いが多分に感ぜられるのでありまして、現行法の七条の第二号の規定によりますと、第一条に規定する業務の種類しか掲げられぬことになるのであります。
 そうすると、業務の種類というのは第一条に制約されて参りまして、結局あんま、はり、きゅう、柔道整復というものが業種になる、そういたしますと、看板として出し得るものはあんまだけである。
 ところが、中身はマッサージであり、指圧であり、あんまである。
 あんまである場合は、これは問題はありません。
 ところが、マッサージである場合、指圧である場合に、治療を受けんとする人は意外な錯覚に陥って、そのためにいろいろな弊害が起るのではなかろうか。
 それのみでなく、実際それを行う業者として、不測の不利を免れないのではなかろうか。
 今まで指圧の看板を掲げていた者が、試験を通ることによってあんまの看板に変る、まことに珍奇な現象が起ってくると思う。
 小委員会の懇談の際にも、特にその点が問題になったのは、あんま師とそれから固有の意味のあんまというものをはっきり含めたらどうかという意見が出たのはそこのところからくるのであります。
 この業種というものの考え方は、政府当局におかれましては、あんま師であるという考え方でありますか、それとも固有の意味のあんま、マッサージ、指圧というものが業種ということになるのでありますか、この点を明確にいたしておきたいと思うのであります。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  ただいま御設問のごとく、マッサージあるいは指圧等の広告ができないということになりますれば、確かに相当不便な面が出てくることは、私どもも十分承知をいたしております。
 従って、あんま、指圧、マッサージ、それらについては、その自分の特技に従って、好むところに従って広告を可能にすることが適当ではないかと思いますし、そういうことにいたしたいと思います。
 その手段として、従来マッサージにつきましては、七条の二号の業務の種類のうちに含めて解釈をいたしておりましたけれども、なおこの点については、多少疑義もあるようでございますので、五号の厚生大臣の指定する事項によって告示をすることになるわけでございますが、それによってはっきりと、マッサージあるいは指圧も広告ができるというふうにいたしたいと思います。
 
 ''○松岡(松)委員''
  そうしますと、政府委員の御説明によりますと、従来業態というものはあんまであったけれども、現在の状態においては、あんま、マッサージ、指圧というものを、業態の実際の営業面における名称として広告掲示せしめるように、第五号の厚生大臣の指定によって、これをそういうふうに取り扱いたいというお考えと了解してよろしゅうございますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  お話しの通りでございます。
 
 ''○松岡(松)委員''
  それでは、次に第十九条の問題でありますが、第十九条の第一項によりまして、二十三年の届出によって現在営業を持続しておるところの指圧以外すなわち温熱、光線、刺激、電気に属するところの業種であるいわゆる医業類似行為者について、この法律によって試験を受けて、その試験に合格をしたならば、あんま師としての免許を与えるという趣意と了解いたしますが、しからば、これらの人々に課するに、もっていかなる科目を試験せしめるのでありましょうか。
 言いかえれば、学科については議論ございません。
 これはもちろん基礎医学の範疇ですから、あんまであろうと、マッサージであろうと、指圧であろうと、はたまた温熱、光線、刺激、電気、これらの人々であろうと、学科について試験を受け、これに合格させることは当然であります。
 しからば、その実技とは、あんまの実技の試験を受けるのでありますか。
 もしあんまの実技を受けるのであるということになるならば、これは試験を受けるというのでなくて、むしろ試験を受けさせるという名目だけを与えて、ここでお払い箱にする、要するに死刑の宣告を与えるに変りない、こういう結論が出て参るのであります。
 私ども小委員会の懇談の結論を申し上げますと、少くとも八年間その業種を固定して生業として営業することを認められておるのであります。
 それが、この改正によって今、断絶せられるということは、われわれは、少くとも万人の中に一人の生存権をも考えなければならないといわれておる今日の政治において、一万三千人の中の四割に該当するこれらの人々の生存を思うときに、あまりにも過酷な規定ではないか。
 今まで電気に専念従事し、その方法について研さんをきわめてきた人が、今たちまちあんまの治療の試験を受けろといわれても、これはなかなか容易なことではございません。
 また光線の技術について十数年あるいは数十年研さんをし、そうして多くの治療者から尊敬されて喜ばれておる、少くともそういう人々は相当の高齢者であります。
 それらの人々に、あんまの実技の試験を受けろとは、あまりにも聞えないというのが、私ども小委員会における懇談の際の皆さんの感じであります。
 当局におかれてはこれをどう処置するのか。
 ことに第十九条の二の第二項には、特例を設けるとありますが、この特例は果して実技に関する取扱いの特例を示すものか、あるいはまた学科についての特例を考えておられるのか。
 私ども小委員会の当時の話し合いの趣旨をここで申し上げますと、学科についてのさじかげんは絶対にしてもらっては困る、目の見えない人ですから、苦心をして学校へ出て基礎医学を学んできておるのに、電気、光線、温熱、刺激などというきわめて危険の多い仕事をしておる者が、基礎医学に関する知識に欠くるということはまことに危険である、学科については厳重なる試験を加えてもらわなければならぬが、実技については、一体あんまの試験を課するということは無理な話である、こういう結論が出ておるのであります。
 この特例という意味を、どういうふうに当局はお取扱いになる御趣意でありますか、ここで一つ御説明賜わりたい。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  ただいま既存の業者に対する同情心にあふるる熱誠なるお言葉を拝聴いたしまして、感銘いたしておる次第であります。
 この問題は、実はむずかしいといえば、大へんむずかしい問題でございまして、ただいま後段においてお話しになりましたように、現在目その他の不自由な中に二年ないし二年以上の養成課程を経て、そして知事の試験を受けて免許を受け、しかも社会に出てそういうような身体上のハンディキャップを持ちながら、社会の荒波に耐えてやっておられる人の立場から見ますならば、五体健全なる者が、たとい従来他の業務をやっておったからといって、養成課程も経ないで試験を受けられるとは、一体何事であるか、むしろわれわれと同じように堂々と養成課程を経て、試験を受けられたらいいじゃないか。
 これは、その人たちの立場から見れば、私はそういった心境というものは偽わらざる気持であろうと思うのであります。
 しかしながら、今回の措置は、いわば特別の場合でございますので、特にそういう学校、養成所等によります養成課程を経ないで受験資格を与えよう、それにつきましては、いわゆる解剖学、生理学というむずかしいような事柄について、あらためて試験するというように試験一点ばりでいくのも、場合によっては酷と考えられますので、講習等とも関連をして一部除いたらいかがであろうか。
 そういう意味においてこの十九条の二の二項というものを置いた次第でございます。
 すなわち二項というのは、学科、実技を含めた全科目について必要な特例を設けることができる趣旨でございまして、従来の考え方は今更申し上げた通りでございますけれども、この科目の問題につきましては、ただいまの御意見も尊重いたしまして、今後十分検討いたしたいと思います。
 
  なお実技のやり方につきましては、これはごもっともな点もございますので、私どももただあんまの実技一点ばりというふうには考えないのでございまして、十分実情に即し得るように考慮いたしたいと考えております。
 
 ''○松岡(松)委員''
  今のあなたの仰せられた実技の点でありますが、ここが一番問題になるところでありまして、小委員会の趣旨から言いますならば、学科についてはさじかげんは要らない、当然全科目を課すべきである。
 ただし、あんま試験の科目中、実技に関して必要な特例を設けてもらいたいというのが、小委員会の結論であります。
 その結果、まず指圧については指圧の実技、電気、光線、温熱、刺戟の場合においては、それぞれ従来行なってきた療法の実技について、必要な特例を設けていただくべきである。
 それでなければ、ほんとうの意味の救済法にならない。
 今まで電気、温熱をやってきた者に、あんまになれというならば、これはあんまの学校に行って、あらためてあんまの試験を受ければいいので、何も救済の意味はないじゃないか。
 八年業態を許したのだから、今ここで三年の猶予期間を与えて救おうとするならば、少くとも救済法の精神に照らして、この実技についてのみ特例が活用せらるべきものである、私はこういう考えを持っておるのであります。
 今伺いますと、講習その他を勘案してという、大へんなまぬるい御説明です。
 これでは、なかなか委員の皆さんも御承知あるまいと思います。
 この点について、重ねて申し上げますが、指圧については指圧の実技、電気、光線、温熱その他については、それぞれ行なってきた業態の実技について試験を行うよう、これは私ども希望する次第でありますが、この点について、もっと明確な御答弁を願いたいと思うのであります。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  私が先ほど講習云々と申し上げましたのは、生理学であるとか、解剖学であるとか、そういった基礎的な科目について、講習等ともにらみ合せて、場合によっては一部省略することもあり得るのではないか、そういう意味で申し上げたのであります。
 この十九条の二を置きましたゆえんのものは、先ほど来由し上げておりますように、いたずらにチェックするという意味ではございませんで、この規定を活用して、従来、いわば違った取扱いを受けておりました人たちが、正規の営業、正規の仕事ができるようになることを期待する趣旨でございますので、特に救済的な意味をもって考えておる次第でございます。
 先ほど申し上げましたように、実地試験のやり方等につきましては、これは試験に関しましては、審議会等の意見も徴しなければなりませんけれども、私どもとしては、十分実情に沿うように考究をいたしたいと港えております。
 
 ''○松岡(松)委員''
  今の点は、政府当局のお考えも大体五〇%ほど了解いたしました。
 つけ加えて申し上げますが、小委員会の際の、これは懇談の趣意でありますが、本来はこの約一万三千名の二十三年の登録者というものは、これは試験を課するというのは、むしろ形式で、この際全部もう救っていただきたいというのが、これは皆さんの趣意であります。
 しかしながら、はなはだもって危険きわまるものとか、はなはだもっていかがわしいもので、当然社会に害悪を及ぼすようなものについては、当然試験を課していただかなければならぬけれども、精神をそこに置いていただくということを十分にくみ取っていただかなければならぬ。
 
  最後に、もう一点お伺いしたいのでありますが、厄介なことは、指圧以外の業態について、試験に合格しますと、あんま師の免許をちょうだいするわけです。
 そうすると、看板を今まで電気治療何々所と書いてあったものが、その看板はあんま師何々ということになる。
 これではお客が来なくなってしまう、これではやっていけないのじゃないか。
 向う三年間はこの法規によって救われますけれども、せっかく救済法によってあんま師の資格を得て、商売をさせていただく、その当人にしてみれば、末長く生涯その電気治療という看板をかけたいという希望を持たれるのは、これは当然であります。
 これを現行法第七条の五号によって、厚生大臣は従来の業態の名称を、あんま師の下に「(電気治療)」こういう名称を用いることを考えておられるかどうか、これについて指示を与えられる御意向があるかどうか、これがかなり問題になるのであります。
 しかしながら、この医業類似行為の今後の基本的な制度の確立については、当局においても、十分その業態の内容または社会の事情等を勘考せられて、適切な処置をとられることと思うのでありますけれども、せっかく資格を与えられた者が、八年間看板を掲げてきたが、あんま師の免状を得たために、その看板をはずさなければならぬという、大へんな矛盾が起ってくるのであります。
 この点をいかようにお取扱いになるお考えでありますか、御意向を承わりたいと思います。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  あんまの方々も、ある程度の補助的な手段は用いているのが通例でございますけれども、広告につきましては、その補助的な手段については、広告をいたしておりません。
 それらとの均衡等も、これは大へんむずかしい問題かと思いますけれども、せっかくのお話でありますので、なお今後十分研究をさせていただきたいと思います。
 
 ''○松岡(松)委員''
  今ほど、質問に織り込んで、小委員会の懇談の内容を申し上げましたが、これはその際の委員会の結論としてまとまっておる事柄を、今ここで質問の形式において申し上げたわけであります。
 この点をつけ加えてこの質問を終ります。
 
 ''○中村委員長''
  野澤清人君。
 
 ''○野澤委員''
  今回のあんま師、きゅう師及び柔道整復師の政府提案の改正について、従来の療術師を、指圧を含むというここで第一条以了承されておりますけれども、この法律を作った趣旨はどういうところにあるのですか、もう一度御説明を願いたいのであります。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  現在の法律ができましたのは、昭和三十二年でございますが、従来のあんま、はり、きゅう、その他やっておりましたことを、そのまま原則約には引き継ぐという趣旨で、すなわちその際選択約行為を行わないで、この法律自体ができたわけであります。
 その後におきまして種々検討いたしました結果、いわゆる指圧につきましては、先ほども申し上げましたような趣旨もございまして、あんまの中に含めて将来とも生かしていくことが適当ではないか、そういうような結論に達しましたので、この第一条の修定をいたすことを提案をいたしたのであります。
 
 ''○野澤委員''
  重ねてお尋ねいたしますが、政府の方として、今度指圧というものをこの二百十七号の法律の中に採用したという考え方、これは技術的に必要があるという考え方で御採用になったのか、一応流れ来たった経過を見て、生業権を認めようという考えで立法されたのか、この辺のところをはっきりさせていただきたい。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先ほど申し上げましたように、理論的にも、手法的にも、あんまと区別して別個の取扱いをすることでなしに、一緒の取扱いをすることが、この法律の趣旨からいって適当であると鷺、えて改正を企てたのであります。
 
 ''○野澤委員''
  質問の要旨が的確に把握されないようですが、私がお尋ねしているのは、この法律の中に指圧というものを認めるということは、指圧の技術そのものを認めたのか、あるいは従来七、八年もほうっておかれ、しかも二、三十年もの生業権として、これは一応国民の中で何名かの方がこれによって生業を営んできておる。
 それをこの前の答弁で、あなたの方では、昭和二十二年に法律を搾った際に、少くとも療術行為者が転業することを目的として除外した、そうして経過的に八年間ほうっておいたのだというような説明だった。
 そうすると、ほうっておいても、なおかつそれだけの一万三千人かの亀業者がある。
 この隼業者の指圧という業態を一応認めて成文化しようという考えなのか、それともまた転業させようと計画しておったが、事志と違って、いまだに現存している。
 このままでは困るから、この生業権を継続し、さらにまた国家が認めていくのだという考え方で、業態そのものを成文化したのか、この点をはっきりさせていただきたい。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  ちょっと御質問の趣旨を捕促しかねまして、的のはずれた御答弁を申し上げて申し訳ありません。
 法律的に申し上げますと、第一条では指圧そのものを取り上げる、業者と離れた抽象的な指圧そのものをこういう格好で取り上げる。
 業者につきましては、業者の救済約な措置ということにつきましては十九条関係で考える、そういう趣旨でございます。
 
 ''○野澤委員''
  そうしますと、抽象的な指圧だけを法律の対象にした、こういう意味で、その指圧というものは、技術を認定してこの法律に包含したのですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先ほど来申し上げましたあんま、マッサージとの関係を考慮して、第一条の修正をいたしたのでございます。
 
 ''○野澤委員''
  あんま、マッサージと関連してということを、私はお尋ねしているのじゃないのです。
 指圧そのものを技術的に認めて法律化したのかということです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  基本的にはお話しの通りでございます。
 
 ''○野澤委員''
  そうしますと、指圧以外のものも十九条でこぼれていくが、それはかまわぬという考えですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  いわゆる医業類似行為と称するたくさんのいろいろな行為があるうちに、従来当方において検討いたしました結果、現段階においては、少くとも指圧についてはこういう格好で取り上げるということにした次第でございます。
 
 ''○野澤委員''
  指圧の意味はわかるのですが、あなたの方では、ばく然とした指圧ということで一応この法律を作品つた。
 しかもばく然としたという意味の内容に、今度は技術を認めているのです。
 ところがこの法文を見ると、業とする者はということで示してあるのです。
 業とする者はということは、技術の認定でなくて、生業を認定したものと私は思う。
 そこで、指圧を業とする者という意味はわかったが、それでは一万三千人の中に約三、四割の人を含むところの、あるいは電気とか光線とか、刺激、温熱というような業を営んでいた者を、どう扱うかということであります。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  この第一条に、あんま云々を業と云々ということは、現在業としているという意味では、これはもう御承知と思いますが、ございませんで、いろいろあんま、はり等の行為を反復継続して行おうとする者はということで、現在の業者と直接関連しての規定ではないことは、もうこれは十分御承知だと思います。
 さよう御了承いただきたいと思います。
 
 ''○野澤委員''
  聞いたことは全部返事して下さい。
 私の方では、それと関連して指圧以外の業者に対してどうするんだということを聞いているのです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  指圧その他この法律の第十九条の第一項によりまして、届け出た者につきしては、その業態等を区別することなく、救済措置として十九条の改正において処理をする、そういうふうに考えておる次第でございます。
 
 ''○野澤委員''
  十九条の一項を見ますと「昭和三十三年十二月三十一日までは当該医業類似行為を業とすることができる。」こういうことで、三カ年だけは大目に見ようということであります。
 ただし「その者が第一条に規定する免許を有する場合には、この限りでない。」こういうことになって、どんな業者でも、今までこの療術行為をやっていた者は、あんまの試験を取らなければならぬ、こういう規定であります。
 三カ年間だけ猶予期間はあるが、それから先はどうしようというのですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  三十三年といたしましたのは、それまでの間にできるだけあんま師の試験に合格をして、その方の仕事をやってもらうということを期待しての趣旨でございます。
 
 ''○野澤委員''
  期待するというその気持は、よくわかるのですが、現実に昭和二十二年のときに、この当分の間、八年間というものも、あなたの方では転業の期間として示されたのでしょうが、そうした圏外にはみ出されたこの医業類似行為者というものは、年令的に見ても相当の年配者です。
 しかも五十、六十になって八年間も過ぎた今日において、もう一ぺん勉強してあんまの試験を受けろ、そうしてあんまの技術を体得しなければ結局生業ができない、こういう結論になってくるのですが、少くとも日本の憲法で保障された生業権というものを中心にして考えていった場合に、この療術行為者に対する今日の法律改正というものは、技術尊重という面よりも、むしろ生業権というものを中心に心配されなければならぬと思うのです。
 そういうことになっておりますと、昭和三十三年の十二月末日までに、五十、六十になった者があんまの業を勉強して、あんまに転業しなければならぬということは、少し行き過ぎの考え方がないか、こういう感じがいたしますが、これについて、どんな御意見を持っておるのですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  これらの業能は、もちろん個人の生業と関連することは言うまでもございませんが、同時に国民の保健衛生、あるいは医療上の重大な問題でございますので、そういうような見地からも、十分見なければならないと思います。
 
 ''○野澤委員''
  国民の保険衛生から重大な問題だといいながら、これによって生業していた者が四、五千人あって、そのもの自体が二十代あるいは三十代ならいざ知らず、五十、六十になって、もうすでに世も暮れようという人人に対してこれだけの過酷な転業の法律を作って、しかも転業できない者は死んでしまえ、また食えなくてもいいじゃないか、こういう国家的な措置というものは、現在の日本の国情に適するとあなたはお考えですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  本来この法律は、昭和三十年限りということにはっきり法律で規定されておりましたのを、特に三十三年までと延ばした次第でございます。
 
 ''○野澤委員''
  延ばす延ばさぬということを聞いているのじゃない。
 そうやって人を殺すことを得意として、あなた方はこういうような行政立法をするのかと聞いているのです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  国民の保健衛生上重大な問題でございますので、こういった措置を妥当と考えます。
 
 ''○野澤委員''
  きわめて答弁が不誠意だと思うのだが、国民の保健衛生を私は聞いているのではないのです。
 該当するところの、要するに指圧以外の業者の生業権というものに対して見殺しにして、それでも満足だという考えかどうかということを聞いているのです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  十九条の二その他特に救済規定を置きまして、十分それらの人たちの立場も考えていこうと考えておるわけであります。
 
 ''○野澤委員''
  十九条の二の条文については、大体私の方でも、二項の「前項の者に対しては、あん摩師試験の科目に関し、厚生省令で必要な特例を設けることができる」という親切な行き方もよくわかります。
 しかしながら、指圧専業でいた者が、あんまの試験を受けるということとは事柄が違います。
 あるいは電気とか光線とか刺激とかいうようなもので生きてきた者のその生業を反面育成するということでなくて、これを何とかしてその生業を温存してやるという考えで、たとえば一代限りでもいいから温存してやりたい、こういう気持があるならば、これはまだしもでありますけれども、そういう生業権というものを根本から奪うという立法措置に対しては、一応疑義をはさまなければならぬ。
 これをただ単に正面切って、こういうことがある、ああいうことがあるというのでなしに、全体の厚生行政として、技術的にこれは尊重しなければいかぬとか、技術的にこれは認めたからそう整理していくのだということなら、これは理屈は立ちます。
 しかし今日の療術師の問題というものは、技術でなくて生業権の問題だと思う。
 今までそれで飯を食ってきた者が、三年の間に転業せいと言われても、五十、六十になって、もう技術の新しい勉強も困難、またむずかしい学科の勉強も困難というような人たちに対して、お前たちはもうその業態から離れてどうなってもかまわないのだ、こういうふうな野放しの行き方のような感じがするので、お尋ねするのであります。
 そこで政府としては、せっかくここまで特例を設けるならば、従来生業を営んできた、しかも二十二年に届出をしておった者に限り、一代限りこうするのだ、こういうあたたかい措置があってしかるべきではないか。
 それもできないのだということで、この規定で押し切ろうとすることになれば、要するに、善意に基く生業者というものの生活権というものが根本から奪われてくる。
 そうすれば、そ者に自殺をしいることになるのではないか、こういうふうな感じがするので、重ねてお尋ねを申し上げているわけです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  私は、この十九条の改正によりまして、十分それらの人たちが将来立ち行く道があり得るものと期待をいたしております。
 それからなお、電気、光線等につきましては、これは本来原則的にいえば、やはり医師の直接の指導のもとにやるべき仕事ではないかと思います。
 それらのもとに必要な人たちというものは、就職等のことも考えられますし、それらの点については、十分親切に考えて参りたいと思います。
 
 ''○野澤委員''
  親切の角度が非常にぼやけていますので、それでは反対は今度は、そうした電気とかあるいは光線というようなものを使用する者が圏外にほうり出されて、もう生業が続けられない。
 しかも、民間療法というものは、これはいつの時代でも絶えない、こういう状態にいるときに、あなたの方では、それじゃやみでやりなさいというような、医業類似行為と判定するのは政府がするのでしょうが、それをやみでやって勝手にどんなことでもやってよろしいと、こういう考えでこの法律をお作りになるのですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  これは従来、この部面だけでなしに、ほかの部面につきましても、取締りという点から見ますれば、確かにいろいろ不徹底な点もあったことは、残念ながら認めざるを得ないと思いますが、今後取締りの点につきましては、十分適正に行えるよう、末端機関等を督励して参りたいと思います。
 
 ''○野澤委員''
  議論してもポイントが合いませんから、これはもう長い時間かけても、どうしようもないと思います。
 
  そこで、厚生当局の現在の考え方というものは、こうした特殊業態に対して保護育成する、あるいはまた国民の保健衛生に対して危害を及ぼさないように、取締り面から厳重な一つの法律のワク内でこれを実施させる、こういう意味ならわかると思うのであります。
 ところが反面において、現在まで長らく生業としてきたものを野放しにして、これを法律的に殺すというような行き方をされますと、その反動には、法網をくぐってまでそれらの生業を続けなければならないせつぱ詰まった人々のあるということも、あなた方はお認めのはずであります。
 そうしますと、今後の問題としては、どうしても医業類似行為として指摘されて――しかも療術行為というものが、政府でも相当の費用を使って実際に害があるかないか、利益があるかないかということの調査もされ、二百数種類のものを逐次しまってきて、そうして五種目までに、ここまでしぼってきたということは、一応生業としてこれを認めてやろうという親心があったから、今日までの経過をたどってきたと思います。
 ところがここへ来て、一気にあんまになれということで、それらの人を圏外へほうり出す。
 これは、新しい人たちに、これらの試験によって新しい資格を与えて、五種目の生業をやれというのではありません。
 従来生業を続けた者は、憲法の趣旨に沿うて認めてやったらどうか。
 しかも一代限りでもって、これ以上ふやそうというような考えじゃない。
 新たにふやそうというには、これは別な法律を作って、めんどうを見る必要もありますけれども、とにかく従来医師の監督、医師の指導等によって、これらのものが行われたものではないのであります。
 そういうものを、ことさらにここで縛るということ自体は、いわゆる厚生行政の面から見て、やみ業者を育成する温床になりはしないか、この点を心配しているのであります。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  御心配の御趣旨は、よく理解いたしますが、基本的には、たとえば電気あるいは光線等につきましては、これはやはり医療行為として、医師の直接の指導のもとにやるべきものと考えられますし、それらの制度につきましては、今後十分検討をいたして参りたいと思います。
 
 ''○野澤委員''
  医師の指導のもとにやらせて、今後十分検討を加えるということでありますが、三年間に転業し切れなかった既得権者に対して、具体的に言うて、どの程度考慮される御予定ですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  今申し上げました医師の指導のもとに云々ということは、これはいわゆる医療の補助者の問題でございます。
 あるいは直接的には、これらのいわゆる療術行為をやっている人たちとは別途の考え方ないし制度として考えらるべきものだろうと思いますが、実質的には、ある程度の関連ももちろん起り得ると思います。
 これは三年の間に十分御勉強いただきまして、あんまの免許を受けるように御努力いただくように、御期待申し上げておる次第であります。
 極端な話からいけば、たとえば、指圧等を従来行なっておりましても、この正当な試験に合格しない場合も、これはあり得ると思いますけれども、できるだけまあ勉強していただくように御期待申し上げております。
 
 ''○野澤委員''
  試験に合格しない場合もあり得るが云々と言いますけれども、一万三千人の者が三カ年間熱心に勉強して、六十のはげ頭が一生懸命勉強して試験を受けた以上は、何とかこれを救ってやるという御趣旨ですか。
 それとも、またできない者は、どんどん振り落すという御趣旨ですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先ほども申し上げましたように、十九条の二というのは、救済的な意味を十分含めて考えておりますので、もちろん振り落すということを趣旨として置いた規定でないことは、十二分にお話しの通りであります。
 しかし、試験でありますから、これは医師の国家試験につきましても、あるいは学校の試験につきましても、その他の試験につきましても、全部が全部通るならば、これは試験をする必要も、ある意味においてないわけでございまして、一部の人が不幸不成績ということは、絶対にないとは保証できないわけであります。
 
 ''○野澤委員''
  もう一ぺんお尋ねしておきます。
 大体十九条の二の二項についての救済の趣旨は、よくわかります。
 ところが今度は、実際に現在既得権者として戦後八年間も生業を続けてきた療術業者の中で、あんまにはなりたくない、信念を持ってこの療術行為をやっているのだ、こういう者がたとえば出たといたします。
 そうした者が、五千人のうち千人あるか三人あるか、これは予測がつきません、仮説の議論になるかもしれませんが、要ば、その人はあんまの試験を受けろといっても受けない、こういう場合に、その人が無免許のままそうした業態を続けていくものが相当数出るとすれば、これらに対する指導はどうされますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  信念なり思想というものは、もちろんその人その人の考えに基くものでございますので、それを権力をもって右左することは、もちろんできないと思いますけれども、しかし、その信念というものが、法律の規定と抵触するということであるならば、これは国の秩序として、適当な措置をとらなければならないと思います。
 
 ''○野澤委員''
  国の規定として法律に照らして適当な措置をとると言いますが、適当な措置とは、どういうことですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  法律に違反をいたしますれば、違反として処理をする、罰に触れれば、罰として処理をするわけであります。
 
 ''○野澤委員''
  そうしますと、この一方的な厚生省の原案で、今度の療術業態というものの整理をするということは、技術的にこれを認めたのでもなければ、そうかというて、生業を主体にして法律をきめたのでもない、一定の厚生省のワク内にこれを強引に当ては一めてみて、それ以外に罪人が出ようと違反者が出ようとかまわない、こういう立法だと承知してよろしゅうございますね。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  さようには考えておりません。
 
     〔「もうかんべんしてやれ」と呼ぶ者あり〕
 
 ''○野澤委員''
  なんぼ質問をしても、これはピントが合いませんし、だいぶかんべんしてやれということでありますから、これらの一万三千人の者の救済については、もう一応厚生当局においても御考究を願って、国民から、厚生省は人を殺す省だというようなそしりを受けないように慎重な御検討をお願い申し上げまして、私の質疑を終ります。
 
 ''○松岡(松)委員''
  一点だけ。
 先ほど指圧その他の医業類似業者の面からばかり質問しておって、あんま関係の方の質問がまだあるのです。
 一体、従来のあんま師は、この法律の改正によって、指圧、マッサージを行うことができるのか、この点を承わりたいと思います。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  現在、法律によりまして、あんまの免許を受けた人たちは、その特技に従ってあんま、マッサージを行うことがもちろんできるわけでございまするから、今度の改正案がかりに施行になりました暁におきましては、指圧等も、その技術があれば行うことができます。
 
 ''○松岡(松)委員''
  その技術があるということは、別に試験によらなくても、自分があんま師の免状を持っていれば、マッサージ、指圧の看板を掲げてもよろしいという意味に了解してよろしゅうございますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  お話しの通りでございます。
 
 ''○中村委員長''
  横錢重吉君。
 
 ''○横錢委員''
  政府の提案されているところのあんま、はり、きゅうの原案について若干伺いますが、わが国には約十万人近い目の不自由な人がいると思います。
 そこで、盲人に対するところの職業の補導、あるいは職業の保護というようなことを、政府はどういうふうに指導してきたのか、まずその点を伺いたい。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  厚生省といたしましては、身体障害者福祉法――この中には、もちろん目の悪い方もおられますし、また手足の不自由な方もその対策になっているわけでございますが、その身体障害者福祉法によりまして、数々の福祉措置を行なっているのでございます。
 これらの点につきましては、社会局の所管でございますので、私、詳細を存じません。
 必要があれば、その方からお答え申し上げる機会もあろうかと思いますが、あんまの業態につきましても、目の悪い方がその業にいそしんでおられることが、事実相当多数に上っている現状でございますので、これらの法律の運用につきましても、今申し上げました身体障害者の福祉の立場からも、十分考えなければならないという心づもりでいる次第でございます。
 
 ''○横錢委員''
  今度の改正法案は、要するに、あんまを業としているところの盲人の人々と、それから指圧あるいは電気、光線等の比較的健康者であるものが業としているものとの間の、一つの業界における争いが出ているのではないか、こういうふうに見ることができる。
 従ってこの場合において、政府が今言われたように、身体障害者福祉法等によるところの指導を行なってきているならば、さらにまた、盲人に対するところの職業の保護あるいは職業の補導等を行なって生活の方法を与えてやらなかったならば、一般の健康者と違って、他の職業に転換することがきわめてむずかしい人々なのであります。
 従って、これらの点について、現在において何ら考慮をされないで、その他の人々と自由に太刀打ちをしたならば、あるいはその中には敗れる者が出てくるかもしれない。
 負けた場合には、職業転換ができなければ、生活保護に行くより方法がなくなってくるのです。
 生活保護に追い込むようなことをしたならば、これは政府としても、本来の考え方ではないだろうし、また本人としても、そこに行くことは好まないであろう。
 従いまして、ここにおいて何らかの職業に対する保護、補導というものがなければ、だめでありまして、こういうふうなことを背景にして出てきていると思うのであります。
 従って、一般の者から圧迫されないような指導のもとに、この改正案ができなければならないと思うのでありますが、政府案では、そういうような自信が持てますか、伺いたい。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先ほど申し上げましたように、身体障害者福祉法によって、もろもろの措置を講じておりますが、それに関連をした施設としまして、御承知の国立光明療という施設を三カ所置きまして、これらに目の不自由な方々を収容して、あんま、はり、きゅう等の業務を教えて、免許を与える等の措置を講じているのでございます。
 それはそれとして、この法律自体は、やはり医業に関する法律でございまして、直接的には身体障害者の保護あるいは救済ということを目的とした法律ではございませんので、この法律自体から、目の不自由な方々の保護を目的とするということは、多少食い違いはあるかと思いますけれども、この法律の運用につきましては、やはりそれらの人たちの保護あるいは福祉ということを念頭に置きながら、十分考慮していかなければならない、そういうふうな気持でおりますし、今後の運用につきましても、この点は十分肝に銘じてやりたいと思っております。
 
 ''○横錢委員''
  現在の状況からしたならば、今後社会福祉立法がどしどし進められ、また社会保障が強化される過程において、当然職業の指定というものが行われてくる段階になると思う。
 従って、あんま業というものは、将来盲人の指定職業となるように進まなくてはならぬと思うし、またそういうような職業の保護を与えなかったならば、これは生活上の保護も与えられない、こういうふうに考えて、この方向に進んでいただきたい。
 そういう観点から、この政府の原案がそういう方向であるか、またその自信があるかということをお尋ねしているのです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先ほど申し上げましたように、この法律自体は、いわゆる保健医療に関するものでございまして、身体障害者に関する福祉を直接の目的としておりませんので、従って、将来、たとえばあんまを目の不自由な方々の専業とするというふうな措置をとるということは、これは無理であろうかと思いますが、しかし、先ほど来申し上げておりますように、法律の運用については、お話しの点を十分考慮して参らなければならないと思っております。
 
  また、先ほど来いろいろお話がありました法律に違反をして免許を受けないでやっている者の取締り、特に五体健全にしてそういうような法律を犯している者の取締りにつきましても、今後十分努力して参りたいと思います。
 
 ''○中村委員長''
  受田新吉君。
 
 ''○受田委員''
  次長さんにお尋ねしたいのでありますが、まず政府は、あんま、はり、きゅう、柔道整復等について、それぞれどういう定義をお考えになっておられるのか、その定義を御説明願いたいと思います。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  あんま、マッサージにつきましては、先ほども申し上げましたようにあるいは経穴経絡あるいは循環器障害回復説、あるいは皮膚内臓反射説、そういった理論的な根拠の上に立ちまして、徒手をもって皮膚の表面から押し引く、もむ、なでる、さする、たたくなどの行為により神経、血管に刺激を与え、その生体反応を求めるものと考えております。
 
 ''○受田委員''
  医療行為に属する内容ではあるのでありますが、今の読まれた中のあんま、はり、きゅう、柔道整復には、医師の治療としての要素が入っておりますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  医療ないし医業という言葉は、大へんむずかしい問題でございまして、どれまでが医療に属し、どれから先が医療でないかということは、具体的な問題になると大へんむずかしい問題でございますけれども、広い意味でのこれは医療であると考えております。
 
 ''○受田委員''
  疾病の治療ということは、これは医師の行為として容認すべき分野であって、他の者にはこれは認めてはならぬというお考えを持っておられますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  原則的にはさようでございます。
 
 ''○受田委員''
  医師の治療として考えられるべき分野の中に、あんま、はり、きゅう、柔道整復の人々がなさっておる行為が入っておることが考えられますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  法律にも「医師以外の者で」云々というところから見ますと、そういうふうにも取れます。
 
 ''○受田委員''
  現在療術行為をしていると認められる、すなわちこの法律の第十九条の医業類似行為業者の定義は、いかようにお考えでございますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  率直に申し上げますが、理論的に考えれば医業であるか医業でないか、あるいは医療であるか医療でないか、すなわち医療であるものは医療以外でないし、医療以外のものはすなわち医療ではないということに、すぱっと割り切ってしまうべき性質のものであろうと思います。
 従って医者の医療であるからには、いやしくも事医療に関する限りは、それは医師法の医業に属すると解釈すべきでありますけれども、しかし先ほども申し上げましたように、医業あるいは医療という言葉は大へんむずかしい問題で、その問いろいろ具体的な問題になると議論もある、そういうようなことで、いわばボーダ・ラインというようなたぐいのものが、現実の問題として存在することになってきておると思います。
 これらも、理論的に言えば医業ないし医療になるか、そうでないかという、いずれかに割り切られるべき性質のものであろうと思いますけれども、それらの点が多少あいまいな点もございますので、現実にこの医業類似行為というような格好になっておると思います。
 それらのことは、十分法律の解釈等につきましては御存じのことだと思いますので、賛言は要しません。
 
 ''○受田委員''
  あんま、はり、きゅう、柔道整復の業に従われる人々は、医業類似行為の範疇の中に入るものと認められますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  法律の規定は「第一条に掲げるものを除く外」云々というふうに書いてありますので、この法文の解釈からすれば、そういうふうになると思います。
 本質論としては、いろいろ議論があると思います。
 
 ''○受田委員''
  療術行為に対する昭和五年の警視庁令は、いかなる理由でこれを出され、またそこに示されたものは療術行為の定義と認めて、政府は今日までこられたかどうか、お尋ねしたいと思います。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  昭和五年の警視庁令につきましては、これは地方庁の法令でもございますし、また相当以前のことでもありますので、立法の趣旨、目的はつまびらかにいたしておりませんが、とにかく現実に医師の行う医業、それから明治時代から法制的に認めまして、免許によって行なっておりましたあんま、はり、きゅう、あるいは柔道整復、そういったものについては問題はないけれども、その他について、いわゆる医業に類似するようなものが、現実にたまたま世上存しておって、これらを放置することは危険であるから、一応これの取締りの便宜として届出をさせようじゃないか、そういう趣旨に解釈をいたしております。
 
 ''○受田委員''
  その届出をするときの形式は、単なる届出であったか、あるいはその届出の際に条件が厳重に付せられておったか、そういう点についてお答え願いたいと思います。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  これは国の法律でありませんし、地方庁の法令でございますけれども、地方庁の法令としてそれぞれの条件は――警視庁令に定められてある条件は守らなければならないというふうになっておると思います。
 
 ''○受田委員''
  単なる届出であったか、あるいは器械器具等に対しての何らかの厳重な規定があったか、そういうところをお尋ねしておるのです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  器械器具の規格等については、取締り規則の中に規定をしてございません。
 
 ''○受田委員''
  療術行為をする人々に対する取締りのいろいろな規則は、これは厳格な禁止事項がなければ取締りの対象にならないと思うのですが、その禁止事項は、おもなものはどういうものであったでしょうか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  広告でありますとか、そういったことについて一規定がございます。
 たとえば、他の診療者の施術を誹諺し、またはこれを妨ぐるがごとき字句及び図画を看板ないし広告にしてはいけないとか、あるいは学位称号等を書いてはいけないとか、そういったもろもろの規定がございます。
 
 ''○受田委員''
  器械器具を使用するものを、無検査で認めるような規定になっておったとしたら、これはまた考えなければならないと思いますが、器械器具はどういうものであるかということについての検査、あるいはその器械器具が国民保健上に有害と認められる場合における禁止事項というものが、何かの形で示されておらなかったでありましょうか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  取締規則について見ますと、そういう規定はございません。
 
 ''○受田委員''
  療術行為の取締り規則の中にあげてあります「療術行為と称するは」ということは、療術行為の定義というべきものかどうか、警視庁令の解釈をいかようにお考えでございましようか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  この取締り規則の対象とするものはこういものである、そういう趣旨と解釈いたします。
 
 ''○受田委員''
  あんま、はりきゅう、柔道整復及び療術行為を業とする医業類似行為の人々、これらは、原則としては一様に医業類似行為だという解釈ができるというお話が今ありましたが、医業類似行為をするにんは、疾病の治療という点においては、医師の医師行為の分野に属するものとして、原則としては認めてはならない。
 しかし、医師以外のものでなし得るものは次のごときものであるという、医師以外のものがなし得る疾病の治療の限界、いろいろな規則というようなものを、ちょっとお示し願いたいのです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  いやしくも医業に関しまする限りは、医師につきましては医師法がございますし、歯科医業につきましては歯科医師法がございまするし、また調剤につきましては、これをここであげるのが適当かどうか存じませんが、薬事法がございます。
 そのほかそれに関連したものについて、この問題になっている法律がございますが、そのほかには承知いたしておりません。
 
 ''○受田委員''
  この「寮術行為と称するは」というところに、疾病の治療または保健の目的をもって光、熱、器械器具その他の物を使用しと、こう書いてありますが、これは今次長の言われた、そのほかのものに認めてないということの中に認めた部分がある一つでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  今御引例の規則は、これは国の法令でございませんで、一地方庁の法令でございますので、私どもも十分検討はいたしておりません。
 どういう趣旨でこれが書かれたものであるかよく存じませんが、いずれにしましても、この取締り規則の対象とするものはこういったものであるということであると思います。
 
 ''○受田委員''
  厚生省としては、十分地方庁の命令、規則といえども、御研究をしておかれる必要があると思うのです。
 特に厚生省は、そうした国民保健の総元締であるのでありますので、いやしくも国民保健に関するいろいろな規則等については、十分検討を加えた上に立法措置がなされなければならぬと思うのです。
 現にこういう立場で業を営むことを容認した形で政府が今日までこれを認めてき、また二十二年の末の法律では、法文の上に明らかに医業類似行為者として、これを取り上げることにしたわけでありまして、医業類似行為者として取り上げたということは、この警視庁令その他地方の命令を政府が認めた結果であると思うが、いかがでございましょう。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先ほど御引例の法律は、すでに失効いたしておる法律であることは、もう御承知の通りでございますが、この法律ができますまで、あんま、はりきゅう等につきましては、れっきとした国の法令があったにかかわらず、療術行為につきましては、何らそういった制度を設けてないということで、国の意思がどこにあるかということを御推察願いたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  医業類似行為としてこれを取り上げられておる以上は、地方庁の命令や規則というものも、十分それを根拠にして取り上げたのでありますから、その地方庁の命令に掲げてある療術行為の解釈、定義というようなものは、十分政府が研究してこれを取り上げていなければならないと思うのです。
 従って、疾病の治療という医師のやる行為が、この医師以外の人に認められておるというこの現実を確認して、当時法律案をお出しになったと認めてよいかどうか、お答え願います。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  現在の法律につきましては、ごらんの通りに、第十二条におきまして、何人も医業類似行為をやってはならないということの規定があることで、御了承を願いたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  あんま、はりきゅう、柔道整復を業とする人々は、疾病の治療を原則としてはやっておらないものと認められますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  疾病の治療に関係をいたしておることは事実でございます。
 
 ''○受田委員''
  疾病の治療に関係ということは、診断あるいは治療ということとつながるわけでありますが、医師以外のあんま、はり、きゅう、柔道整復及び従来認められた療術行為の人々は、疾病の治療をなす分野があるということを、結果的には政府は容認されるわふですか、関係ということは。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  あんま、はり、きゅうにつきましては、昔から国の法令によりまして、それらの業務を営むことが、試験免許等を経て認められておったのでございますし、これが厳密な意味でのいわゆる医業ということに、法律的にはいろいろな見解は成り立つと思いますが、少くともその限りにおいては、医業に関係をしておったことは事実であります。
 
 ''○受田委員''
  医師以外の者が疾病の治療に当るということは非常に危険であると、厚生省の態度ははっきりしておる。
 また原則としても、それが掲げられておるのでありますが、あんま、はり、きゅう、柔道整復業というものは、政府の意図としては、疾病の予防とかあるいは疲労の回復とかいうものをやるべきであって、疾病の治療というものは、原則としては考えない立場の方をとっておられるのかどうか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  一つの人間のからだでございますので、疾病の有無、健康の善不善ということは、なかなかきっぱりと分けられないと思います。
 従って、これは治療であり、これは予防であるというふうに、これらの業務をはっきり規定することは困難と思いますけれども、しかしながら、これはある意味での疾病の治療に関係をしておることは事実であろうと思います。
 
 ''○受田委員''
  事実であろうとは、どういうことでありますか。
 関係をしておることを、医師以外の人に認める法律的根拠をお示し願いたいのです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  従来の関係でございますれば、あんまあるいははり、きゅうに関する法令、それから現在の法律でありますれば、このあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等でございます。
 
 ''○受田委員''
  その中で、疾病の治療をなし得る規定は、どこに書いてありましょうか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  第一条「医師以外の者で、あん摩、はり、きゅう又は柔道整復を業としようとする者は、夫々あん摩師免許、はり師免許、きゅう師免許又は柔道整復師免許を受けなければならない。」
 
 ''○受田委員''
  それは疾病の治療をなし得るという規定の定義になりますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  あんま、はり、きゅう、柔道整復を業としようとする者は、こういったことでなければならないということでございます。
 
 ''○受田委員''
  これは非常に大事な問題でありまして、政府の考えているところは、医師以外の者には疾病の治療をさせないのだという基本的な原則は、しばしばここでお示しになられている通りです。
 従って、願わくば政府としては、疾病の治療などをなす者が全部医師であるようにしたいという考えは、非常に強烈である。
 従って、あんま、はり、きゅう、柔道整復を業とする者に対しても、これは医師の指導を受けて、その指導のもとに診断をやり、治療をさせ、また医師の補助をさせるという形をとりたい、こういう考えが基本的にありますかどうか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  理論的に考えれば、そういうことは確かに一つの見識だと思います。
 しかし現段階においては、そこまでは考えておりません。
 
 ''○受田委員''
  そうすると、あんま、はり、きゅう、柔道整復を業とする人々に、疾病の治療を許して認めている限界は、どの程度ですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  あんまあるいははり、きゅう等を行う限度でございます。
 
 ''○受田委員''
  まことに奇妙な答弁をされるわけでありますが、そういうような答弁で、この法律がごまかされてはならぬと私は思うのです。
 政府は、少くともあんま、はり、きゅう、柔道整復を業とする者に、疾病の治療の限界をある程度認めようとされるならば、はっきりとその理由を明らかにすべきであると思うのです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  ちょっと申し落しましたが、第四条に、あんま師云々は「外科手術を行い、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない。」第五条に、「あん摩師及び柔道整復師は、医師の同意を得た場合の外、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。」云々というふうに規定してございます。
 
 ''○受田委員''
  それは脱臼の場合とか、あるいは外科手術の場合とかいう一つの特例が掲げられてあるのでありますが、その掲げられてある特例というものは、疾病の治療の限界を示すものですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  限界という言葉に該当するかどうかは問題だと思いますが、少くともこういう行為をやってはならないということでございます。
 
 ''○受田委員''
  あんま、はり、きゅうをなさる人々が、医師の指導を得ないで勝手に治療をする、そのほかのことについては自由になし得るというふうに解釈してもよろしゅうございますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  この四条に書いてあること以外は何でもやれるという趣旨ではないと思います。
 
 ''○受田委員''
  そうしたならば、やってはならない限界はどこでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  これはあんま、はり、きゅう等を行おうとする者は、第二条に書いてありますように、一定の基本的な学問をおさめ、またそれに必要なる知識、技能をおさめて、試験を受けて免許を受けるわけでございますから、こういった基本的な知識、技能として客観的に許され得るものだと思います。
 
 ''○受田委員''
  それは非常にあいまいになると思う。
 だから、あんま、はり、きゅうは、どういう定義を持つかという、その定義をこの際政府は明らかになさるべきではありませんか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  これは学問的には、いろいろな定義があろうと思います。
 あんま、マッサージにつきましては、先ほど申し上げたのでございますが、はりは、治療針の刺入または接触によって皮膚、神経、血管、リンパ管、筋肉組織等に機械的刺激により、生体の治療作用を発現させることを目的でもってする療法であるということでございます。
 それからきゅうと申しますのは、モグサまたはほかの燃焼物質等を皮膚の上に直接または間接に接触させ、この発生する温熱を人体に作用せしむることにより、生体の治療作用を発現させることを目的とする療法であるということでございます。
 これは一応学問的にはこういうことでございますが、あんまにしましても、はり、きゅうにしましても、日本におきましてはずいぶん古くからある一つの方法でございますので、おのずからこれは社会通念的に、はりはこういうもの、きゅうはこういうものというふうに、これはみな常識的に考えておるものだと思います。
 
 ''○受田委員''
  古くからあるのでそのように考えるという、ばく然とした形でこの法律が出さておるということに対しては、はなはだ疑義を抱かざるを得ません。
 あんま、はり、きゅう、柔道整復の定義を、政府は明らかにされる用意はないのでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  あんま、はり、きゅうにつきましては、今大略申し上げた通りでございますが、この法律自体にそのものの定義を規定するということは、これはいわばときによりけりでございまして、こういうふうにあんまでありますとか、はりでありますとか、きゅうでありますとか、ずっと古くからありますものにつきましては、おおむねその社会通念的に規定せられておるものとして、その前提の上に法律の規定がなされるのが通例でございまして、たとえば医師について、医師以外の者で医業を行なってはならない、医業というものについて医師法には規定がない、それとある意味においては共通なことだと思います。
 さように御了承をいただきたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  医師以外の者で医師のする行為をなし得るということは、きわめて重大な問題です。
 その重大な問題が、関係があるように思うとかいうばく然とした形でそのままにされておるということは、いろいろな問題が残される。
 この際、きわめて明瞭に、その限界を明らかにしておかれる必要はないか。
 もう一つは、療術を業とした人人のなしている、今までの警視庁令で認められた疾病の治療というようなものも、これはあんま、はり、きゅうと同じように、医師以外の者が医師のなし得る行為をすることが認められたものであると断定されますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  警視庁令で療術行為に関する取締りとして規定しておりますことを、国として認めたことにはならないと思います。
 ただ取締りの対象として、便宜地方庁令でこういうような取締りのやり方をする、そういう規定であると理解をいたしております。
 
 ''○受田委員''
  この法律ができた当時の提案理由の説明の中に、転廃業をさせるということがあったということであります。
 私はもう一つ当時の速記録を出して見ますと、ここで取り上げなければならないことは、二十二年十二月五日における厚生委員会において、福田昌子委員の質問に対して、当時の東政府委員がお答えになられた答弁の中に、こういうことがあります。
 これは厚生委員会会議録第一類第七号でありますが、この中に、年限を伸ばした理由として
 
 「諸種の療治行為と申しましても、厚生省において現在資料をもっておりますものだけでも四百二十何種類があるのでありまして、かようなものの中には自然消滅するものもありましょうし、また当然陶汰されるべきものもあります。また中には将来はり、きゅうと同じような地位に取上げらるべきものもあると思うのでありまして、私どもとしては、この問題に対しては」、最後に「さような意味におきまして、よきものはますます科学的な根拠を得て将来の途がありましょうし、しからざるものについては、積極的に害ありと認めたものは、これを強力に抹殺いたします。」と書いてある。
 
 この意味は、転廃業させ、同時にその中でよきものはこれを取り上げていくという考え方、有害なものは抹殺するという考え方を当時の東医務局長が、政府側を代表した答弁として申されたものと解釈してよろしゅうございますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  当時の資料につきましては、この法律の提案者理由の説明、それから厚生大臣の答弁、そういったものも総合的に見なければならぬと思いますが、基本的には、この前にも申し上げましたように、また提案理由にも書いてありますように、存置の根拠も乏しいと考えられるので云々ということだと思います。
 
 ''○受田委員''
  これは期間を延長したことに関する重要な根拠的な政府側の説一明でありますので、私これを取り上げたのでありますが、昭和三十年十二月末をもってこの療術行為を禁止するというこの規定は、その中に今申し上げたよきものは将来また十分伸ばさなければならぬ、悪いものは徹底的に抹殺するのだという意味でここに答弁されているのですが、その中で、期限に関する議員の質問はこれ一項しかないのです。
 それに対して東政府委員の答弁は、医務局長としての最も的確な答弁だとされなければならぬのですが、これはほかの意味に解釈されたのですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先ほど申しましたように、基本的には法律の十二条の趣旨によるべきであるけれども、しかし即日十二条の規定を適用するのは適当ではないので、昭和三十年までということにする。
 しかし、その間になお検討の期間もあろうから、検討して適当なものがあったら、これに相応する措置をとろうという趣旨に御了解いただきたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  適当なものがあったらこれを取り上げるという解釈であるということになれば、これは政府としては話がわかってくる。
 この点、もう一切抹殺するという意味であるということを言うておられると解釈しておったので、質問したのでありますが、適切なものがあれば、これを認めようという政府の態度があったということは、今医務局次長としては、確認されたわけでございますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先般来申し上げておりますように、基本的には昭和三十年で打ち切る。
 その間に一つそれぞれの道を考えてくれということであろう、これが法律に対する基本的な態度である。
 ただ、なお念のために、いろいろ一つ検討もしてみる、その間に考えるべき点があったら考えようじゃないか、そういうことであると考えます。
 従いまして、従来におきまして種種検討いたしました結果、指圧につきましては、今回の措置のような措置をすることが適当である、その限りにおいて法律の修正を企てた。
 しかし、一定の期間を置かなければ試験を受けるということはできませんので、三年の猶予期間を置こうじゃないか、試験のための猶予期間を置こうじゃないか、こういうことであります。
 
 ''○受田委員''
  その中から適当なものが見つかれば、これを取り上げるという政府の態度ということになるならば、これは当然この法律の延長された理由の中に、そうしたものが考えられておったということになるわけですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  三年の延期をいたしましたのは従来検討いたしました結果、指圧について提案申し上げておるような改正の規定をすることが適当であると考え、その限りにおいて第一条の改正をした。
 ただ救済措置として、試験を受ける準備期間等を考慮いたしまして三年の猶予期間を置く、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  政府は八年の延長をした理由の中に、基本的には転廃業をさせたい、しかし、その間に調査、研究を進めて、よいものはとるという道も開きたい、こういうような考えであるならば、今まで医務局次長がこの委員会で答弁されたのとは、だいぶ様子が変ってきたわけです。
 転廃業をさせるのだ、一切の道はもう認めないのだという考え方をこの前は言われたわけですが、それを、そういう中に筋の通ったものでもあれば、取り上げようという御答弁が今あったわけです。
 この点は政府としては研究をして、療術行為の中で何とか道の開かれるものはこれを取り上げようという意図があったことを、今明らかにされたわけです。
 そこで次長としては、政府が今のような八年間において適切なものを取り上げたいという方針のもとに調査、研究されたその年度、それからそれに要した国費、調査の対象とされたいろいろな種目、これらについて御答弁を願いたいと思います。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  昭和二十四年度から昭和二十八年度まで約二百万円でございました。
 調査をいたした対象は、いわゆる療術行為の中のいろいろな種類に、あるいは指圧あるいは電気あるいは光線、そういったようないろいろな方面に及んでおります。
 
 ''○受田委員''
  ちょっと今聞えないところもあったのですが、それに伴う予算は、年次計画でどれだけ振り当てられたのですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  金につきましては、こまかい出入りはありますけれども、大体年々四十万円平均程度と御了承いただきたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  そうすると四十万円平均、五ヵ年継続されるということになると、二百万円の国費ということになりますが、その二百万円の国費は、予算に計上されておりましたか、あるいは政府内部における措置で……。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  予算で計上されておりました。
 
 ''○受田委員''
  それは、その中で筋の通ったものを見つけ出す、あるいは有害なものを処理するという意味が含まれた調査研究でありましたか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  御承知のように、いわゆる療術行為と称するものの中には、非常に種々雑多なものがございますが、これにつきましては、医療行政を行なっている者の立場として無関心であり得ないわけでございます。
 これについて十分検討をすべきものだと考えておりましたので、これらの予算を計上して検討いたした次第でございます。
 
 ''○受田委員''
  指圧をその中で取り上げられることにしたということは、よいものがあればその中からとろうとする一つの現われでもあると思います。
 その調査を依頼された五つの種類についてのそれぞれの依頼者の調査の報告書、たとえば横浜大学の電気療法の報告書のごときものは、どういうものが出ておるでございましょうか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  同じ種類のものにつきましても、必ずしも一人であるとか二人であるとかに依頼をしたわけではありませんで、各方面の方にお願いをいたしておったわけでございます。
 電気と申しましても、非常に種粕が多いのでございまして、これらの「ちの、代表的というと言葉が当らぬがもしれませんけれども、それらのものについて、学問的な立場から検討いたしてもらったわけでございますが、それらの結果を総合いたしまして、指圧を御提案申し上げているような内容のものとして規定をすることが適当であると考えた次第でございます。
 
 ''○受田委員''
  厚生省の調査された結果の結論が無害有益あるいは無害であるということが確認されたもの、明らかにされたものは、どんなものでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  たとえば電気、光線等につきましては、これはあんま、はりきゅうと同じような取扱いをすべきものではないと考えます。
 
 ''○受田委員''
  報告されたその調査の研究の結果をお尋ねしておるわけです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  たとえば電気、光線等につきましては、試験の結果といたしましては、やはり単独に施術することはいけない、そういうような報告になっております。
 
 ''○受田委員''
  その報告の書類のわれわれ議員に示すべきものを、一つこのあと休憩に入る前にでも、われわれ議員だけにちょっとお見せいただきたいと思います。これは重大な研究物であり、審査の対象となるべきものでありますので、お示しを願いたいと思います。これは各委員の御了解をいただきたいと思います。
 
  次は、八年間の期間において、政府としてはこの調査研究などをされて非常に苦心された、しかし結果は、三年間延長ということと、そうして指圧をあんまに加えるということが結論として出たということでありますが、この療術行為をする人々は、危険が非常に多い治療であるとかいうような、そういう総括的な御意見を持っておられるのでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  たとえば、電気、光線等につきましては、先ほどから申し上げておりますように、これは一種の医療行為として、医師があるいは補助者を使ってやるべきものである、単独な施術はいけないと考えております。
 
 ''○受田委員''
  横浜大学の檜物氏の調査報告書というものは、どうなっておるのでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  たとえば野一式蒸熱電気療法、これは単独施術不可、それから小池式電気療法、これも同じく不可、大体以上のような状況でございます。
 
 ''○受田委員''
  八年間に出た結論として、有害なものが多いということに政府は考えた、こういうことになりますと、今後その有害なものを認めて、三年間延長するというような考え方は、これははなはだ政府の考え方としては、矛盾した考えでないかと思うのですが、いかがでしょう。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  御推論の通りに、理論的に申し上げれば、それは少し緩に過ぎたことだと思います。
 従って、法律の規定通り本年で打ち切るべき性質のものだと思います。
 けれども、しかし、これは理屈ばかりでそういうふうにすることも、いかがかと思いますので、受験の準備等も考えまして、三年間認めることとしたのであります。
 この間においても、ただいまの御注意もありますので十分取締り等については、気をつけて参りたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  私は、政府が有害だと認められたものが残されておるとしたならば、これはあらゆる角度から、国の行政措置としても、法律的措置としても、これは怠慢だと思うのです。
 そういう怠慢なことをしておいて、そうして今日まで放置しておるという、そのこと自身に政府の責任があると思うが、いかがです。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  これは終戦後、いろいろな部面についても、その弊を免れないのでございますが、この部面につきましても、取締りが十分でながかったということは、これは残念ながら私も認めざるを得ないと思います。
 今後十分気をつけて、取締りの徹底に努力をいたしたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  私は、政府がそうした点において、はなはだ前後矛盾した考えを持ち、またその矛盾したやり方をしているということに対しては、はなはだ残念です。
 少くとも、現に社会に行われておる療術行為の中には、はっきりと、この間参議院で檜物博士が言われた言葉などによるならば、療術行為として認むべきもの、それは医師ほどの技術、知識がなくても差しつかえない分野のものがあるのだということも言うておられるし、また現に多数の患者が、その療術行為のいわゆる疾病の治療というものによって、きき目を受けて、実際において医師以外の療術行為によってりっぱに治癒している例が、社会にたくさん出ております。
 こういうものの実態を政府はつかんでおられない、ここに問題があるのであって、私は政府自身が、こうして実際に有害なものもあり、また無害であり有効なものもあるという実態を、十分きわめないでおるということを悲しむものです。
 現にわれわれとしては、療術行為の指圧は全部認める。
 これはみな無害であり、かつ有益である、そのほかは全部有害であるというような結論では断じてないのであって、この点に一つの大きな政府としての考え方の相違があると思うのであります。
 
  そこで、ここにおいて政府として一つ考うべきことは、この三年の間に、療術行為を業としていた人々を他の仕事に転換させる一つの例として、あんまになることを認める、こう言うておられる。
 ところが、松岡さんのさっきの御質問の中にあったのでありますが、長いこと国家が容認して療術行為をやってきた人々が、今さら看板をかけかえて、あんまの免許試験を受けることは困難であるが、まあとにかく試験を受ける、受けるが、その術技に関してはいろいろな特例は開かれぬかというお話があったのです。
 私は、政府がここでちゃんと特例を省令で設けるように聞いておるのですが、この省令の内容は、どういうものを考えておられるのですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  省令としましては、試験科目について特例を設けることができる。
 従って、私どもの初めの考え方は、実際問題としては、講習等とも関連をして、一部の科目を試験から除外をするということも考えていいじゃないか。
 これらの点については、これは審議会もありますことゆえ、専門的なことにも属しますので、その辺と十分お諮りをしてきめたいと思っておりました次第であります。
 
 ''○受田委員''
  お諮りするという政府の原案がなければ、この法律を出す資格はないと思うのです。
 政府はいかなる原案をもって臨もうとされておりますか、お示しを願いたい。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  初めの考えでは、基礎的な科目の一部につきましては、一定のいわゆる講習等、私の方で認定をいたします講習を受けた者については試験科目から免除する、そういうことを考えておったのでございますけれども、しかしこの点については、そういった科目については、むしろ除外すべきではないというふうな御意見もございますので、その辺については、なおよく検討をいたしたいと思っております。
 
  なお、これは科目の数の問題ではございませんけれども、先ほどからお話がありました術技等につきましては、これは実情に沿うように十分考慮をいたしたいと考えております。
 
 ''○受田委員''
  その技術の実情とは、どういう実情でありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  従来あんまを専業としていなかったという実情でございます。
 
 ''○受田委員''
  あんまを専業としていなかった、たとえば今松岡さんの御質問の中にあった電気、光線、温熱、刺戟等のそういうものについての試験を考えておるという意味ですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  指圧等もありますことゆえ、十分実情に沿うように考えたいと考えております。
 
 ''○受田委員''
  そうすると、その術技を尊重し、実情に即した術技の試験をやる、こういうことでありますが、今のお話によるならば、指圧も認められておるのだから、そのほかの電気、光線、刺戟、温熱等も十分これを術技に生かすようにしたいという意味でありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  後段におあげになりましたものについては、相当問題もあろうと思いますので、十分検討の余地があると思います。
 
 ''○受田委員''
  そうすると、あんま師免許は、術技に対して考慮をするということになれば、どういうところを考慮するかということの限界が、非常にむずかしくなってくるのでありますが、その術技というのは、どういう点の考慮でありますか。
 もう一度今の問題を除いて、考えておるところは、どういうところでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  一番具体的に申す形としては、試験問題を申すのが一番いいわけでございますけれども、まだ法律が通らない前からそういうことを申し上げるのも、いかがかと思いますが、考え方としましては、たとえば指圧等につきましては、純粋のあんまということもさることながら、指圧的な手法を相当加味した術技を試験のやり方として考えていいのじゃないか、かように考えております。
 
 ''○受田委員''
  局長さんは御多忙のようでありますので、局長さんに対して一言だけお尋ね申し上げてあとは次長さんで間に合うのですけれども、局長さんに一つお伺いしたいのであります。
 
  参議院はこの法律をこちらへ回すときに、参議院の総意として、この法律のほかに附帯決議を設けて、この三年間という猶予期間中に、指圧を除くそのほかの医業類似行為者に対して、政府として指導の上、有害ならざるものは業務が継続できるような措置を講ずべきであるということが附帯決議として出ておりますが、この附帯決議として出された参議院の総意を、政府としては尊重する意思があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
 
 ''○曽田政府委員''
  この附帯決議案は、昨日参議院において原案が認められました場合に拝承いたしたものでございます。私どもとしては、御趣旨に沿いまして、具体的にいろいろ検討いたしたいというふうに考えております。
 
 ''○受田委員''
  趣旨に沿うて猶予期間中に具体的に検討をしてみるということである。
 そうすると、政府としては、今まで、それ以外の者はあんまの免許を取らなければならぬという以外には救済の道がないことになっておったのに、別にこの参議院の意思を尊重した何らかの措置をとるという用意を決意されておるわけでありますか。
 
 ''○曽田政府委員''
  ただいま御指摘の点を、十分に検討いたしたいというふうに考えております。
 
 ''○受田委員''
  局長さんは、この医業類似行為、おおむねあんま、はり、きゅう、柔道整復等も、これは医師の治療行為に属する分野については、原則は医師がやるべきものであるというふうに考えて、これは皆さんと御相談のときに話しておられたのでありますが、原則は医師として考えておられることは、今日も間違いありませんか。
 
 ''○曽田政府委員''
  理論的には、ただいま申されましたような筋で考えております。
 
 ''○受田委員''
  その際に、あんま、はり、きゅう、柔道整復も、これは医師のやる行為のことについては一切禁止するのが本則である、しかし、目の見えない方々に何とか仕事を求めてあげるために、この人々のために、あんまその他には優先的に考えてあげるようにしたのであるというふうにお話しになっておられましたが、さよう心得てよろしゅうございますか。
 
 ''○曽田政府委員''
  ただいま申されましたような趣旨とあわせまして、あんま、はり、きゅう等につきましては、歴史的な沿革ということもあわせ考えた次第であります。
 
 ''○受田委員''
  医業類似の行為、これは言葉がまだはっきりしないと思いますが、とにかく医師以外で医師のやる治療行為をまぎらわしくやるものは、全部これは禁止するのが当りまえだという厳重なワクが厚生省医務局としてはある。
 従って原則は、身体障害者でいらっしゃる目の見えない方々に対して、とにかく優先的に道を求めてあげるのが趣旨であって、原則はあんま、はり、きゅう、柔道整復は、法律の体系としては認むべきではないのだという、医師の治療行為に類することを行うことは認めたくないのだということをおっしゃったことは、これは今後の厚生省の方針として、さよう考えられるということでありますか。
 
 ''○曽田政府委員''
  理論的に、根本的な方針としましては、ただいま言われましたような考え方を胸には持っておりますが、先ほども申し上げましたように、あんま、はり、きゅうというようなものは、目の見えない方々が現実に多数従事しておられる、あるいは日本で古くからこの術が行われて、民衆にも溶け込んでおるというようなこと、及びその実態等もかなり明確になっておる、かような事情で、今の程度のものは許可されてしかるべきものだというふうに考えております。
 
 ''○受田委員''
  目の見えない方々に優先的にこの道を開いていただく、これはわれわれが心から願っておる点です。
 しかし実情は、療術行為の人々よりも、無免許あんま、事実免許を得ずしてあんまを業とする人々がおびただしい数に上っておる。
 その人々によって、まじめな業をされている人々が非常に生活の脅威を感じている、これが実態だと私は思うが、目のあいた健康な方は、このあんま、はり、きゅう等は、原則としてはやられないことを希望するという政府の意図でありますか。
 
 ''○曽田政府委員''
  先ほどからも申し上げましたように、あんま、はり、きゅう等の制度が残っております一つの趣旨といたしましては、御指摘の通り、盲人に対する特別な援護という意味を持っておると考えております。
 
 ''○受田委員''
  これは厚生省としても、無免許あんまをなさっておる人々に対して、徹底的に取り締ろうとしないで、まじめなあんま業者が自分の生活を脅かされている実態の方が、療術行為の届出をして業を続けるわすかな数の人と比較して、影響力ははるかに大きいのです。
 この点政府としては、無免許あんまをいかに取り締ろうとしておるのか、これはきわめて重大な現実の問題として御考慮願いたいのです。
 
 ''○曽田政府委員''
  いわゆる無免許あんまの取締りにつきましては、従来とも努めて参りましたが、遺憾な点がないでもないということは、私どもも認めておるのであります。
 今後は、府県の当局をも十分に督励いたしまして、厳重に取り締るように努めたいと考えております。
 
 ''○受田委員''
  今、限られた療術行為をしてきた人々は、昭和五年から一応地方庁令でありましても、原則としてこれが認められてきた人々です。
 その人人が、社会に実害があれば、政府が取締りをしなければならなかった。
 しかし、取締りをしていない、現に社会においてこれが認められておる。
 また、非常に弊害があるものは、そこへお客さんが行かないようになるから、結局その人は自然淘汰で世の中から去っていきます。
 従って、現に療術行為をやっておる人々は、社会的な立場からは、相当の信用を得ておる人々が残されておる。
 それが届出をしておるものであるという限りにおいては、現実の問題としては、社会に害毒を残さないで、しかも届出をしてはっきりと業を営んでおるものと、われわれは認めなければならないのです。
 そうならなかったならば、それは政府の取締りが怠慢であったことになる。
 従ってこの際、現に業を続けておる人々に対する政府の対策が、この法案では不満足であるという意味において、まじめに届出をして何十年間もその業を続けて、社会に疾病治療の多く実例者を出して、社会からも尊敬されておる人々を野に埋もらしてはいけないのだという、まじめな意味の考え方が、参議院の総意となって附帯決議となったものと私は認めます。
 この点について、社会的に一応の信頼を持って患者がやってき、また疾病の治療をしておるというような形で行われておるこの療術行為に対しては、現実の問題としてこれを無視することはできないことを、政府としては考えなければならぬと思います。
 ことに参議院の附帯決議が、猶予期間中という限定はされておるのでありますが、その間において、社会的に貢献をしてきたこれらの療術行為に対する調査と研究を進めて、その実績の認めらるべきものはその業を続けさせるという具体的な措置を、今後早急に打ち立てられるという参議院側の決議に対して、今お尋ねをしておるのでありますが、今そういう用意をされておりますか。
 
 ''○曽田政府委員''
  あるいは言葉が少し過ぎるかも存じませんけれども、私ども今日まで仕事を続けてこられました、いわゆる指圧以外の医業類似行為を続けてこられた方々は、世間に貢献された面もあるかもしれませんが、また医療の体制を幾分乱しておるという意味において、医療行政上、遺憾な点がないでもないというふうに考えておるのであります。
 参議院及び当委員会におきましての皆様方のいろいろな御意向は、私どもも十分心にとどめまして、いろいろな方面からこの実態を十分きわめて、できるだけ正しい筋を出して参るというふうに努めたいものと考えております。
 
 ''○受田委員''
  局長さんにもう一言だけ伺います。
 私たちは、今後の問題として、社会的に身体障害者を優先的に考えていくという考え方に立った厚生行政、あるいは労働行政が必要だと思っております。
 政府としては、目の見えない方々に対しては、盲学校の卒業生をしてあんま術、あるいはマッサージ術を学ばせて、その業を修得させるという面以外に、あるいは文部省と折衝して学校の教師とするとか、あるいは音楽その他に関する業務に従事せしむるとか、あるいは目の見えない方々でなし得る他の実際の実技の方へ従事させるとか、会社、工場等に優先的にある比率を設けて、目の見えない人々、あるいは片手を失った人々とか、耳の聞えない人々、そういう方々を含めて、そうしたある程度の強制採用的な措置なども願うべきであるというような用意をされておるのかどうか、この点について、現在政府が考えておられる目の不自由な方々に対する対策を、お示し願いたいと思います。
 
 ''○曽田政府委員''
  失明者等に対しましての援護、救護の方策は、これは社会局が担当しておりますので、私から申し上げることはどうかと思いますが、もちろん厚生省といたしましては、その面につきまして、厚生省だけではなしに、あるいは文部省、労働省等と連絡を取って、できるだけの手は尽さなければならぬものと考えております。
 ただ、私どもの医療行政上の問題として取り上げられましたこの問題も、盲人の方々の生活というものには、きわめて重大な影響のあるものと考えております。
 私どももそれに対して、この私どもの立場からできるだけの御援助は申し上げたいというふうに考えておる次第でございます。
 
 ''○受田委員''
  国の基本的対策が、盲学校を出られた方々に対して、あんま、マッサージ等を中心にのみ重点が置かれるというこのやり方は、非常に局限された考え方だと思います。
 少くとも、政府は総合的な立場で、特にこの法律に関連する重大問題でありますので、身体障害者、特に目の見えない方方が、他の方面でどこへ伸びていったらいいかということで、広く目のあいた、からだの自由にきく人が譲り合って、その人々を受け入れるという態勢に、政府として早急に乗り出す意思はありませんか。
 
 ''○曽田政府委員''
  御意見でございますが、先ほども申し上げましたように、私の所管と多少食い違って参りますが、御趣旨のあるところは社会局といたしましても、また私どもといたしましても、大臣にも申し上げたいと思いますが、十分その方面に積極的な対策を進めて参るということには、御賛成を得るものと考えております。
 
 ''○受田委員''
  次は次長にお伺いします。
 これは少し具体的なものに入るのでありますが、電気とか光線とか、こういうものを特に禁止した理由、その理由を特に明らかにしないと、社会問題としても重大な問題を含みますので、これを明瞭にしていただかなければならぬと思います。
 従って、無害であるということが確認されるものにおいては、これは何らかの形で残さなければならない、そのまま営業を続けていかなければならないという結論が、参議院の附帯決議にも出ておるわけです。このことについて、厚生省としては、もう一つ進んで、光線や電気を使うのは、治療効果の上るものもあるが、それは医師の素養のない人がやるので結局危害が起るのだ、こう実は言われたと思います。
 しかし技術者として、技術をやる人が至るところの病院におるわけではありません。
 医者の中では、光線治療のような物療科をやる医者というものは、きわめて数が少いと思いますし、開業として物療をやっておるお医者さんがどれくらいあるか、他の医者との比較をしていただきたい。
 これは調べておいていただきたいと思うが、物療をやっておる医者はきわめて少い。
 しかし実際、医者の中には、この点は君の方の電気治療でこれから先はやってくれ、神経痛その他の治療をやってくれと依頼されて、現に技術をやっておる人たちもたくさんおる。
 また利用をする側から考えても、町に医者がおらぬというようなところでは、技術的にもすぐれておって、医師からもある程度の信頼を受けた人がその医師の指示を受けて治療に当っておる、こういう場合が実情だろうと思うのであります。
 しかも、現実に治療効果が上って、そうして多くの信頼を受けておる人たちが存在するということを考えたときに、こういう社会の実情を無視することは、できないと思うのであります。
 今お尋ねした中において、医者の素養はないけれども、技術者として医師から依頼されて治療に当って、非常に喜ばれておる人もあるという現実を考えたときに、療術行為そのものを禁止するという理由からは、こういうものははずされるべきではないかと思うのでありますが、その点、あわせて御答弁願いたいと思います。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  医師の数はちょっとつまびらかにいたしませんが、診療科の数としまして整形外科につきましては病院が七百八十八、一般診療所が千四百八、理学診療科については病院が千三百九十一、一般診療所が二千七百六十三、これだけのものが診療科としては現存しておるように承知をいたしております。
 これは多少先生の御見解と違う結果になると思いますが、電気とか光線等につきましては、医師直接なり、あるいは医師の直接の指導監督のもとにおいて行わるべきである、病院あるいは診療所以外でこういった行為が行われることは適当でないと思います。
 
 ''○受田委員''
  現実に病院、診療所以外において、医師の委託や指導を受けてやっておる人たち、それは現に認められておる療術行為としてやってきておる人たちであります。
 こういう人たちをそのままの形で存置して、医師の指導やあるいは指示で業を続けるということは、現実の問題としては、今までも容認されておるのであるから、次長はお認めにならなければならないと思います。
 この点実際問題として、この技術というものを一々医師が直接やるわけにいかないのであるから、その限りにおいてそうした医師の指導のもとになし得る技術者を認めるということは、現業者においては、特に私は危害ということもないのでありますから、限られた人たちをそういう形で容認していくということは、これは筋が通ると思いますが、これはいかがでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  具体的な問題についてのお話かどうか、よく存じませんけれども、それはたまたま医師との関係において施術を行なっておるものもあるかもしれませんけれども、しかし、医師のそういったことがなければ施術を行わないというような格好のものは、おそらく私はない、やはり大部分は独立をしてやっておる格好になっておると思いますが、それらについては、やはり好ましい形とは考えておりません。
 
 ''○受田委員''
  これは相当大事な問題で、明らかにしておかないと、これがうやむやにされては、非常に重大な問題だと思うので、私はなお明らかにしておきたいところがたくさんあるわけであります。
 厚生省は、今後三年の間にあんま試験に合格した者を転業させて救済しようという考えのようであります。
 これを本質的に考えたときには、あんま以外の器械器具等を用いた人があんまの試験を受けるということは、技術的に初めから出発のし直しになるというふうにはお考えになりませんか。
 解剖学その他については、共通の部面がありますけれども、そうした実技に関しては、これは非常な大転換である。
 その大転換を強要する結果になるというような形になりませんか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  従来やっておりました仕事と違った形になるという意味においては、確かに転換であると思います。
 それなればこそ、一年とか半年とかいうことでなしに、三年という期間を置いたわけであります。
 
 ''○受田委員''
  長期にわたって業を続けてきた人に対する転業対策として、今政府はどういう点に重点を置かれておりますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  法律の趣旨といたしまして十九条の二を置いて、特に救済措置としてこの方面の転換を期待しておるのでございますけれども、たまたま医師等において、技術者と申しますか、こういった関係の人を求める場合におきましては、積極的にお世話申し上げたいと考えております。
 
 ''○受田委員''
  電気、光線等についての技術を利用して、医師の協力者として、医師の補助者として、その人々のあっせんの労をとることについては、政府は容認されておるわけですね。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  医師の直接の指導監督下におきますようなときは、こういった電気、光線あるいは整形外科方面に、そういった補助者が必要であるということは承知いたしております。
 
 ''○受田委員''
  政府がそういう方面に転業をさせるということは、その仕事が医師の指導のもとにおいては、今までやってきた仕事が一応生かされるという立場でさよう申されるわけでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  生かされる場合もあろうし、生かされない場合もあろうと思いますけれども、しかし何らかの関連はあり得る場合が多いと思います。
 
 ''○受田委員''
  医師の協力者あるいは補助者としてなし得る、そうした立場の転業の場合、器械器具等については、自分の用いている器械器具を医師がそのまま容認することを、政府は一応想定しておられるのですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  今のお話しの点は、具体的な問題でございますので、この場で一般的にどうのこうのと申し上げることはできないと思います。
 
 ''○受田委員''
  政府は結局従来の療術行為をする人々の技術を生かすという点については、十分考えておるという基本的な考えがあると認めてよろしゅうございますね。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  適正なる技術を有する限りにおいては、これが医者の直接指導監督のもとに生かされる場合は、当然あり得ると思います。
 
 ''○受田委員''
  今の医療行為の限界の問題をお尋ねしておきたいと思います。
 医師のやる行為と医師のやる以前の行為との限界ですが、この限界は、さっきもお尋ねしたのですが、非常にむずかしいけれども、そこをはっきりしなければならない。
 こういうことは、私はこの法律を通される機会に、政府はぜひ考えて下さらなければならぬと思うのです。
 現在の医術の上で、医師以外の者が治療をなし得る程度の疾病としては、神経痛とリューマチ、こういうようなものは当然医師が治療して、またあんま、はり、きゅう、柔道整復あるいは一般の療術行為をやる人にでも、こういう程度の疾病の種類によっては、医師以外の治療行為をする人に、これを容認する分野があるとお考えでありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  ただいまお話しの神経痛あるいはリューマチ等につきましては、これらの治療は当然医師のなすべき分野に属すると考えます。
 
 ''○受田委員''
  そうすると、あんま、はり、きゅう、柔道整復の方々がなし得る治療の限度は、どういうような疾病でありますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  現在のあんま、はり、きゅうに関しまする法律は、病気の種類によって許す許さぬという規定の仕方をしているのではなくて、あんまであるとか、あるいははり、きゅうであるとか、こういったことをするしないということについて規定しているわけでございますから、従って、たとえば神経痛は許す、あるいはリューマチは許す、そういうような性格のものではないと考えます。
 
 ''○受田委員''
  あんま、はり、きゅう、柔道整復をされる人々の治療行為は、医師の診断を経ずして治療をなさるわけでありますが、医師の診断を経ずしてなす医療行為には、また一面非常な危険が伴うということはお考えになりませんか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  本来から申し上げれば、医師の診察に基いて行うことが、より適正に行われると思います。
 
 ''○受田委員''
  その点について、あんま、はり、きゅう、柔道整復というものは、比較的そういう作用がないと思うのでありますが、器具を用いる場合などにおいては、危険な結果が起ってはおりませんか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  あんま、はり、きゅう等につきましては、それぞれ二年あるいは四年、五年といった養成課程を経まして、その間にある程度の基礎的な教養ないし技術的な知識技能を身につけまして、それに基いて施術を行なっておるわけでございます。
 その限りにおいては、これは適正に行わるべきものだと思いますけれども、しかしながら、それは人間のなすわざでございますので、誤まりが絶無かということになりますと、私は絶無であると断言するだけの資料は持っておりません。
 
 ''○受田委員''
  あんま、はり、きゅう、柔道整復等に、器具を用いることは許されておりませんか。
 今のはりは別ですが、そのほかでは原則として。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  たとえば、補助的な手段として、電気につきましては、施術者の手を伝導体とする限りにおいての電気の施療は認めております。
 
 ''○受田委員''
  自己の手を導体とする程度の電気を用いるということができるということになりますと、その限度内では、限られた電力等において器械等を自由に作ることができますか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  作るのですか、使うのですか。
 
 ''○受田委員''
  製作です。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  これはあんま、はり、きゅうあるいは柔道整復という仕事を行うことについての規制でございまして、そのほかの、たとえば器具の製作でありますとか、そういった問題については触れておりません。
 従って、あんま、はり、きゅうの業務を行の他面において、他の器械を作るということはあり得ることだと思います。
 
 ''○受田委員''
  あんま、マッサージ等が用いる電気器具、そういうものは、政府が示す自己の手を導体とするとかいう程度のワク内であれば、どういうものを作ってこれを治療の補助的役割に使ってもいいと解釈してよろしいか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  自分があんま等を行います補助手段として使う場合におきましては、先ほど申し上げましたような制限を設けておりますし、今後いろいろな形態が出ますれば、それについて、さらに検討した上で、具体的な限度というものをきめなければならなと思います。
 それが一つ。
 それから自己の仕事の補助手段として使わない、それと関係ないのでありますれば、たとえばレントゲンを作ろうと、あるいはその他の電気器具を作ろうと、こればいわゆる営業の自由であると思います。
 
 ''○受田委員''
  個人が作ることをお尋ねしているわけじゃないのです。
 
  つまり、関係のない器具を製造するものは問題ない。
 あんま、マッサージで使用する電気器具について、政府が厳重なワクははめておるとするならばどうか、ということをお尋ねしたのであって、もしそれが自由に政府の認めた限度内で作るということが認められるならば、それば現在電気、光線の中の電気として治療をやっておる人々と大差のないことも、結果的に考えられるわけです。
 この点も、政府の示すワク内における電気器具を使用するということになるならば、政府が何らかの規格を示すとか、あるいはその器具を常に検査してやっておるかどうか、そういうこともあわせて御答弁願いたい。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  実は私お答え申し上げましたのは、先ほど先生は、製作というお話でございましたので、製作ということと、それから仕事の補助手段として使うという使用ということは別のことである。
 従って、使うからには、従来規定をいたしております範囲のものでなければならない。
 しかし、使わないのであるならば、製造ということについて別に制限はない、そういう趣旨で申し上げたのでございますが、もし作って、すぐそれは使うという趣旨であるならば、これは使うということについて私がお答え申し上げた点で、御了承いただきたいと思います。
 
 ''○受田委員''
  およそあんま、マッサージ等をなさる人々で、電気器具を、自分で使わないものを製造するものはあり得ぬと思うのです。
 従って、実際に使用されるものを製造するのであって、研究のためにそれを作るというのはきわめてまれなのです。
 従って、私がお尋ねしておるのは、実際それを自分で作って工夫して、政府の示したワク内で電気器具を使って療法を行う、そのときに電気を使っておる現在の療術業の方々のやっておられる電気治療とよく接近したものが考えられると思うのです。
 この点におきまして、政府は、現にあんまの用いる電気器具を厳重に調査研究されておるのかどうか。
 また、そういうものについては、器具について非常に幅が考えられるならば、あんまあるいはマッサージの立場から、補助的な電気療法というものが、当然強く考えられると思うのでありますが、そういうものに関連するので、御質問をいたします。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  先ほど来申し上げておりますように、自己の手を導体として使う限度というふうに考えておりまして、それ以上のものは認めない建前になっております。
 しかし、その自己の手を導体とする限りにおいては器具器械の形なり、そういった事柄については、別に今規定を設けておりません。
 
 ''○受田委員''
  そうすると、自己の手を導体とする限度においては、いかなるものを作ってもいいということになるわけですね。
 そうすると、現に電気を用いてあんま、マッサージの補助的役割を果しておるいろいろなものがたくさん出ておるわけですが、こういうものについては、政府は研究をされておりますか。
 それと同時に、電気療法をやっておる人々の電気器具というものも、みな非常に制約を受けて作っておるのでありますが、こういうものについても、ある一定のワク内で作られておるこれらの器具、それによる療法というものが、社会的に今日まで認められてきておる、政府としてそういうものの実態調査をやられてきたのですかどうですか。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  あんま師等が使います電気器具につきましては、先ほど申し上げましたような限定をいたしておりますが、その他のいわゆる療術行為で電気等を使っておりますものについては、そういった規定は、現在定められたものはないわけでございます。
 これらについては、先ほど来申し上げましたように、過去においていろいろ検討をいたしたのでございます。
 
 ''○受田委員''
  現在やられておるそうした民間の電気治療器具というようなものは、監督が全然されてないというお話でありますが、これははなはだ怠慢なことであると思います。
 保健上危害があると思われるものは、どしどし取り締るべきであるのに、それを放任しておりました実態は、はなはだ驚くべきことだと私は思うのですが、いかがでしよう。
 
 ''○高田(浩)政府委員''
  もちろん完全に放任をしているわけではございませんで、ある程度の取締り的な行為も行なっておりますが、それらが過去において不徹底であったということは、これは残念ながらあり得ると思います。
 なお今後それらの点については、十分検討をいたしたいと思います。
 
 ''○中村委員長''
  本日の質疑はこの程度にとどめます。
 
 ''○中村委員長''
  本日の請願日程全部を一括議題といたします。
 
  本委員会に付託されました請願は、すべて請願審査小委員会の審査に付しておりますので、この際請願審査小委員長より報告を聴取いたします。
 吉川兼光君。
 
 ''○吉川(兼)委員''
  二十七日及び本日開会の請願審査小委員会における審査の結果を御報告いたします。
 
  請願総件数は千三百五件でありますが、本院二十八日の公報第百七号(二)の千二百三十六ページ以下所載の、日程第八、第九、第一八より第二一まで、第二三、第二九、第三三、第三四、第三六、第三八、第四七、第四八、第五二、第六四、第六五、第七一より第七四まで、第八一より第八三まで、第九七、第一〇三、第一二四、第一二八、第一三一、第一四五、第一四六、第一四八より第一五二、第一五六、第一六〇より第一八六まで、第一八八、第一九一、第二二九より第二三六まで、第二五一、第二五二、第二五七、第二八一より第二八八まで、第二九〇より第二九七まで、第三〇二より第三〇四まで、第三一三より第三一八まで、第三四五、第三五二、第三五九、第三六〇、第三七八、第三七九、第三八一、第三八七、第三九二、第三九五、第三九六、第四〇一、第四二六、第四二八、第四二九、第四三四、第四六三、第四六八、第四六九、第四八〇、第四八四より第四八六まで、第四九二、第四九三、第四九五、第五二九、第五三一、第五三二、第五三五、第五五六、第五五七、第五六六、第五七五第六三四、第六三八、第六四〇、第六四一、第六四五、第六四七より第六四九まで、第七五五、第八四三、第八四四、第八四八、第八八四、第八八五、第九一〇、第九一一、第九一二、第九一四、第九二一、第九二二、第九三一より第九三三まで、第九七二、第一二四九、第一二五二、第一二五三、第一二五七、第一二六六、第一二七〇、第一二七一、第一二八七より第一二八九まで、第一二九四、第一二九五、第一二九七より第一二九九まで、以上百五十五件は、その趣旨妥当なるものと認め、採決の上内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 
  以上御報告いたします。
 
 ''○中村委員長''
  以上で報告は終りました。
 
  ただいまの報告について、御発言はございませんか。
 なければ、採決いたします。
 ただいまの小委員長の報告の通り決するに御異議ございませんか。
 
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
 ''○中村委員長''
  御異議なしと認めて、そのように決します。
 
  次に、ただいま採択の上内閣に送付すべきものと決しました請願に関する委員会の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
 
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
 ''○中村委員長''
  御異議なしと認めて、そのように決します。
 
  なおただいまお手元に配付いたしました陳情書が、本委員会に参考送付されておりますので、一応お知らせ申し上げておきます。
 
  それでは暫時休憩いたします。
 
     午後五時四十六分休憩
      ――――◇―――――
     〔休憩後は開会に至らなかった〕
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