あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法公布


4-衆-厚生委員会-2号 昭和23年12月11日
○佐々木委員長
なおこの際武田委員より、療術師法設定に関する調査機関の件について発言を求めておりますので、これを許します。
武田委員。

○武田委員
本年一月一日から施行せられました法律第二一七号のあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法、あの営業法を改正しまして、そうしてその他の療術のために新しい開業を認めたり、あるいは既得権の今までに制限されておりますのを撤廃するための請願がこの前の國会、あるいは今國会にも出ておるのでありますが、それにつきまして本年六月二日の日でございましたか、國会でやはり厚生委員会の席上において、政府の方ではこのあん摩、鍼灸、柔道整復師以外の療術の問題につきまして、調査研究機関を設けるということについてわれわれは要望いたしておりました。
政府の方でもこれに努力しようという御答弁があつたのでありますが、その後の経過について御報告願いたいと思います。

○安田説明員
今日あいにく主管局長がこちらにお見えになつておりませんので、かわつてお答えいたしたいと思います。
ただいま申されました通り、第一國会でそういつた医療類似行為は、現にやつておるものは昭和三十年まではできる、その他は一應やめになるという法律が施行されまして、施行になつたばかりのところでございます。
この前お尋ねになつたようないきさつは存じませんけれども、この点については相当強い見解を持つておる向きもあるようでございますので、なお研究はいたしますけれども、私からすぐにどうという御回答はいたしかねるのであります。

○武田委員
ただいまの御答弁によりますと、政府としては医療類似行為に対しては、相当嚴重な考え方をしておるということで、それに対してさらに調査し、研究するというような意向は持つておられないというように伺つたのでありますが、そういう事実でございましようか。

○安田説明員
調査研究機関を設けるという話であつたが、それがその後どうなつたかという御質問であつたのでありますが、その点はなはだ何ですが、よく存じません。
ただこれは先般設けられたばかりの法律でございますと、なおいろいろ関係筋の問題もございますので、研究はいたしてみますけれども、今機関を設けるというようなことについては、ちよつと私から何とも申上げかねる次第でございます。

○武田委員
私はあの六月二日の委員会に出席しておつたのでありますが、そのときに厚生当局は、療術の効果が認定されれば、療術を許すというような意味に考えられることを御答弁なすつたと今でも記憶しております。
これについては、できれば委員の方から調査研究をしていただくようにということを要望して参つたのでございます。
今までも、前の一松厚生大臣のとき、さらに竹田厚生大臣のときも続けまして、やはり療術師の一つの医療類似行為というものをできるだけ認めるように、これをりつぱなものに持つて行きたいということで賛成されたということを、本年の三月二十四日に全國療術協同組合の代表の黒田、東村の二人の人に言われたと私は聞いております。
なお國会におきましても、現在治療室を設けておりまして、そこには國会議員を初めとして、國会職員も行つておるのでありますが、大体現國会議員の中で、三百四十二人という数がみなこの療術行為が治療上に非常に効果のあるものである、あるいは疲労回復のために効果があるということを認めて賛成をしておられます。
ことに現在の厚生政務次官の庄司先生は、第七十六議会に衆議院で療術の効果を発表されまして、これについてはたいへんに強力に御支持になつておられたということを私は知つておりますので、この際政府としてこの療術師法というふうなものを、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の中に加えられて、これを修正されるというような御意向がありますかどうか。
これに関してひとつお答え願いたいと思います。

○庄司政府委員
私は去る七十六議会において――ですからおそらく今から約十年前の議会だと思いますが、当時の請願委員会において、いわゆる療術治療師関係の問題について、私の体驗を発表したことがございます。
ただいまもいわゆる療術家あるいは治療師と呼ばれておる、たとえばただいまお示しの指圧療法と言いましようか、あるいはマッサージ、その他物理療法、あるいは電氣療法といいましようか、そういう日本政府の公認したる、免許状を與えたる医師にあらざる者が医師類似の行為をしておる。
それらの業者の中に人格も氣高い人、また学識経驗等も豊富な人、施術においてもきわめてまじめな人々、そういう療治家のおることを私は知つております。
しかるに中にはきわめてインチキな者もございます。
加持祈祷というようなものもございますし、はなはだ非科学的なもので、いわゆる一般患者にかえつて迷惑を與えておるような者も決してないではございません。
しかしながらきわめて眞劍に、まじめに、人格者であり、またその療術なるものも多年研究されて何ら弊害を與えていない、社会的にも、人間の肉体生命にも弊害を與えていないような療術家、あるいは指圧の大家というような人々に、何らかの方法において公然と、政府公許のもとにそういう営業をやらしめる時代が一日も早く來れかしと祈つておるものであります。
今回私政務次官を拜してまだ約一箇月半程度でございまするが、去る本月の三日、衆議院としては同僚の内海代議士が全國療術協同組合でありましたが、その組合の名において、組合長元代議士の守屋榮夫氏が代表者となられて、本國会に公式な請願書を御提出になられ、また厚生省にも私の部屋を御訪問いただいて、陳情書を御提出くださいましたことを知つております。
そこで厚生省全体としての空氣をまだ私は打診しておりませんけれども、ただいまお示しのような意味において、療術行為が無害にして有益なるものであるならば、それらの業者の方々が一層この後抜をみがき、業を習い、あるいは社会的に信頼される人格者の人々が多くなり、そうして営業法といいましようか、單行法といいましようか、あるいはただいまお話の第二百十七号のあん摩、はり、きゆう、柔道整復、それらの関係の法律の中に加えられるような日が一日も早く來ることを私は希望しております。
あるいは單行法として、そうした方々が國家、試驗なりあるいはその他の方法によつて、有為なる諸君が公に営業が昭和三十年後においてもでき得るような時代の來ることを熱願してやまない一人であります。
ただわれわれはただいま申し上げたように、本月四日にそういう陳情書をようやく御提出を願つたのでありまして、本國会においても請願に対しては、政府として嚴粛なまじめな御答弁をしなければなりませんが、私の一存としては、でき得るだけそういう日が早く來れかしと念願してやまないものであります。
それについても今昭和三十年まで暫定的にその営業を許されている業者諸君が、一層講習会とか演習会とか、それぞれの会を持たれ、大学その他の先生方より必要な学問上の生理とか、あるいは解剖とか、その他の学習等も受けられ、國家社会より眞に信頼される程度の業者となられ、インチキなものが自然淘汰されて行くというような体制を期待してやまないのであります。
せつかく守屋会長の名において、また内海代議士の御紹介において陳情書も出ております。
また國会にも請願書が出ておりますので、適当な機会に厚生省内部で協議といいましようか、あるいは懇談と申しましようか、関係各局長、課長等と御相談申し上げて、前議会のことは承知しておりませんけれども、調査会なりあるいは調査の機関なり云々というお話がもしお示しの通りでございますならば――これは決して私そのことを疑うわけじやありません。
むろんそういうことは速記録等にも載つていることと思いますので、すみやかに適当なる調査の方法をとるがためには、省内の意見が幸いに一致いたしまして、調査会等のようなものを設け得る機会があれば、まことに幸甚であると考えている次第であります。

○武田委員
ただいま庄司政務次官の誠意のあるお答えをいただきまして、私はたいへん喜んでおりますが、この前に、私の記憶するところによりますと、これに関して調査研究の機関を設けるようにということの要望はたしかそのときその委員会に出席せられました榊原委員の方からも、私の方からもそれを申しまして、政府はそれを了とせられたはずでございます。
でございますのに、先ほどの政府委員の御答弁によりますと、まだ今年出発したばかりの新しい法律であるから、これに関してすぐにどうこうという、これに対する修正とか、その他の手を打つということについては、ちよつと考えられないというふうに私は承つたのでございます。
しかし医療類似行為の人たちのやつております仕事は、これは法律ができるからできないからというのではなく、現在は三十年までは継続してやることを認められております。
そして一方には國民も非常にこれを要求しておる仕事であります。
だからやめようといつてもやめられない状態なんです。
なおこのままで放置しておきますならば、先ほど政務次官も言われましたけれども、こういう社会情勢の際でございますから、インチキなものも非常に今ふえておりますので、どうにも手を打つことができない状態になりはしないかと思います。
どの方面から考えましても、政府としては早急にこれに対して研究をし、そうしてあるいはこれをりつぱに、いわゆるかわらと玉とをよりわけるといいますか、とにかく民間で間違いのない療術行為が行われるような対策を講じなければいけない、私はそう考えております。
一方指圧その他の療術師の間では、自発的に研究講習会などを開いておりまして、私は廣島縣でございますが、あの方面、あるいは大阪とか四國とか、いや全國的に方々に講師を派遣し、あるいはその地方の医科大学などとも連絡をとりまして、非常にまじめに研究しているところもあるのでございます。
こういうものをただそういう人たちの手にばかりまかしておかないで、政府の方としては、もう三十年になつたらやめるんだから、そのままの状態でいいというのではなくして、何とかこれをりつぱなものに持つて行くように御努力を願いたいと思います。
政務次官のお話によりまして、それに対しての御熱意があることを私は確信しておりますので、政府としては早急にその方について手をつけられるようにひとつお運びを願いたい、こういうことを私はお願いしておきます。

○榊原(亨)委員
ちよつと中座いたしましたので、要点が違つておるかもしれませんけれども、この療術師のことにつきまして委員会をつくつて、政府においてその技術について檢討を加えるということにつきましてぜひお願いしたいことは、第二國会において私が述べたところでありまして、久下政府委員からこれに対して、早急にこれを設立してやるというお言葉を得ております。
ところがそれがいまだできていないということになりますと、これはやはり厚生省は、議会においてはやるやると言つて、議会が済むとやらぬということの一番いい例だと私は思うのであります。
先ほど政務次官のお話は、少しく私どもの考えとは違うのでありまして、私どもは調査委員会をつくつていただきたい。
と申しますのは、療術行為が六百種類からあるのでありますから、その六百種類の中で科学的の基礎があるものはどれであるかということを、まずそこで振りわけていただく。
そうして科学的基礎があつて、これは認可してもいいということになりましたら、そのものに從事する方を、今後はいろいろ技術なり学術上の経驗を積まず、こういうことは当然でありますが、まずその六百種類の療術行為がはたして科学的の基礎があるかどうかということをふるいわける、そういう調査機関をまずつくつていただきたい。
こういうことを私はお願いしたはずであるのであります。
さらにそれがきまりましたら、今度はそれらの方々が大学に行かれる、あるいは專門家について学術を習われるなりされまして、この療術を行う上の技術を修練されることが必要でございますが、現今のごとき状態でございますれば、六年たとうが八年たとうが、一松元厚生大臣が言われましたように、ダイヤモンドをかわらと一緒にしてしまつているというようなわけでございますから、これらの方々に対して、ぜひとも早急に根本的な基礎的な調査機関をお設けくださることを御要望しておく次第でございます。
その点について、これを至急実現されることをお願い申し上げます。

○安田説明員
私、ただいまのいきさつを詳しく存じませんために、見当違いの御答弁をいたしまして、まことに恐縮に存じます。
もしお許し願えますならば、次の機会に、あるいは事実おいでになつていただいてもけつこうでございますが、医務局長なり、あるいは久下次長の方から御答弁いたすようにとりはからいたいと思います。

○庄司政府委員
ただいまの榊原委員の御発言は、私に対する特に御指定の御注文ではございませんけれども、いま一回簡單に私の所見を述べさせて、明快にさせていただきたいと思うのであります。
私は根本的にこういう考えを持つている人間でありまして、病を治療するということは、決してお医者さんだけが万能じやない。
百パーセントお医者だけじやない。
お医者の力は最も重大性を持つており、偉大なる力を持つていることはむろんであります。
けれども人の病をいやしたり、あるいは健康を増進させたりすることは、これはお医者だけの專賣特許ではない。
私はこういうことを考えております。
私はキリスト教徒でございますが、聖書のマタイ傳の中に、十二年間血漏をわずらつていた婦人がうしろに來て、その衣のすそをさわつてなおそうとした話があります。
耶蘇は汝の信仰汝の病をいやせりと教えておるのであります。
これは今の指圧療法に当てはまるかどうか、私は知りませんけれども、多分今アメリカに流行のクリスチャン・サイエンス的なものがその流れをくんでおると思います。
実はこの間私どもの所属の総裁の吉田さんが指圧療法を受けられました。
そしてたいへん経過がよく、健康体に復されたということを一週間ほど前に林厚生大臣から承りました。
そんな関係で、指圧療法も相当効果のあるものであると考えておるものでございますが、ただ先ほども申し上げたように、なかなかインチキなものも相当あるようでございまして、お説のようにりつぱな療術を持つている方も相当ございます。
現に私、仙台でございますが、仙台の高等学校の教授で、文学士で、かたわら余技として療術所をやつている指圧の大家を知つておりますが、非常にまじめにやつてくれまして、特に貧民階級のために無料奉仕をしております。
そういうけつこうな方もございます。
ただいまの御熱心な御発言をそのまま私は御信頼申し上げまして、前國会等において厚生省の政府委員から、早急に調査会のようなものをつくるという意味の御答弁がもしありましたならば、たとえ政府がかわり、内閣の名前がかわりましても、先ほど申し上げた厚生省の一貫責任の上において、早急に調査会のようなものをつくりまして、玉石混淆のものを、よいものはよい、惡いものは惡いとしてふるい落して、よいものは保護助長するという建前にして行くことが当然のことである。
こう考えられますので、お説のあるところをあくまでも尊重いたしまして、厚生省内の協議会等に諮りまして、それらについて最も眞劍な協議会等を持ち得るような措置に進ましていただきたい、こう考えておる次第でございます。

○佐々木委員長
本会議も始まつておりますので、簡單にお願いいたします。
武田君。

○武田委員
それではただいま政府委員のおつしやいましたように、この次に厚生委員会をもう一度開いていただきまして、その際に政府の方でこれに対しどういう御方針をとつておられるか、あるいは現在どれだけのことをしておられるかということを承りたいと思います。

○山崎(道)委員
私はもう今日さんざんしやべつたのですから、簡單に申し上げますが、どうも法律をつくるときには厚生省はまことに御熱心ですが、できてしまうと何だか責任を果していないように思うのです。
優生保護法においてすでにしかり、生活協同組合法においてもそうである、兒童福祉法もそうである。
ですから私たちは今後厚生委員会でこしらえた法律がどの程度に施行されておるかということを調査する機関をつくりたいということさえ考えている。
從つてただいまのお答えは、庄司政府委員にもないお言葉だと思います。
ただいまおつしやつたことが事実とすればというようなことをおつしやつたのであります、けれども、われわれ委員としてここで申し上げていることは、責任をもつて言つておる。
ことに榊原さんが質問して、そして政府当局も答えた、これは私どもも記憶がございます。
それで療術行為の問題に対しましては、私たちの方へもずいぶん陳情が來ているし、私も実際の上において必要なものだと思うものがたくさんございます。
從つてこの点に対しては、至急それをやつてもらいたいと思いますので、次の委員会にぜひとも責任当局の御出席を私も強く要望いたしておきます。
それから法律を責任をもつて施行していただきたい。

○庄司政府委員
わかりました。

○佐々木委員長
各委員の御意見もありますように、療術行為に対する調査機関設置の件に関しましては、次会の当委員会に関係者の御出席を特に要望しておきます。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
次会は十三日午前十時より開会いたします。
    午後五時五分散会


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