あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する国会会議録


162-衆-決算行政監視委員会-2号 平成17年04月06日


○末松委員
民主党の末松義規でございます。
 きょうは、統合医療あるいは代替医療の推進という観点から医療保険についてお話をさせていただきたいと思いますが、きょうは大臣それから副大臣もどうしてもだめだということで、本当は政治家としてのお話もしたかったんですが、それは無理だということでございますので、政府参考人に対して質問していきたいと思います。
 一般的な話というよりも、今回、具体的な問題を例示しながら、代替医療、統合医療の推進からお話をさせていただきたいと思います。
 私も、選挙区を含めいろいろな方とお話をしているときに、医療保険の支払いについていろいろなお話を伺います。
そのときに、統計を見て私もちょっと驚いたんですけれども、西洋医学を中心とするお医者さんに対して医療費がどのくらい保険からおりているかというと、三十一兆円強の医療保険がおりている。
一方、例えば骨折とか脱臼とか捻挫とか打ち身とかしたときにかかる柔道整復師の方には、そのうちの一%の二千八百八十三億円が支払いでなされている。
一方、国民の皆さんがよく通われておられるはり、きゅうとかマッサージ、そういったことについての保険の支払いというのは、大体はり、きゅう、マッサージで二百六十四億円、たった二百六十四億円しか支払われていない。
これはもう〇・一%以下という話になるわけですね。
 私なんか今、個人的なことを申し上げれば、マクロビオティックという玄米を中心とした菜食主義、肉とか魚とか私は食べていませんので、そういった菜食主義によって慢性病にかかる危険が極めて少ない。
ほとんど関係ないと言っていいんだろうと思うんですけれども、そういうときに、ただこの現代社会、非常にストレスが多いものですから、筋肉の凝りとか、それから精神的な圧迫からくる過食ですよね、そういったことでこの現代病とも言われるような慢性病、これが非常に大きな問題となって、これが医療費のかなりの部分を、生活習慣病となって大きな負担となっているのが実情であります。
 そういった観点からしますと、例えば糖尿病、あるいはがんなんかも言われていますけれども、さらに心臓発作とか心臓病とか、こういう生活習慣病みたいなものは大抵過食によって、脳血管病もそうですが、血管が詰まっていろいろな問題を引き起こしていく。
 これだけの大きなことをやっているわけですから、ストレスとかそういったものに対しても日ごろから予防という意味で、はりとかきゅうとかマッサージとか、そういったことに対しても保険を使ってもらいたいな、医療保険を使ってもらいたいなという気がするわけです。
 私は、まさしく生活習慣病なんかにかかる危険性が少ないという意味を含めれば、本当にそちらの方にもっと保険の給付をしてほしいというのが、私だけじゃなくて、かなりそこはいろいろな治療をされておられる方々、保険なしではり、きゅう、マッサージなんか使っていらっしゃる方、ごまんといますよ、大変な数ですよ。
そういった方々にも、しっかりとして、予防という観点も含めて医療保険の給付ということについて考えていいんじゃないか。
 先ほど申し上げた数字を見て、感想をちょっとぜひ、あるいは私が今申し上げたことについて認識をおっしゃっていただきたいと思います。

○中島政府参考人
ただいま御指摘の、医療費の給付の中でのはり、きゅう、マッサージにかかる医療費の問題でございますが、御指摘のように、はり、きゅうにかかります療養費の総額は約二百七十億円となっております。
 この額が多いか少ないかということについて、なかなか評価することは難しいと思いますけれども、このはり、きゅうにかかります療養費につきましては、平成十年度六十三億円であったものが平成十四年度については九十五億円ということでプラスの五〇%増し、マッサージにかかる療養費につきましては、平成十年度八十一億円でございましたものが平成十四年度では百六十九億円で一一〇%増しというような格好で、医療費の伸びを大幅に上回って伸びておるところでございます。
 というようなこともございまして、こういった施術につきましても、国民のニーズに応じまして、また御指摘のような生活習慣病に対する対応というようなものも含めて、適切に対応されてきている結果ではないかというふうに考えてございます。

○末松委員
もともと絶対額が小さいんですよ。だから五〇%増しとかそういう形で、何かいわゆるミスリーディング的な伸び率を指摘されるんですけれども、絶対額が余りにも少ないというのが実は私の印象なんですよね。
本当に、〇・一%以下ですよ。そこのところを問題を指摘したいと思うんですね。
 この問題の根本には、やはり西洋医学が余りにも偏重されていて、東洋医学系のものが非常に少ないというか軽視されている、こういうことが根本にあると思うんですけれども、その辺はどういう認識ですか。

○中島政府参考人
このはり、きゅう、マッサージ等の施術につきましては、これはなかなか効果を科学的に立証することが難しいということから、経験的な評価に頼らざるを得ない部分が多いという現状があると思います。
 医療保険におきましては、科学的な実証に基づきましてその給付を基本的に行うということとなっておりますので、決して軽視をしているということではないのですけれども、そういった観点から、このような実態になっているものというふうに考えてございます。

○末松委員
WHOがはり、きゅう、マッサージについて、はり、きゅうの適応症として四十三の疾患を一九七九年に提示しているわけですよ。
こういった外国の方が逆にそういった、特にWHOという国際機関がしっかりとしたそういうことを提示して、科学的なことについても今研究がかなり進んでいるというんですよ。
それについてはどういうふうに考えているんですか。

○中島政府参考人
WHOがどのような根拠に基づきましてそういった疾患を挙げているのかということは、私、ただいま直ちには詳細はお答えできませんけれども、私の知る限りにおきましても、アメリカなどにおきまして、最近、代替医療についての研究が進められているというふうにお聞きをしてございますけれども、なかなかその過程においてもしっかりとしたエビデンスを科学的に立証するということが難しいという状況で、依然研究を進めているという理解でございます。
 我が国におきましても同様でございます。

○末松委員
つまりWHOが、一九七九年、そういうことをやっているんですよ。
それで、いや、そういうことはやっているけれども実はわからないというのは、それは怠慢ですよ。
実際にきちんとした、そういったことも研究してくださいよ。そして紹介をしてくださいよ。
 あるいはあれですか、中島さんはお医者さんですか。
そうしたら、そういうふうなのを、どんどん西洋医学が逆に侵されるようなことになると困ると個人的には思っていらっしゃるということはありませんか。
ちょっと言ってくださいよ。

○中島政府参考人
これは厚生労働省としてということではなくて、私、医師として、個人の見解ということでよろしゅうございますでしょうか。
(末松委員「どうぞ」と呼ぶ)はい。
 私自身は、決してそのようなふうには思っておりませんで、それなりにいろいろな効果があるんだろうというふうに私自身は想定しております。
中国医学でも、経絡というような考え方もございますし、気とかいろいろな考え方を持ってございます。
三千年、四千年続いてきているということは、それなりのエビデンスを彼らなりに評価してということだろうとは思いますけれども、それを西洋医学、いわゆるサイエンスの目から見たときに、なかなか証明ができない、説明できないというところで現状に至っているというふうに理解しております。

○末松委員
例えば西洋医学の場合は、手術するとか切るとか、そういう対症療法的なところがメーンになっているわけですね。
もし何かウイルスがあったら薬をやって全部殺せと。それに対するいろいろな悪効果もたくさんあるわけですね。
これも無視されてどんどんやってきた。
 だから、そういったことの科学的知見、みんな、多分ここにおられる方で、はり、きゅう、マッサージに一回もかかったことがないという人はいないと思うんですね。
要するに、体が軽くなったとか、病気の予防になる、ストレスの解消になる、そういったことはこれからの医療の一番大きなポイントになると思うんです。
そうじゃないと、三十一兆円の医療保険がどんどんまた上がってくる。
これは国家財政がパンクするじゃないかと。
一番大きな元凶になるわけですよ。
ぜひこれは、食事の面も同様に、そういったことについてもきちんと研究していただきたい。
 だから、国として、科学的知見がないというんだったら、しっかりと調査費をとって、科学的知見を得るような、そういったことをやるべきだと思いますが、いかがですか。

○中島政府参考人
ただいま御指摘のように、国といたしましても、これまでもこういった分野について研究を進めてきております。
ただ、その結果は、先ほど申し上げましたようなことで、必ずしも万人が納得できるような科学的なエビデンスに結びついていないということがございます。
しかしながら、現状で、もうその研究をあきらめたということでは決してございませんで、なお現在も研究を進めているところでございます。

○末松委員
そこはちょっと今度また示してください、どんな研究でどんなことをやっているのかというのを。ぜひそこは開陳していただきたいと思います。
 それと、この具体例として、はり、きゅう、マッサージの方々と話すと、やはりかなり大きないろいろな差別を受けているというんですね。
例えば、かなり体が悪いから、医療サービスの消費者としての患者の立場から、はり、きゅうに行ったと。
もう大変な状況になっていますねと言われても、保険を申請したいと、保険という含みで言ったら、医者に行ってくれ、医者の同意がないとだめなんだと言われたというのは、もうごまんとあるわけです、こういう例が。
 西洋医学の医者と言われる方々が、どうして東洋医学の、これはシステムとして同意をするということがあるわけですよね、この同意をするということができるのか。
東洋医学を彼らは勉強していないはずなんですけれども、それに対してどうしてそこの同意権なるものが必要なんですか。
そこはおかしいと思うんですが、いかがでしょうか。

○中島政府参考人
ただいまの点でございますが、これは、はり、きゅうとマッサージで若干事情が異なるところもございますので、まず、はり、きゅうの施術につきましては、科学的なメカニズムが必ずしも十分まだ解明されてはおりませんものの、鎮痛等一定の効果が経験的に認められるということから、慢性病、例えばリューマチとか神経痛とか、こういったものですけれども、これに対しまして実施される場合であって、また医師による適当な治療手段がない場合、こういった場合に限って療養費の支給対象としているわけでございます。
 東洋医学に十分な知見を持たない医師が同意を与えるのにふさわしいのかという御指摘につきましては、このはり、きゅうについての同意書につきましては、今申し上げましたような慢性病であるということ、それから医師による適当な治療手段がないということを保険者が確認をするためのものでございまして、必ずしも東洋医学の知見を前提としているものではないわけでございます。
 また、マッサージにつきましては、筋麻痺等の麻痺の緩解、麻痺を緩めるということ、あるいは、関節の拘縮等により制限されています関節の可動域の拡大というようなことを目的として行われる場合等で、医療上の必要があるものにつきまして療養費の支給対象としているということで、今申し上げましたような筋麻痺、関節拘縮等があるということ、それから医療上の必要があるということを保険者が確認するということで、この場合も同様に東洋医学の知見を前提としているものでは必ずしもないということでございます。

○末松委員
あなたがおっしゃるその東洋医学の知見を前提としているものじゃないということは、つまり東洋医学の科学的な知見がないという前提に立っていて、それがわからないから、だから、だめなんだ、だめなんだと言っているにすぎないんですよ。
患者の立場から見たらどう思うかというと、本当に困るんですよね。
 だって、西洋医学の医者が適当な治療例がないと。
それは、西洋医学でできない面というのはたくさんありますよ。
そういった面がないからといって、では、お医者さんがどんどん向こうへ行きなさいといったら、自分の商売上がったりみたいなことも、経営面というのもやはり頭に浮かぶわけですよね。
そういったときに、患者の権利として、いや、私はちょっとこういったものは東洋医学系のものにかかりたいから、だから、そこは患者の権利を守る立場から、ここはこういうふうに、私は行きたいので行きますという、つまり、そこで医者の同意という行為がなければおかしいと。
同意がないというのは、やはりおかしいんですよ。
 そこは、何といいますか、患者の権利としてもう少ししっかりとしたものをつくるべきじゃありませんか。

○中島政府参考人
これは、現在の給付対象を、審議会等の御議論も経てこういった状況に設定をしているということでございまして、このはり、きゅう、マッサージのサービスについて、そういった患者の権利というようなものを尊重した形式に改めるかどうかということについては、今後の議論だというふうに考えてございます。

○末松委員
あなたの言うその審議会というのは、東洋医学の関係者は何人ぐらい、何%ぐらいいるんですか。

○中島政府参考人
私の現在思い浮かぶ範囲では、東洋医学を専門としているという方はおられないと思います。

○末松委員
つまり、こういうことなんですよ。
実際、こういうことなんですよ。
だから、そうしたら認めるわけがないですよ。
 だって、保険のパイは一定なんですよ。
そのうちのパイの食い合いみたいな、こういう発想でとらえられたら、国民の患者としての権利が侵害されているということにぜひ気づいていただきたいんですよ。
そこをきちんと見ないと、本当に効果がないからだということだって、結局は、医者がそう言えば一切そういう保険もおりない。
私なんか、正直言って、医者にかかりたくないから、逆にそっちの予防の方を重視したい。
そういった国民の声をすべて無視しちゃうことになるんですよ。
 厚生行政として、そこはおかしいと思いませんか。
そこは、ある程度の反省をすると同時に、さっきの科学的な知見ですか、それは国主導で進めていかないと、やはりそこが一切進まないということになりませんか。
もう一度お願いします。

○中島政府参考人
先ほど申し上げましたのは、医学の専門家の中で、審議をするメンバーの中に東洋医学の専門家がおられないということは申し上げましたけれども、西洋医学の専門家であっても東洋医学について造詣の深い方もおられますし、また一方では、保険者あるいは国民の代表という形での一般の方も審議に加わっておられますので、そういった方々の御意見は十分に反映させた議論が行われた結果、現在のような格好になっているということでございます。

○末松委員
東洋医学に造詣が深いというのはだれなんですか。
要するに、メディカルドクターのコースを取っていったら、それはやはり西洋医学の体系になるんですよ。
仕方のない話なんですよ。
だから、そういった声もしっかりと反映させるような形の審議会の構成にもしてくださいよ。
そうじゃないと患者の権利が守られないんですよ。
 あともう一つ、ちょっとここは申し上げますけれども、支払い方法ですけれども、これは療養費ということで、結局は償還払いを今強要されているわけですよ。
法律の仕組みとしてそうだから仕方がないという話なんでしょうけれども。
ただ、医者と同様に柔道整復師の方は、経緯があって、受領委任払い。
そこは患者から全額をまず取って、それを後から返還するというのが償還払いですけれども、それじゃなくて、一応保険がおりるという前提で、実費だけやればいいよ、負担分だけやればいい、三割だけ負担すればいいよというような、便宜的な、極めて便宜のいい方法が柔道整復師には認められていて、はり、きゅう、あんまの方々はだめだと。
 それは、法律の仕組みがそうなっているからだめだという回答かもしれませんけれども、それもおかしいんじゃないですか。
むしろ、やはりそういうのはきちんと改めていくべきじゃないでしょうか。

○中島政府参考人
ただいまの御指摘でございますが、健康保険法での保険給付につきましては、保険医療機関からの現物給付として療養の給付を行うことが原則でございまして、それが困難な場合に、療養の給付にかえて現金給付として療養費払いを行うという格好になっているわけでございます。
 はり、きゅう、マッサージの療養費の対象疾患につきましては、いわゆる外傷性の疾患ということではなくて、発生原因が不明確で治療と疲労回復等の効果の境界が明確でないというようなことから、療養費の支給を行う前に保険者が支給要件の確認をできない受領委任払いを認めるということは現在行っていないということでございます。

○末松委員
今の説明で、私は思うんですけれども、ここに医療費の増大の大きな原因があると思うんですよ。
 つまり、予防というものに重きを置かないで、要するに最悪になるまでほうっておいて、そして、例えば、はり、きゅう、あんまだけとは言いませんよ、それはいろいろな医療の予防を、病気にならないために予防をやることに対しては、一切保険はおりませんよと。
さっき言った、仮定の、理由がわかりません、だからそこは保険が全然適用されませんと。
ただ、悪くなって、何々病だと最悪になって医者に行きます、そうすると、最新の設備でまた医療費がどんどん高くなっていくわけですよ。
患者の負担も重くなっていくわけですよ。
そうやっていったら、そこで保険が適用されます。
そうしたら、保険の高騰はもう必然的にならざるを得ないんですよね。
 だから、厚労省はこれからどういうことをやるべきかといったら、やはり予防を中心にやっていくべきなんですよ。
そこをやらないと、最悪になってから、どうしようもなくなってから、やれいろいろな高度機械を使って、何百万とか何十万とか医療をやっていたら、それは、こういう言い方をしては非常に私は厳し過ぎる言葉で申しわけないですけれども、西洋医学のお医者さんの業界にとっては非常にそれはいいことですよ。
でも、国民にとってはそこは不幸ですよ。
だから、そこをしっかりとここで厚労省がまず先頭に立ってやっていかないといけないと私は思うんですけれども、その考えについてはいかがですか。

○中島政府参考人
ただいまの御指摘でございますが、まさに先生がおっしゃるとおりでございまして、これから特に高齢化社会になってきたときに、言葉はよくないですが、生活習慣病のなれの果てを治療することだけが医療だ、あるいは医療保険だということでは、とてもこれからの医療費の増加にも対応できませんし、国民の幸福にもつながらないというふうに我々も考えてございます。
 そういったことから、医療保険の保険者についても、病気になったものを治療するというのが現在の保険の給付対象でございますけれども、それをさらに超えて、予防的な部分についてもっと積極的にかかわっていくべきであるというふうに考えてございますし、また、病気になった場合でも、その重症化を抑える、できるだけ重症にならないようにするような治療をもっと優先する、重点を置くべきであるという考え方で現在検討を進めているところでございます。

○末松委員
そこに、保険の適用も重点的に認めていくということが必要になっていくんです。
その中の一環が、やはりはり、きゅう、マッサージというのはそういったところに効果があるということが言われているので、特に、科学的知見、そこはしっかりと進めてくださいね。
 それから、今、やり方ですけれども、はり、きゅう、マッサージも含めて、保険者とそういった契約を結んでいけば、そこは別に医師の同意どうのこうのという話でなくても、特に柔道整復師との差別も解消していただいて、それでしっかりと、患者の立場から、あるいは患者の自由な選択権が認められるような形でぜひ進めていただきたい。
 あと、これとの関係で、交通事故で自賠責のところで厚生労働省にお伺いするというのはあれなんですけれども、国交省が実は慰謝料というところで、はり、きゅう、マッサージに比べて二倍の慰謝料を設定している。実治療日数の二倍に相当する額、これを医者とか柔道整復師には認めているけれども、マッサージとかはり、きゅうとか、そういう施術には彼らに比べたら二分の一、こういう区別を行っているんですけれども、これもよくよく考えてみると、実は健康保険とかその辺を何か参考にしているというんですけれども、そこら辺の根拠は何ですか。

○金澤政府参考人
お答え申し上げます。
 御質問の、自賠責保険における慰謝料の算出でございますが、根拠といたしましては、自賠法の十六条の三を根拠に、私ども国土交通省と金融庁との共同告示が出されております。そこでは、その算出方法について、治療を受けた日一日当たり四千二百円ということでございまして、その対象日数は治療期間の範囲内というふうになっております。
 その具体的な算出の対象日数の運用基準によりますと……(末松委員「慰謝料」と呼ぶ)ですから慰謝料の算出の根拠ですが、医師等の医療を受けた場合には治療日数の二倍に相当する額、そして今先生御指摘の鍼灸、マッサージ等の施術については施術日数そのものを対象としております。
 この考え方ですが、交通事故による被害者の精神的苦痛に対する損害賠償がこの慰謝料であるというふうに考えておりまして、先ほどお話にも出ていましたとおり、鍼灸師、マッサージ師などの場合には主として被害者の慢性期に施術が行われるのに対しまして、医師等の治療は事故直後の急性期に行われるということから、それだけ手厚く慰謝料についても算出しているということだろうというふうに考えております。

○末松委員
実情を知ってほしいんですけれども、今、柔道整復師さんとそれからはり、きゅう、マッサージの二倍というこの格差、差別が行われていると言われていますけれども、大体、柔道整復師の方も、緊急の処置は、そこはやらなきゃいけない。
その後、はり、きゅうはできないですけれどもマッサージという形でそれが、はり、きゅう、マッサージの関係者なんかにもお聞きをしていろいろなことも調べてみたら、大体半分以上、大体七割から八割ぐらい同じことをやっておられるというんですね。
だから、それで逆に、まじめな柔道整復師さんがおられて、慢性的な、慢性病的なところを全部やめて急性の応急処置だけをやっていったら生活ができなくなるというような、いろいろな正直な声もあるわけですよ。
そういったことで、この一対二という格差の根拠というのは、どうもそこはやはりわからない。
 ちょっと厚労省の方に聞きたいんですけれども、一対二というふうなこういうシステム、これをどう思いますか。

○中島政府参考人
これは、この制度を所管されます国土交通省、金融庁においていろいろなお考えがあって決めておられることと思いますけれども、私どもの立場からは、この問題についてお答えすることは差し控えたいと思います。

○末松委員
厚労省の対応について参考にしながらやっていると。だからさっきの質問は、それは何を根拠にしているんですかというところなんですよ。
つまり、厚労省のシステムのどこを見て、例えば治療費が、治療費というのはそんなに変わらないんですよ。
変わらないにもかかわらず、一対二というその辺の格差が出ているのはおかしいじゃないかというのが私がさっきから言っている主張。
それはあなたは意図的に避けているのかもしれないけれども、そこはきちんと答えてください。

○金澤政府参考人
先生、慰謝料の点の御質問だったものですから慰謝料のみお答えしましたが、私ども、自賠責では当然治療費の方も対象にしておりまして、治療費の方は、先ほど先生もおっしゃったとおり、厚労省の制度、すなわちお医者さんの指示があった施術については医療費の対象としておる、こういう制度にしております。
 ただ、慰謝料は、先ほど御説明申しましたとおり、何を基準にこの慰謝料というものを算出するかということで、百二十万件という大変多い事故を抱えているものですから、お医者さんに行った、入院日数に比例して慰謝料をお払いするという形にしております。
 その場合に、今議論になっています鍼灸マッサージ師の方々の施術をどう考えるかということについては、先ほど申しましたように、比較的慢性期の治療ということで、被害者の方の気持ちも少しおさまってきた時期に受けている施術については二分の一というふうにしておることは、私どもとしては妥当なものではないかというふうに考えておるということでございます。

○末松委員
時間がもう来ましたのですけれども、今の説明だけでは私はちょっと納得できないので、また、これについてしっかりとした質問及び受け答えを要望したいと思います。
 終わります。ありがとうございました。


あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する国会会議録

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