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 CENTER:→[[あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法公布]]
 
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 *1-衆-厚生委員会-37号 昭和22年12月05日 [#yf49f06f]
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 ''○金光政府委員''~
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 ただいま議題となりましたあん摩、はり、きゆう、柔道整復等營業法案について、その提案の理由を説明いたします。~
 あんま、はり、きゆう、柔道整復及び醫業類以行為に關する現行の法規でありますところの、~
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   明治四十四年内務省令第十號按摩術營業取締規則、~
   明治四十四年内務省令第十一號鍼術灸術營業取締規則、~
   昭和二十一年厚生省令第四十七號柔道整復術營業取締規則、~
   昭和二十一年厚生省令第二十八號按摩術營業取締規則、~
   鍼灸術營業取締規則及び柔道整復術營業取締規則の特例に關する省令、及び~
   昭和二十二年厚生省令第十一號醫業類似行為ををなすことを業とする者の取締に關する省令は、~
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 何れも昭和二十二年法律第七十二號日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律第一條の規定によつて、本年十二月末日限りその效力を失いますので、右省令に代えて、あんま、はり、きゆう、柔道整復等の營業に關する法律を制定する必要があるのであります。~
 これがこの法律案を提出する理由であります。以下この法律案の内容の大略を申し上げますと。~
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  まづ第一にこれらの施術を業として行おうとする者は、必ず都道府縣知事の免許を受けなければならないこととし、かつ免許は公認の學校または養成施設を卒業した上、都道府縣知事の行う試驗に合格した者でなければ與えられないこととしております。~
 これはいやしくも人體の疾病、健康に關する業務は、一定の學術技能を修めた者でなければこれを行い得ないものとすることが、保健衞生上絶對に必要であるからでありまして、從來とも同樣の免許制度をとつてまいつたのでありますが、この際免許を受ける資格の程度を從來よるも相當引上げまして、これらの者の素質の向上をはかることといたしたのであります。~
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  第二に免許は一定の缺格條件に該當する者に對しては、これを與えないことといたしております。~
 すなわち精神病にかかつている者には免許を與えないこととし、また傅染性疾患にかかつている者もしくは業務に關し、犯罪もしくは不正の行為があつた者等であつて、業務を行うに適しない者に對しては、同樣に免許を與えないこととして、直接間設に施術の内容及びこれらの者の素質の向上をはかつております。~
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  第三に業務に關する規定としまして、これらの者は、外科手術、藥品の投與指示等の行為をしてはならないことを規定し、また、あんま師及び柔道整復師について一定の業務上の制限を付しております。~
 また業務に關する廣告についても一定の制限を付しております。~
 なお都道府縣知事は衞生上の必要に基いて、業務に關する必要な指示をなし、または施術者から必要な報告を提出させ、その他當該吏員に施術所の檢査をさせる等の措置をなし得ることとし、その業務の監督指導に遺憾なきを期しております。~
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  第四にあんま、はり、きゆう等と異なり從來中央の法令においては、それ自體として正式に取上げられることなく、あるいは國民醫療法により取締りあるいは都道府縣令に基いて届出制度等により、適宜取ずりを行つておりましたいわゆる醫業類似行為ないし療術行為は、醫療衞生上種々の幣害も考えられますのみならず、在置の根據も乏しいと考へられますので、今後新規には一切認められないこととし、これを業として行うことはできないことといたしたのであります。~
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  第五に關係業者、醫師、學識經驗者からなる諮問委員會を中央、地方に設けまして、學校養成施設の認定、その他業務上の指導監督につきまして、これを民主的に運營し、その適切妥當を期するため、重要な事項を調査審議させることといたしております。~
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  以上が本案の骨子でありますが、なお從來これらの業務を行つておりました者の既得權とでも申すべきものを保護する等のための經過的措置としまして、從來の規則によつて免許を得た者についてはそのままこれを認め、また免許を得る資格のあつた者、または外地においてこれらの業務を行つていた者であつて、内地に引揚げた者等の免許に對しては、それぞれ一定の例外措置をなすこととしております。~
 なお從來一定期間以上いわゆる醫業類似行為を業としていた者であつて、本法施行後必要な届出をした者は、本法施行後も一定期間内はその業務を行い得ることとし、これに對しては業務及び廣告の制限並びに衞生上の指示檢査等の監督指導、その他業務の停止禁止等の處置をなし得ることとしております。~
 何とぞ御審議の上、可決せられるよう希望いたします。~
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    ……略……~
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 ''○田中(松)委員''~
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 法案も今朝いただいたばかりで、まだ十分吟味いたしておりませんので、あるいは的はずれなお尋ねをするかもしれませんが、その點御了承願います。~
 このあんま、はり、きゆう、柔道整復術その他の一連の案件につきましては、法案を審議する上に、ただ單に醫學上の問題についていろいろ研鑚する以外に、大きな社會問題として考慮を拂わなければならない案件でございまして、この點については、政府當局も、あるいは委員長初め各厚生委員の皆さんも、あらゆる方面からいろいろの陳情請願を受けておられることでございましようが、大きな社會問題になつたことで、延いてはその間にいろいろの揣摩憶測というようなものもありまして、場合によつては厚生委員會全體の名譽に關するような妙なデマも飛んだこともございまして、私ども迷惑しておる點もございます。~
 こういう點につきましては、この際はつきり世間の疑惑を解くようにしておきたいと思うのであります。~
 お斷り申し上げておきますが、私はまつたく醫學の問題については素人でございまして、私が今お尋ね申し上げることは、いわゆるその道の研究をされた方々から見られると、あるいは矛盾いたことを申し上げるかも知れないし、あるいは醫學上の問題に對してまつたく何らの知識もないような點が指摘されるようなことが多いと思いますけれども、私どもは、ただ單にこれを醫學上の問題としてでなしに、關連した大きな社會問題として考えたいのでございますから、そういう點も含んでお尋ねをしたいので、當局といたしはいてもそのお含みで御答辨をお願いしたいと思うのでございます。~
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  まず試驗制度についてでありますが、この試驗制度につきまして、法案をちよつと今目を通しただけでありますから、あるいはあとでよく調べてみると納得がいくかもわかりませんが、試驗制度にするというのでありますが、その試驗の制度について、たとえば昔から、あんま、はり、きゆう、というようなものは、何もそういう法案はなくても、世間的にみますと、目の悪い人たちの專業のようなぐあいに見られておりました。~
 現に全國の盲唖學校では例外なくあんま、はり、きゆう、というようなことを教えておるようでありますし、ほとんど目の悪い人たちはあんま、はり、きゆう、というような職で生活を立てておいでになる方々が大部分である。~
 もし試験制度によりまして、そういう人たちが試験に通らないというようなことで失職するというようなことがあつては、これはたいへんなことになると思うのです。~
 もちろん人髓生命に關することでありますから、職業のために危險なことをやらせるということは考えなければなりませんけれども、私ども今日までの常識から考えてみますと、それほど、はり、きゆう、というようなことが幣害があるようには考えられません。~
 醫學上からいたしますと、これは何も醫學上の根據がない、科學的な根據がないという御指摘をされておるようでありますけれども、この點につきましても、たとえば、もう全國どこへ行つても醫者のない村はない、そうしていつでも治療を受けたい、醫者にかかりたいときにはすぐに醫者にかかれるというような状態になつたときには、また別個に考えなければなりませんけれども、今日におきましては、全國に醫者のいない村も相當にありますし、また、實際醫者にかかりたいと思いましても、遠方であつたり、あるいは、そばにありましても相當高額の治療費を要するために、ついしきいが高くなるというようなこともありますし、そういう場合に、このはり、きゆう、というようなものは、昔からごく手近かに、しかも治療費の方から申しますと、たれでもが負憺できるような輕い料金で治療を受けられる。~
 そうして、その結果しいたしましても、場合によるとお醫者で治らなかつたことがそういう方面で治るとか、日本の氣候風土の關係で特に多い神經痛というようなものは、むしろこつちの方がいいというようなぐあいで、非常に民間の方ではなつかしまれておる治療法でございます。~
 そういう治療法を長い間私どもが受けた感じからいたしましては、いい方にはいろいろな結果であつても、特にそれが悪かつたというようなことはあまり聞いておらぬのであります。~
 そうすると、そういう民間になつかしまれており、しかも社會問題として考えると、全國何萬の目の悪い人たちに職を與えておる、これが試險制度によつて將来ぴしやつと押えつけられることになると、冶療を受ける民間の方も困るし、それによつて職をもつておいでになつた盲人の方も由々しい問題になつてくる。~
 そこで今度課せられる試驗というものが、もちろん百人が百人通るような試驗にするということも考えものでございますけれども、眼の悪い人であつても、勉強しさえすれば當然百人のうち九十人までは通るというような試驗でございましようか、それとも百人受けても二十人か三十人、よほどのものでなければ通らないというような高度の試驗になるのでございましようか、その點お伺いしたいと思います。~
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 ''○東政府委員''~
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 ただいまの御質問の趣旨は、私どもにおきましても十分愼重に考えてまいつたのでございます。~
 本國會にかような法案を提案いたして審議をお願いいたしておりますそのいきさつにつきましては、すでに一應委員會の席でも申し上げたと存じますので、時間の關係上割愛させていただきますが、要するにこの法案のねらいといたしておりますところは、人の疾病、健康等に重大な關係のある術を施す業についてのものでありますので、それに相當の學術技能を要することは、申すまでもありません。~
 從來も試驗の制度でやつておりましたが、從來の試驗制度よりはその全體の程度が上りますことは事實であります。~
 しかしながらただいまお尋ねになりましたように、よほどの技能確實な持主でなければ突破できないという、文字通りの難關を設けようというのではないのでありまして、むしろねらいは試驗を受けるまでに至る素養と教養を高めようというところにあるのでございます。~
 從つてこのいわゆる中學校な基礎教育を受けましたのちに、あんまについては二年、鍼灸については四年というその特別の技能に對する學術と技術の修練を經まして、試驗を受けるのでありますが、從つてこれら正規の修業をせられた人々にとりましては、當然その試驗に及第し得る程度のものと考えております。~
 すなわち試驗そのものによつて、いわゆる狹き門を築くつもりではないのでありまして、廣き門でありますが、その門がただいまよりはやや高きところにあるということを趣旨といたしております。~
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 ''○田中(松)委員''~
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 次に第四條、第五條の主として柔道整復術のことに關連してでありますが、第四條によりますると、外科手術を行つたり、藥品を與えたりしてはいけないということになつておりますが、脱臼したとか骨が折れたという場合に、俗にいう骨接ぎの仕事をすることは、ちよつと考えてみると、外科手術のような氣がしますが、そうしてその上にこうやくでも張つてやるということまで第四條によると禁止せられることになると、その骨接師の仕事そのものを否定したようなかつこうになつてしまいますが、一應この法案では柔道整復等も認めることになつておる、そうして内容としては外科手術を行つてはならない、藥品を投與していけぬというのでございますから、こうやくも張つてはならないかつこうになりましようが、そうするとどうも整復、いわゆる骨接ぎの仕事はなくなつてしまうような氣がいたします。もちろん文字通りの解釋をいたしますと、柔道整復というのであります、から、腹を整える、さういうような意味かもしれませんが、世間一般では骨接ぎと解釋しておりますが、骨接ぎといたしますとこれは骨の折れたところを接いでこうやくを張るというようなこと、これを許さなければ、全くそれを許さぬかつこうになりますが、その次の第五條では、骨折の患部の手術をしてはならない、但し柔道整復師が應急の手當をする場合はこの限りではない、こういうことになつておりますが、そうしますと、今申し上げまするどの程度をやつてよいのか、どの程度がいけないのか、そうしてまた根本的にいいますと、全く骨接ぎそのものを否定すねようにも見受けられますが、この點について御説明をお願いします。~
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 ''○東政府委員''~
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 第四條、第五條についての御質問がございましたが、決して接骨の施術をできないようにするとは考えておりません。~
 なおこの法案は大體において現行の營業取締規則がそのまま經繼されることを骨子といたしておりますので、ただいままで柔道整復として行われておりましたものは、ほぼ全部行われておりましたものは、ほぼ全部行われるわけでありますが、ただいまの外科手術の問題でありますが、これはなるほど脱臼を直すこともあるいは應急的に骨折部に手當をすることも外科的手術には相違ございませんが、ここに申しております外科手術と申しますのは、いわゆる血を見るような手術、看血的な手術という言葉も使われておりますが、外科醫者がメスをもつてするような手術を申しておるのでありまして、つまり醫者のやることを接骨師がやることはよろしくない、藥を投與して治療させますこともこれは醫業として醫師にのみ許されておる行為の範圍でありますので、お醫者さん以外にやることでないということでございます。~
 從つて應急の場合には即坐に今の接骨師に必要な手當ができることになつておりますが、醫師の同意を得た上であれば脱臼あるいは骨折等の患部にも手術はできることになつております。~
 すなわち外科手術は、決して簡単に行われますような、そういう手當をも含めておるというのではございません。~
 純然たる觀血的外科手術という意味でございます。~
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 ''○田中(松)委員''~
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 第十九條、いわゆる第一條に掲げる以外の醫療類似行為の點についてでありますが、これにつきまして、これも専門的なことはわかりませんが、胸部疾患の場合、あるいは關節炎、骨折の場合、レントゲンで寫眞をとりますが、あのレントゲンというのは、私どもは簡単に考えて、すぐに胸をみてくれ、あるいは子供が骨折して場合には、一番に寫眞をとつてもらおうというようなぐあいで、重實がつてお願いしておりましたが、最近ある方面の話を聞きますると、あのレントゲンというものは非常に影響力の多い、いわゆる今日世界の大問題になつておる原子爆彈のあれに類するような光線とあまり變らぬような光線だそうですが、それほど大きな影響力をもつておる放射線の操作を行う人たちが、今のところでは何でも器用な者であつたら、まつたく何らそういう問題に對して講習も、あるいは正規の教育も受けていないような者でも、白い上つぱりを着ると、すぐにハンドルをまわしてジャーとかけるというようなかつこうになつておることを聞いて、私はびつくりしたのでございますが、そういうものこそ相當嚴重なる、高度の試驗制度にして、この人に扱わしたらまつたく危驗はないというぐあいに、吟味しなければならぬように私ども素人で考えるのですが、現行におきましてはそれほど大きな仕事をしておる人が、器用な者がだれでもハンドルをまわすというようなかつこうになつておるということを聞きまするが、この點について一體どうなつておりまするか、私ども素人の考えでは、そういうものこそ高度の試驗制度をやつて、相當の放射線技師とか何とかいうような肩書のある、信頼のできる者にのみ限つてやらすベきことじやないかと思いますが、この點についてお伺いします。~
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 ''○東政府委員''~
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 X線そのものの人體に對する危驗性につきましては仰せの通りでございますが、現在放射線の技術者が働いておりますのは、すべて醫師の監督のもと、醫師の指導のもと、醫師がいわゆる處方を出して、その醫師の處方に基いて行うというのでありますから、その技術者それ自身の獨自の見解によつて危險を冒させるような施術はしていないはずであります。~
 すべて醫師が放射線を照射いたしますことについての監督と指導の責任をもつておるわけでございます。~
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 ''○田中(松)委員''~
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 御説の通りであつたら私はこういうお尋ねはいたしませんが、私もう肉身の者だけでもすでに數人の者が數十囘にわたつてレントゲン寫眞をとつておりますが、今おつしやるところを聞くと、醫者が監督をするように言われるけれども、もちろん表面監督することにはなつておりましようが、レントゲンの寫眞をとる部屋にはお醫者はおいでたことはまつたく一遍もございません。~
 皆その技術者が數十囘だけがみんな例外であつて、そのほかの場合は全部堪能なるお醫者さんが監督をしておるのだつたら何でございますが、實際にそういうことにはなつておらぬのでございます。~
 それで私は今申し上げるようなことをお尋ねせずにおれなかつたので、それを聽いてからというものは、もうちよつとレントゲンにかかるということは恐ろしゆうなつて、足踏みしておるようなかつこうでございますが、それはいわゆるこういうぐあいにやれというような程度の、前に教えてもろうておけば、その通りやりさえすれば危險はないものでございましようか。~
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 ''○東政府委員''~
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 今のお言葉によりますと、レントゲン寫眞をとる囘數が多かつたように思いますが、これなどにつきましては、技術そのものとしてはきわめて簡單なものでありまして、一定の方式と規格によりまして簡單に、危險なくX光線の寫眞をとることができるのであります。~
 ただしかしながらただいまのように數十囘というようなお話もございましたが、その囘數につきましては、あまりにたび重なれば、そこに危險のあることば明らかであります。~
 その點につきましては醫師が十分に注意もし、監督もいたしておるはずであります。~
 しかし寫眞をとりますその事柄につきましては、一定の技術を習得しておりますならば、決して危險なく操作ができるものと信じております。~
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 ''○田中(松)委員''~
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 これも第十九條等に關連する醫療類似行為のことでございます。~
 もちろん最初におことわり申し上げた通り、私は醫學上の知識は何らない者でございますが、實際の經驗の上から、たとえば電波を身體に通ずる、それによつてあるいは齒痛であるとか、乳腺炎であるとか、胃痙攣であるとか、特に今日世間でもてあましておるような慢性の淋病であるとか、淋毒性の關節炎であるとか、第四性病とかいうような、もちろんお醫者の力で治らぬことはございますまいが、治療費なんとかとにらみ合せまして、今日多くの人にはもうちよつと絶望的な病氣とも言われるようなものが、ごく安い料金でもつて、事實上ほんとうに治るというような民間における醫療類似行為というものがいくらもあるようでございます。~
 もちろん科學的には根據がない。醫學上から見たら危險だと言われても、それをやつて多くの人たちが治るというような、社會的に見て非常によいようなことであつたなら、私どもはこういうものは殘しておきたい、こういうぐあいに考えておりますが、提案理由の説明のときにもございましたので、今日はこういう點について深くお尋ねをし、審議をする機會はありませんので、後日こういう問題については、私どもは厚生委員會獨自の立場からひとつ考えてみたいと考えておりますが、それにつきまして今まであんま、はり、きゆう治、柔道整復術というものは省令で認められておつたが、そのほかのものは省令で認めないのですから、省令で認めてないものには免許制もあるはずがないのですが、そうすると第十九條の「醫業類似行為を業としている者であつて、この法律施行の日から三箇月以内に省令の定める事項につき都道府縣知事の届け出た者は」傳々とございますが、この點どういうぐあいになつておりましようか。~
 省令にないのだから免許制もないはず、免許制でなかつたならば、今まで日陰でやつておつたような者でも届け出るならいいというかつこうになるのでしようか。~
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 ''○久下説明員''~
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 私からお答え申し上げます。~
 醫業類似行為については、從來大部分が都道府縣において、それぞれ都道府縣令を制定公布しておりました。~
 それによつて、届出によつてその業をやることが認められておつたのであります。~
 なおこれを本年の七月の初めに一括して省令に根據を置き得るようにいたしまして、それぞれの府縣令は簡單なる厚生省令に基いて出されておるという形式を整えまして、今日に至つておるのであります。~
 さような法律的な關係もございまして、この問題は單なる事實上の行為として行われておるというのではございませんので、今申し上げましたような形式において、法律的にも認められて、やつておる。~
 こういうふうに考えておる次第であります。~
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 ''○田中(松)委員''~
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 醫師法と齒科醫師法というものは、素人目で見ますと、どつちも國家試驗によつて、ああいう法律でできておるのでございますから、これこそ一緒にしてもよさそうなものでありますが、あれもやはり醫師法と齒科醫師法と別個になつております。~
 あの肇法から行きますと、この際、あんま、はり、きゆう、柔道整復というものはそれぞれ別個の法律として獨立さすべきではないか。~
 これが一緒でいいなら、醫師法と齒科醫師法も一緒でいいのではないか。こういう氣がいたしまするが、この點については今日は深く私ども審議をいたしません。~
 當局の御意見だけ承つておいて、次の國會においてでも、根本的に厚生委員會獨自の立場から研究していきたいと思いますが、今はこの問題を別々にされないか一本の方がいいか、その點について御意見を承りたいのでございます。~
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  それからこれは委員長にひとつお願いがありますが、實は最初に申しました通り、あんま、はり、きゆう、柔道整復の問題が非常に社會問題として大きく取上げられました關係で、いろいろ妙なデマが飛んだりして、委員長氣がついておいでにならないかしりませんが、私は委員長の名前の出ておる新聞、私の名前の出ておる新聞なんかを突きつけられて、詰問を受けたことがございます。~
 何かあんま、はり、きゆう、柔道整復というものが今度全面的に禁止されるのではないか、それを何とかして通してやりたいから、そうするためには運動資金が要るから、金を持つてこいということで、各方面でそういうぐあいに運動資金と稱して金を集めた。~
 もちろんこういう場合に、業者の方々が陳情されるという場合に費用が要ります。~
 だからそういう費用を業者の人たちが醵出し合うということは、何ら違法ではございませんし、當然あり得べきことであつて、そんなことについては私ども何とも申し上げるのではありませんが、少くともこの法案を通すにあたつて、政府當局あるいは衆參兩議員、特に厚生委員を何とかしなければならぬというようなうわさでも飛んでおつたとするならば、これは厚生委員會、國會全體に對する權威の問題でございますから、この際まつたくわれわれはいろいろ陳情、請願は受けたけれども、物的にそういうことを要求したこともなく、またもつてこられたのを受けたこともないということを、何かの機會にはつきり委員長からしておいていただきたい。~
 もう一つは、大分請願もしてみたけれども、一向われわれが考えるほど議員は努力してくれなかつた、こういうことも流布されたようでございますが、實はよそは知りませんけれども、この厚生委員會においては、陳情、請願を受けた各委員は、みな同じようにこの問題について寄り寄り協議をいたしますし、相談をいたしまして、特に委員長を通じては某方面には再々努力を願つた。こういうぐあいに表にわれわれは、こうした、ああしたという宣傳こそしなかつたけれども、事實われわれでできる限りのことはいたしました。~
 これはなにも頼まれたからしたのではございません。われわれはこうすることが當然だという建前からやつた。~
 そういうことが表に現われないために、あるいは金の問題と絡んでみたり、あるいは議員としての職責をサボつたのじやないかというようなうわさが飛んだりいたしまして、非常に迷惑を感じたこともございますので、これは委員長において、しかるべき機會に明らかにしておいていただきたいと思います。~
 以上をもつて私の質問を終ります。~
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 ''○東政府委員''~
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 ただいまの最後の方の問題でありますが、不幸にして私自身も某地におきまして、業者の代表の方方から、さような風説がある、それで政府を動かすために多大の努力が拂われておつて、その中には物質的な面もある、というふうなことまで聞いたことがございますが、その席上でも私は色をなして實は返答したのでありますが、今囘のこの法案制定に至りますまでの經過は、もはや繰返しては申し上げませんが、まことに困難な道であつたのであります。~
 從つて私どもといたしましては、この問題が社會全般に與える重大性を考えまして、われわれとして能う限り愼重に、しがしながらでき得る限り各方面への影響を考慮して行動してまいつたつもりでありまして、その間いろいろな忌わしいうわさを立てられたような事柄は、當然ではありますが、絶對にいたしておりません。~
 少くとも私どもは公務員といたしましての責任と自覺のもとに、そうして私自身といたしましては、みずからの學問に對する誠意と、學者としての良心に恥じるような行動は絶對にいたしておりません。~
 またその話の節には國會關係の方々にまで御迷惑を及ぼすようなうわさも聞きましたが、それに對しましても私は強く私の考えを申しまして、絶對にさようなことはないと否定はいたしました。~
 ただいま田中委員のお話のようなうわさは、たとえうわさとしても、さようなことが立つたことはまとに遺憾でございますし、また參衆兩議員の方々に對しては非常に御迷惑であつたことと存じます。~
 もしさようなうわさが厚生省當局、私どもの言動の中から産み出されたものといたしましたならばまことに不徳のいたすところであります。~
 しかしながら厚生省の私どもといたしましては、いかなる方面から、またいかなる方向から觀察批判をいただきましても、一片のやましいところもないことだけをこの席で申し上げておきます。~
 ~
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 ''○小野委員長''~
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 ちよつと速記を止めてください。~
     〔速記中止〕~
 ~
 ~
 ''○小野委員長''~
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 速記を始めてください。~
 太田典禮君。~
 ~
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 ''○太田委員''~
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 あんま、はり、きゆう、柔道整復術は、明治四十四年の取締規則には甲種と乙種とがございましたが、今度これが一本になつておるのは、おそらく水準を上げようという意圖だと思います。~
 しかしさいぜん田中さんの質問もありましたように、盲人の中には課程を受けてもなかなか免状がとりにくいような人ができるというようなこともあろうと思いますし、何とかあんまだけでもいいから乙種をおいて、簡易な試驗もやるということができないであろうか。~
 ちよつとそれをお伺いしたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
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 仰せの通り從來甲乙二種がございます。~
 今度の法にそれを一樣に扱つておりますのは、お話の通り資質の向上という點にあるのであります。~
 しかしながらあんまにつきましては他のはり、きゆうよりも實地の修業年限と申しますか、これが二年ということにいたしておりますので、はり、きゆうよりはやや簡易と申しますか、教育を受けやすいように、そうしてまたなるべく早く生業につけますようにという考慮を拂つたつもりでおります。~
 ~
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 ''○太田委員''~
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 第七條の廣告の規定でございますが、「その技能、施術方法又は經歴に關する廣告をしてはならない」とありますが、今まで鍼きゆう醫院というような文字がしばしば見受けられたのですが、醫師とまぎらわしいような名稱をここに禁止するようにしていただきたいと思いますが、いかがでございましようか。~
 ~
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 ''○東政府委員''~
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 この法案にも明らかにありますように、これらの業を行います方々はそれぞれあんま師、はり師、きゆう師、柔道整復師というようになつておりまして、醫師とはそこに畫然たる區別があるのであります。~
 從つて醫という字を、その業あるいは業者の名稱の中に加えることは絶對に不可で、よろしくないと考えております。~
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 ''○太田委員''~
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 第八條でございますが、今までに免許をもつておる者は再教育をするようにしたらどうかということが、閣議のときに載つておつたということであります。~
 これには載つておりませんが、それでもそのまま三十年まではやらない方針ですか。~
 やつた方がいいじやないかと思うのでありますが、いかがでございましようか。~
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 ''○東政府委員''~
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 仰せの通りでありまして、既得權者と申しますか、すでに業界にある方々におきましても、その資質を向上させることは絶對必要條件と考えられます。~
 殊に新しく業界へ現われてくる將來の方々は、この法律が規定いたしておりますような、より高い教養と教育のもとに進出してくるのでありまして、それらの方々と同じ立場に立つて業を行われますためには、年輩から言いましても、同等あるいはそれ以上の教養と素養と訓練がなくてはならないと思うのであります。~
 從つてその意味におきまして、再教育をすることはぜひとも行われなければならぬし、また當然それをやられるだけの熱意が既得權者の中にあると私は信じております。~
 それにつきまして、それらの再教育を厚生省が行うというふうなことも一つの考えとしては檢討いたしました。~
 しかし結局相當の數に上るそれらの業界の方々を、厚生省の手におきまして再教育をうるということは、事寛上不可能であります。~
 むしろこれは外から強いて與えるものでなく、業者それ自身の自覺によりまして、自發的にいわゆる下から盛り上る力と熱意によつて、十分なる再教育を行われるようにお奬めして、指導いたしたい。さような催し、計畫については厚生省としてできる限りの援助をいたし、またいわゆる指導もいたす。~
 さような心組はもつておりますが、直接厚生省からする、あるいはせよと命ずるということをしないというだけでありまして、事實上それが行われることを期待しておるのであります。~
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 ''○太田委員''~
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 もう少しそれを何とかできないものか、できるだけひとつ、命令でやるということも無理かと思いますが、その越旨の徹底するようにお願いします。~
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  次には十九條の醫業類似行為を昭和三十年十二月まで既得權を認められる。~
 それからは許可しないというならば、それは有害であるから許可しないのか有效でないから許可しないのか。~
 もし有害であるならば、既得權をもなぜ認めるか、そこに何かの試驗とかいう方法でもとらないと、はなはだ矛盾するように思うのでありますが、いかがでありましようか。~
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 ''○久下説明員''~
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 ただいまの第一の御質問でございますが、第八條に都道府縣知事が心要な指示をなすことができるという規定がございます。~
 補習教育の必要のある場合に、なおそれが自發的に實施させない場合には、この規定の發動によりまして、御趣旨の目的を達し得るものと考えております。~
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  第十九條についてのお尋ねでございますが、まずその根本である十二條において將來に向つてこれを一律に禁止し、現在やつておる者について當分の間既得權の存置をいたしたのであります。~
 その趣旨は、實は從來これらの醫療が實際問題として、先ほど申しましたような性質において認められておる理由は、少くとも害はないという程度のものだけが認められておるのでありまして、ただその害がないという事柄の判斷でございますが、從來の考え方は、そういう療術行為を身體に行いますこと、それ自身によつて、害が生じないという意味合において認められておるのであります。~
 積極的な治療效果というものについては、必ずしも嚴密に判斷されておらないのであります。~
 從いましてこれがいたずらに萬病にいいとか、あるいは相當な數多い疾病效果があらかどうかということについては、過去においては檢討をされておらないのでございます。~
 從いまして同時にまたいわゆる醫業類以行為というものは、そういう面から見て、醫學の素養のない人々が廣告をしておるようなことに對して、萬全の效果があるかどうかということについては、むしろこれは多くの場合否定をしなければならぬではないかと思つておるのであります。~
 そういう意味合において、これを一般の者が信用してかかつておることについて、病氣が治らない場合が起るという、消極的な害がないとも言えない場合があるのであります。~
 それらの問題を考慮いたしまして、一面においては十二條においてこれを行うことができないという規定を設けますとともに、從來の既得檢を一定の期間認めておるのであります。~
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 ''○太田委員''~
 ~
 特に醫業類以行為に中で一番近ごろはやつておりますものは指壓療法であります。~
 指壓が非常にきくと言つて、陳情にこられて閉口いたしました。~
 指壓というものは私受けたことがないので知らないのですが、何囘もおすそうですが、反復やればあんま術にあたるのではないかと思いますが、それならあんまの免許をとつていなければ指壓を許さぬということにしたらいいと思いますが、その點についてお尋ねいたします。~
 ~
 ~
 ''○久下説明員''~
 大體私どもといたしましては、御趣旨のように考えておるのでありますが、なお將來の問題といたしましては、現在の取扱いでは指壓療法は醫業類似行為といたしまして扱つております。~
 しかもなお將來にわたつて八年間この業態の繼續が認められておりますので、その間におきましてあんまと違つた獨自の効果があるということが科學的に制定をされ、これが世の中に認められるように相なりますれば、また法律の改正等によりまして別途の措置が講ぜられましようし、今お話のように、あんまの免許を受けることによつてこの方面に進出するということも可能だと考えております。~
 ~
 ~
 ''○太田委員''~
 ~
 この醫業類似行為は、さいぜんの御答辨によりますと、あまり害はないということですが、われわれが實際に經驗したことによりますと、ずいぶん診斷をつけまして、診斷をつけてはいかぬのですが、これは胃癌ですとかこれは何ですとかいう診斷をすることが、はり、きゆうの方にもあつたと思いますが、これに對しては嚴重に取締りを願いたい。~
 そうすると罰則が安すぎるから、これをもう少し高くしてもらいたいと思うのです。~
 ~
 ~
 ''○久下説明員''~
 ~
 大體お話の通り私どもも考えておるのであります。~
 先ほど私が害がないと申し上げました反面のことを、消極的な害という言葉で申し上げたのはそのお話の趣旨でございます。~
 それから罰則が輕いじやないかというお話ですが、これは何囘でも加重できますから、その邊は實際の運用によりましてその目的を達することができると思います。~
 ~
 ~
 ''○大瀧委員''~
 ~
 私はこの法案を十分讀んでおらぬのでありますが、大體田中君が意を畫してくださつたように思いますから、第二條についてちよつとお尋ねいたしたいのであります。~
 第二條に學校または養成施設を卒業した者であつて、その試驗を受けなければならぬ、こういう規定があるのでありますが、「學校又は養成施設」というものはどの税定のものを許可するのか、これはあんまとか、はり、きゆうというものは、御承知の通り多く目の悪い方ですが、それを遠く離れた一定の場所にのみ寄せてこれを教育する、こういうようなことよりも、むしろ家におつて師匠について十分に習うということが、あんまの養成に一番よい機關だと私は考えておるのであります。~
 それで試驗についてもこれは學科と技術の試驗と二つあるだろうと思いますが、むしろあんまの試驗は學科が主でないじやないか、これは衞生生理、その他さまざまな病理學も習うということが書いてありますけれども、これよりもあんまの今までやつてきた過去の關係から見ましても、そうした學理よりも技術的にもつと考えなければならぬじやないか、こういう點から見まして養成施設というものは各個のその許可を得た家が養成施設なんだということになりますれば、何にも文句がないことでありますけれども、學校と同じような養成施設であつて、郡に一箇所、あるいは縣に何箇所ということでは、實際に不可能な結果に終るのではないか、こういうことを憂うるので、その點について養成施設というものはいかなるものであるか、學校と養成施設というのはいかなるものであるか、またどういうことをそこでなさしめるのか、むしろ今のように各個のあんま免許者に對して、養成施設としての規則を何か設けて任せたらどうかということを考えましたので、養成施設に對して何らかのお考えがありましたならば承りたい。~
 ~
  もう一つはただいま申されました試驗というのは、いかなる程度の試驗をなすのであるかということであります。~
 あんまは先ほど申し上げた通りに技術の問題であつて、頭や肩の凝りを解きほごすということは、病理、衞生その他の學問を、非常に丹念にお醫者のように習つていなければできないというものではないと私は思います。~
 そういうことで、この試驗にあたつては學科試驗はどの程度のものをやるか、技術の試驗はどの程度であるか、そういうことを十分に承りたいのであります。~
 先ほど田中君のお話では、なるたけ從來の程度のもので、それより少し高いくらいだというようなお話があつたのでありますが、この程度で學科を主とせずに、技術を主とするかどうかということについても承りたいと思うのであります。~
 ~
  次に學科と養成施設を卒業した者でなければ、試驗を受けることができないという點でございます。~
 それはあんまや何かはとにかく目が非常に悪いので、學校とかなんとかいうことは、なかなか容易がない。~
 こういうことから考えましたならばこの學校、養成施設の卒業というようなことは度外視して、試驗にさえ通ればいいじやないか、試驗を通らせるということだけにするということが、身體竝びにその生活の面から考えましても、特に二箇年間あるいは柔道整復術においては四年間というものを、學校とかそうした所に通つていなければならぬということは、實際むずかしいことだ、こういう意味において、きわめて機會均等の立場からみますならば、試驗さえ通ればいいじやないかと私は考えますので、この學校養成施設ということは抜きにして、試驗一本にしたらどうか、こういうふうにも考えるのであります。~
 この二條においては、この三點だけを一應承りたいと思うのであります。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 ただいまの御質問の第一點であります。~
 「學校又は養成施設」とはいかなるものであるかということであります。~
 そしてまたこれはいわゆる徒弟のような形で十分やれるではないかというお話でありますが、なるほど過去の歴史につきましては仰せの通りであつたでありましよう。~
 ただ今度のこの法案の全體の構成と申しますか、その考え方が過去の歴史についての再檢討というふうなところに、その出發點をおいているのでありまして、なるほどもむ技術それ自身は、今のような徒弟制度で十分なことが得られるかもしれないのでありますが、この法案にありますあんま、はり、きゆう、柔道整復術等を含めて、これを一つの醫療補助の仕事として、これに十分な科學性をもたせる。~
 そしてこのものの地位を高めるということが一つのねらいになつておりますが、そのためには單なる徒弟制度におきましては、十分なる基礎教育ということに缺くるところがある。~
 そこで正規の正道を歩んで、學校もしくは養成施設、從つてこれは徒弟制度ではなく、一定の設備と教員とを完備しているところのものにおいて、十分なる基礎教育を與え、かつ實地の修練をさせようというのが、ねらいでございます。~
 ~
  それから試験はどの程度かというお話がございましたが、先ほども申し上げました通り、これらの學校教育を經ました者につきましては、十分に合格し得るものであるベきだと考えております。~
 この試験とはいかなるものであるかということは、この法案の中のたしか十三條にもございますが、各都道府縣においても、適當な委員會のようなものが設けられ、その實際の教養、學識經驗ある者、醫師等からなる委員會ができまして、その委員會において適當なる試験委員が設けられ、また適當なる試問の内容が決定せられるのであります。~
 それに對して中央においても委員會がありまして、全體の規格、基準等は指示することになつておりますが、決して落すことを目的とするようなむずかしい試験であるという意味ではないのでありまして、むしろ學校教育を受けさせ、十分な教養をつけさせるということを主眼にいたしておるわけでございます。~
 さような意味でありますので、從つて第三の試驗一本にしたらいいではないかということに對するお答えにもなるのであつて、教育によつてその素質竝びに資質を向上せしめることを主眼にしておるのでありますので、從つて試驗のみによつてこれらの者を許すということは考えていないのであります。~
 ~
 ~
 ''○大瀧委員''~
 ~
 ただいま養成施設竝びに學校によつて從來の地位を向上させると言われだが、それは試驗でも同じと思う。~
 また科學的な基礎を與えて効果を大ならしめる。~
 こういうことであるのだが、今のあんまの施設より以上に効果の大なるということをどこに求めるか、はつきりわかつていない。~
 私はあんまの現在の施術は、進歩しても、やはり今のようなものじやないかと考えておるので、さらにその必要がないのである。~
 徒弟が最もいいのだと考えますが、今後あんまの施術において効果を大ならしめることができるということを、あなた方の科學的、專門的な立場から考えておるとするならば、どういう効果を大ならしめるかということを承りたい。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 あんまについても、これは本來はきゆうと同じように、やはり經穴とか經絡というものを指さして、それを機械的にもむ。~
 そうして治療の効果を得ようとする。~
 それが從來のあんまであるし思います。~
 今までのようなやり方で、いかにこれに教育を與えても、それ以上効果のあるものにはならぬだろうというお考えのようでありますが、これは私どもと多少考えが違つている點でございます。~
 なるほど技術そのものについては、今まででもりつぱなあんまさんがあるので、比較的十分な教育を受けていない者でも、そういうりつぱな者があるということは事實として否定できない。~
 しかしまたそれらの方々がもしより以上の科學的な教育を受けられたならば、もつとりつぱなあんまさんになられたかもしれんということも考えられるのでありまして、私としてはそのことによつて、今までよりもりつぱなあんまさんが出てくると思います。~
 また半面は、かりに相當りつぱなあんまであつても、誤つて無理をせられたことがないとは期せられないのでありまして、かような消極的な方面についても教養の上ることがいい結果をもたらす、そういうことを期待いたしております。~
 ~
 ~
 ''○大瀧委員''~
 ~
 そういうようなことは一應御もつともであるが、しからばただ養成施設を卒業した者のみが試驗を受けられるのだということでなくしても、學問的な關係からだけがもし問題となるならば、徒弟制度であつても、りつぱに勉強ができて試驗を受けたら、それでいいではないか。~
 野口英世博士のごときは、ほとんど試驗ばかりで行つておる。~
 若いときに醫師の試驗を受けて開業され、それでどんどん進んで行つた。~
 それでもああいう世界的に有名な博士になられた。かような意味において、私はどこまでも機會を均等に與える趣旨においても、純然たる試驗制度こそ、ほんとうに國民の個人の人權を尊重するゆえでもある。~
 かような考え方からして、學校養成施設のみならず、およそ試驗を受けた者は何人でもいいのだということでなければならぬと思うのであります。~
 ただいまの東政府委員の答辯から見ますと、養成施設は必ずしも必要ではない。~
 だれども學問をして、その技術の方は試驗さえ通れは差支えないと考えるのでありますが、かような意味において、學校、養成施設を卒業した者ということを削られた方が、きわめて民主的であり非常に必要なことではないかと思うのでありますが、その點どうでしようか。~
 實際において養成施設とか、學校とか、そういつた一定の限られた場所に二年も何年もはいらなければならぬということはどうかと思う。~
 普通一般の人間と同じように考えてはいかぬ。~
 眼が悪くてとぼとぼしながら、一定の場所に通うことは容易なことではない。~
 のみならずそこに行けなかつたならば、そこに下宿して、そこに學費というものがなければできないのであつて、一般の生活の面においてたえがたい。かようなことから見て、結果において同じであるというならば、そういうことを抜きにして、眼の悪い者があんまとして生活できるような方途を講ずべきであると考えるのでありますが、その點についてどうお考えになりますか。~
 ~
 ~
 ''○一松國務大臣''~
 ~
 私、今途中から參りまして、大瀧委員の前半の質問をよく了承していないのでありますが、御質問の要旨は第二條の規定に關連しての御質問のようでありました。~
 この點について私の所見を申し上げて、御了解を得たいのであります。~
 從來のあんまというものは目明きあんまもあれば、盲あんまもありまして、このあんまに對する世人の觀察というものは、これらの人の地位とか、職業とかいうものに對して、あまりにこれを尊重していないような傾きのあつたことは事實でございます。~
 でございますから、できるならば保健衞生の片棒を擔う立場にある人で、その仕事が非常に大切な仕事であるということと同時に、それらの人々の資質を向上し、人格の修養にも努めて、これらの人々の地位を引上げてやることも必要であるし、またあんまの施術を受ける人の立場からすれば、安心して施術を受けるという安心感をもつ必要性から考えて、それらの人の地位を向上し、知識の發展をはかるということについては、おそらく大瀧委員においても反對はないと思います。~
 ただ問題は、いわゆるあんまの先生のところに二年、三年弟子入りして、先生から直接あんまをする方法を受け、もしくは話を聽いて、そして試驗を受けるということは必ずしも悪いのではないのでありまして、ちようどそれは昔の寺子屋で、一人の先生について寺子の人々が教育を受けて世の中に出て、非常に優秀な人が出た。~
 それならば寺子屋を存置しておいてよいじやないか。~
 小學校というものをこしらえぬでもよいじやないかという意味と同じで、寺子屋から出た人でりつぱな人があつたことも事實であります。~
 今あなたがおつしやつた野口先生が、ほとんど獨學で世界的なりつぱな人になつたという特別な人はあります。~
 しかしながらそういういようなただ弟子ということ、先生ということよりも、一層これらの人に對して地位の向上をはかり、學術も相當にこれらの人に注ぎ込んでやる。~
 世人からも尊敬を受けるようになる。~
 あんまをしてもらう人からも、この人のあんまならば安心してあんまを受けることができるという安心感をもつて施術を受けるという、いわゆる受ける方も、受けさせる方も、そういうような地位の向上をはかつてやることは必要なことだと私は思う。~
 た弟子入りをして、その家に二年、三年奉公して、手助けをしたいということだけで、もちろん試驗を受ければ及第するでしよう。~
 その議論はちようど獨學で高文の試驗を受けて及第する者があるから、公立學校の特別の專門的な教育は要らぬじやないかという議論と同じではないかと思う。~
 養成できるならばいわゆるそういうような學校もしくは養成施設において、解剖學、生理學、病理學、衞生學というものを修めさせて、この試驗を受けさせることの方が、今私の申し上げるような趣旨にかなうべきものであろう。~
 私どもの方ではそういうことを考えて、特に學校及び養成施設ということによつて、これらの人の地位を向上させ、技術を世人から信用を受けるようにしようということにいたしたのであります。~
 そういう點においてひとつ御了承願いたいと思うのであります。~
 ただあんまがよぼよぼして學校にいくことができぬじやないかということは、私の知つておるところによりますと、一本の杖を頼りにして二里も三里も歩いていくことができるのです。~
 この立法についてはぜひ御了承の上御贊成を願いたいのであります。~
 ~
 ~
 ''○福田(昌)委員''~
 ~
 簡單にちよつと質問申し上げます。~
 この法案は十數萬のこれらの業者の生活權に關する問題でありまするし、また一般的に言いましたならば、治療を受けるところの一般の大衆、殊に病人に對する問題でありますがゆえに、愼重に考慮しなければならぬ問題だろうと私は思うのであります。~
 そういう意味におきまして、この第二條の學校の修養施設における教科目の中の學課のことが書いてございますが、解剖學とか、生理學とか、病理學、こういつたものはどの程度、たとえば中等學校程度か、專門學校程度か、どの程度のこういつた學問を授けるものであるか。~
 また私の希望といたしましては、この解剖學、生理學、病理學又び衞生學のほかに、さらに徴候學というものを加えなければならないのではないかと思うのであります。こういつた業者の方々が、目が悪いとか、腸が悪いとか、あるいは神經痛だとかいうような診斷を簡單に與えております。~
 何ら徴候學というものを學んでないこういつた業者が、簡單に診斷を與えるということは、非常な誤りのもとをなすものでありまして、これにつきまして、ほんとうに施術をしなければならない時期を誤つて、病氣をますます悪化させるという例もありますがゆえに、この課目の中には、必ず徴候學を入れていただきたいとかように私は考えるのであります。~
 ~
  第一條にもどりますけれども、あん摩という下に「マツサージを含む」ということを書いてございますが、これは御承知でいらつしやいますように、あんまとマツサージというものは、これはおのずから差異があるものでありまして、「マツサージ」と入れることに關しまして、私といたしましては、これはむしろあべこべであつて、マツサージの下に「あん摩」と入れるべきものではないかと思うのであります。~
 マツサージこそ今日の醫學的な見地から見ましたならば、多少ともあんまよりは科學的のものであろうと私は考えるのであります。~
 このあんまの項目の中にマツサージというものを入れ得るならば、この項目の中にはさらにまた指厭療法というようなものも入れ得るのではないかということも私は考えるのであります。~
 これに對してましても、當局の考えをお聽きいたしたい。~
 さらに第一條に關することでありますが、あんまとマツサージとがあるいは指厭療法に似たものにカイロプラクテイツクという療法がありますが、これはたしかアメリカからきたものかと思いまするが、これの對して、アメリカではこのカイロプラクテイツク療法はどの程度において取扱われているものであろうかということに關しましても、一應御説明を願いたいと思います。~
 ~
  それから第五條でありますが、この「あん摩師及び柔道整復師は、醫司の同意を得た場合の外」云々ということが書いてありますが、私はこの條文におきまして、あんま師という字句を挿入する必要はないと思うのであります。~
 あんま師がこういうような治療をしてならないのは當然でありまして、またあんま師としてはすでに出過ぎた行為であると思いまするがゆえに、あんまということを特別規定する必要はないのではないか、さらにまたあんま師及び柔道整復師というものを竝置いたしますと、いかにもあんまというものと柔道整復師というものとが同等の形に取扱われがちに思われるのでありまして、その修業年限においても、修業課程においても非常に差があるものを、同一に取扱うことは非常に弊害を伴うものではないか、かように考えるのであります。~
 まずこの三點に關しまして御答辯を願いたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 第一の徴候學の點でありますが、私どもの考えておりまする中に解剖學、生理學、病理學及び衞生學というものがはいつておりますが、これは私ども醫學を專攻する者が現實考えるようなさようなむずかしい意味の病理學とは考えていないのでありまして、病理學ということの中に當然徴候學というようなものの内容等も含まれてくる。~
 いわゆる病理解剖學というものではないのでありまして、廣い意味の病理學というつもりでおります。~
 從つて簡單なる徴候學、こういうものも病理學という範圍内において十分教授し得べきものであると考えております。」~
 ~
  それから程度につきましては現在の中等程度の生理衞生などよりはやや高い程度を考えております。~
 醫學專門のような專門の學校とまではいきませんが、ややそれに類するものと御了承願います。~
 ~
  第五條のあんま師及び柔道整復等の問題でありますが、これは「脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ということがありますが、何も脱臼をあんまが直すという意味ではないのであります。~
 すでに脱臼をしてそれが整復せられておる患部でありましても、そこに多少のあんま術を必要とする場合には、あんま術といえどもやはりその患部に施術をすることがあるから、柔道整復師と竝べて入れたわけであります。~
 第一條の「あん摩(マツサージ)」の問題でありますが、これにつきましては、元來この法案全般が現在あります規則の代りとなるための法律をというのが最初の目的でありました。~
 從つて現行のものを根本的にかえる必要は少しのであります。~
 それからまた一方あんまという方が廣くと申しますが、一般的であるという、それだけのことであります。~
 ~
 ~
 ''○小野委員長''~
 ~
 以上をもちまして暫時休憩いたします。~
 ~
 ~
     午後一時十二分休憩~
    ━━━━◇━━━━━~
     午後二時二十五分開議~
 ~
 ~
 ''○小野委員長''~
 ~
 午前に引續いて會議を開きます。~
 福田昌子さん。~
 ~
 ~
 ''○福田(昌)委員''~
 ~
 第一條でございますが、柔道整復師という名前になつておりますが、世間ではこういうように呼んでいる人はまずないのでありまして、いわゆる骨接ぎ屋さんというような名前で呼んでいるのでありますが、接骨師に類したような、もつと簡單な名前にかえていただく方が大衆的であり、使用價値があるのではないかと思いますが、これに關してお伺いいたしたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○一松國務大臣''~
 ~
 接骨師というようにかえることにつきましては、別に政府として反對はいたしませんが、ただ今まで柔道整復師という名前を使つておりますのは、柔道整復師というものはこういう仕事をするんだということを世間が廣く知つておられるだろうと思つて、以前取締規則にそういう名前を使つておりましたから、それを使つたのでありまして、委員會におきまして、それは穏當でないから接骨師というようにかえろというような御修正のことでありますれば、強いて政府は反對いたしません。~
 ~
 ~
 ''○福田(昌)委員''~
 ~
 委員會にお諮りいただきまして、できましたら御訂正願いたいと思います。~
  それから第十九條ございます。~
 昭和三十年十二月一日までというふうに期限をお切りになりました。~
 將來八箇年ということは非常に期間が長過ぎるのでございますが、昭和三十年というのは何を基準にしておきめになつたのでしようか。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 十九條の昭和三十年十二月までという年限については、これだけの年限がなくてはならないというふうには考えません。~
 大體短かい方がいいとお考えになる方もありましようし、これでも短かいとお考えになる方もございましようが、これだけの年限をおきましたのは、その間に推移をみるというような餘裕をおきましたことと、諸種の療治行為と申しましても、厚生省において現在資料をもつておりますものだけでも四百二十何種類があるのでありまして、かようなものの中には自然消滅するものもありましようし、また當然陶汰されるベきものもあります。~
 また中には將來はり、きゆうと同じような地位に取上げらるベきものもあると思うのでありまして、私どもとしては、この問題に對しては、大體明治政府の時代において西洋醫と漢法醫、この兩者に對して當時の政府がとりました態度、すなわち一應漢法醫というものを抹殺いたしました。~
 しかしらがら今日においても漢法區の中のあるものはりつぱに生業を續けております。~
 またそれが漸次科學的根據を得て取入れられようとしておるのであります。~
 さような意味におきまして、よきものはますます科學的な根據を得て將來の途がありましようし、しからざるものについては、積極的に害ありと認めたものは、これを強力に抹殺いたします。~
 しからざるものは自然消滅をまつという意味において相當の時をかす、そういう意味で、この昭和三十年十二月までという區切りのいいところをとつたというものがおもな理由であります。~
 ~
 ~
 ''○福田(昌)委員''~
 ~
 第十八條の終りから二行目のところでございますが、内地以外の土地でこういつた業を營んだ引揚者に對する規定があります。~
 その履歴を審査してそれぞれその免許を與えると書いてございますが、その履歴を審査いたします規定は何によつておいたのでありますか。~
 ~
 ~
 ''○久下説明員''~
 ~
 私からお答え申し上げます。~
 履歴に對する審査ということを特に書きましたのは、いろいろ土地によつて免許の實質に差異がございまして、一律に扱うことができないためにかような規定を設けておるのであります。~
 これは從來厚生省令によつて、終戰後の外地引揚者についてこういう特例を設けて、その方針で取扱つておりますので、そのままこの法案に取入れたのでございます。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 あん摩、はり、きゆう、柔道整復等營業法案について御質問申し上げたいと思うのでございます。~
 第二條に「解剖學、生理學、病理學及び衞生學を含むものとし、」ということが書いてございますが、こういう學問ももちろんあんま、マツサージその他の方々には必要であることは當然でございますが、そのほかに最も必要なことは、大體疾病の概念竝びにいかにこれを治療するかという概念が一番必要なことでございます。~
 これをたとえて申しますと、盲腸炎の患者が過つてはり師のところへまいります。~
 そしてこれが盲腸炎だか何だかわからない。また盲腸炎はどうしたらいいか、いつの時期にどうしたらいいかということがわからずに、盲めつぽうにこれをもむとか、はりをするとかいうようなことが、現在におけるところの幣害の最も大なるものでございまして、大體の病氣の微候はこうだ、またこれを治療するのは、こういうふうに治療するのだ。~
 そこまでははり、きゆうがやつていい。~
 それ以上はこれを體者に渡すべきものだというふうな概念を、はつきりつかましておきませんと、解剖學、衞生學、病理學といううなものを學ばしておきましても、實際上にはその幣害が多いのじやないか。~
 こういうふうに私は思うのでございますが、どうしてそういうものが、この學問の中にはいつてないのでございましようか。~
 これが一つ。~
 もう一つは病理學というふうなものにいたしましても、盲の方に顕微鏡を見せるわけにはいかないのでございますが、どの程度の學問をおさせになるのでございましようか。~
 具體的なことについて承りたいと思うのでございます。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 ただいまの御質問ま第一點。~
 これは私も醫學の専門家として、榊原委員の御説はきわめてよくわかります。~
 まさにその通りであると存じます。~
 にもかかわらず解剖學、生理學、病理學及び衞生學等の名前をあげましたのは、實はこの法律の中にありますいわゆる基礎醫學のこれだけのものは、教科の中に含まれてなくてはいけない。~
 すなわち基礎醫學的の知識も、この程度の範團のものは援けるべきであるという、例と言つては語弊があるかもしれませんが、この程度のものは少くともというつもりであげた名前でありまして、ただいまお話になりましたような、一種の醫學概論とでも言うべきもの、あるいは治療學總論とでも言うべきものに屬しますものは、當然これは教科目の中に入れるべきものと存じます。~
 強いて言えば病理學というものを廣い意味に解しまして、その中に含めて、その中の範疇にはいるべきものとも考えております。~
 なおどういう程度のことまでを教えるかという具體的のというお話でありましたが、この中には當然多數の盲人を含めておるのでありますから、視覺によらなければできないようなものは、盲人に對しては不可能を強いることになります。~
 從つて視覺以外の五官の感覺によつて取入れられる範團のものに限られるものがあることは申すまでもございません。~
 これにつきましてはここに解剖學、生理學、病理學というふうな學問の名前をあげてありますと、私どもただちに醫學生の教わります専門學科としてのものを考えるのでありますが、もちろんそれが本則ではありますが、しかしながらこれを習得いたします人が、醫師になるのではなく、醫療の補助者としての一つの業務に携るという點を考えますならば、その學なるものが、相當廣いと申しますか、そういうように解せられます。~
 といつて中等學校でやります生理衞生という程度のものではないので、それよりやや高度のものと存ずるのであります。~
 從つて教科の内容につきましては相當くふうを要することと存じます。~
 現在行われておりますこれらの専門程度の教科書、参考書が、そのままこういうふうな教育に適切でありとは考えられません。~
 あらためてこれはこの特殊の教育に對する教科内容として新しく詮議さるべきものと存じております。~
 これらの點につきましては、この法文にもございます委員會が諮問に對する審議をいたすことと存じております。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 その次は第四條、五條の問題でございまするが、午前中の田中さんの御質疑によりまして、外科手術というものは看血的手術であるというふうに御解釋になつておるのでありますが、藥品を投與することができないといたしますると、たとえば整復をいたしました後にイヒチオールを塗りますとか、あるいはその他の罨法の藥を塗りますこともできないことになりますが、かかる簡單なことは整復術をいたしましたあとの處置として許さなければならぬのじやないか。~
 この點が法文上はつきりしておりませんが、いかがでございますか。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 今の藥品の投與の問題でありますが、ここに、藥品を投與し云々というのは、醫師が患者に對して藥品を投與するような、そういうやり方、つまり處方箋を出すというような意味の投與のことであるのでありまして、患者にイヒチオールを塗るとか、あるいは必要な藥品を塗る、あるいはこういうような賣藥をつけるということを教える、そういう意味のことを禁じる意思はないのであります。~
 接骨師として當然許された範圍内において行うべきものについてのものは、それをも禁じるというつもりはないのであります。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 第七條に廣告のことについて書いてございます。~
 その技術、施術方法、履歴を廣告することができないと書いてありますが、現在接骨醫その他の法が廣告しておいでになることは事實でございます。~
 病名を羅列いたしまして、中にはほんとうに學術的に見て、そういうものは治る道理がないというようなものが廣告してあるのでございますが、なぜここにそういうふうな病名を羅列することができないということが書いてないのでしようか。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 それはやはり技能、技術ということと施術方法、その兩者いずれか、もしくはその兩方にかかる問題で不當なるものは當然行い得ないと解釋いたしております。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 第十八條の、先ほど福田さんがお話になりました、履歴を審査ということがございますが、實際上海外からの引揚者の方々の履歴というものを審査することができない場合がある。~
 殊に當面の問題として、朝鮮から引揚げて來られた現地開業の醫者が、試験には及第したけれども、朝鮮に實際上開業していたかどうかということが證明されない、上野の圖書館に行きましても、官報が皆焼けてしまつてわからない、そのために現在試驗には實際上及第しておるのでありますが、醫師としての免状がもらえない、非常に哀れな方の實情を私は知つておるのでありますが、この場合にその履歴を審査していうようなことがございましても、海外から引揚げて來られたこういう哀れな人たちが、かつてどういう履歴かということを證據立てることができない場合においては、どんな處置をもつて審査なさいますか。~
 ~
 ~
 ''○久下説明員''~
 ~
 ただいまの問題は、先ほどの御質問に關連がございますので、私からお答え申し上げます。~
 履歴の審査について、今醫師の例を引かれて御説明でございました。~
 私どもといたしましては、公式な免許を與えます場合に、ただ単に本人の書いた履歴書あるいは本人の陳述だけでこれを信用することはできないのでありまして、できるだけ第三者の、しかも地方廳においてこれならという信頼のできる人人の證明書でももつて來ていただくというようなことで、實際の取扱いをいたしておるのであります。~
 御質問にございました醫師の場合におきましても、そういう資料の整いました方々には差上げるようにいたしております。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 次にいわゆる醫業類似行為の點でございます。~
 お囘しを受けました問答と書いてある書類の中の第三枚目のはじめに、醫業には廣義の意味と狹い意味との二つの解釋がある。~
 醫業とは云々ということが書いてございますが、この醫業につきましては、今までの議論がございました、これを定義いたします上においては、非常にむづかしいことでありまして、たとえば専門家でございます山崎さんなどの意見を聽きましても、なかなかむずかしいのでございます。~
 ここに書いてある意味におきまして、今後厚生省は醫業というものをこういうふうに解釋なされ、定義をしていらつしやるのでございましようか。~
 その點を承りたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 ただいま榊原委員のお話になりました問答のプリントは、別に正式の資料という意味でお目にかけるほどのものではないのでありまして、私どもが局内におきまして、いろいろの問題を設定して、お互いに問答、研究をいたしました、その成績と申しますか、一應の結論のメモとでも御了解願いたいのでありますが、しかし今仰せになりました醫業の定義の問題については、これは實にいろいろの説があり、考える方がありまして、むずかしい問題で、いろいろ論じておりますと、醫者の行うことが醫業であり、醫業を行えるのが醫者であるという循環論に歸著するのでありまして、この中の議論 やはりその傾向がないでもないのであります。~
 しかしここに醫業ということと醫行為ということとをわけて考える必要がありのではないかということが、この考え方の根本であります。~
 いやしくも人體の疾病、あるいは疾病とまでいかなくても、體の調子の悪いのに對して、何らかの方法をもつてその状態を緩和し、もしくは病を輕くするというふうな手段は、これを行う人のいかんかかわらず、その方法のいかなる種類にかかわらず、これを一つの醫行為、つまり醫する行為というふうに解釋できると思うのであります。~
 そういたしますと、はりとかきゆうとかあんまとかいうものが、そういうふうな人體的な、今申したような状態に應用せられて、そしてそれが輕くなる場合には、これはだれが行いましても一つの醫行為であるという見方はできると私は思います。~
 家庭において子供が親の肩をもみますことも、これも醫行為と考えられるのであります。~
 しかしながらこれは醫師が當然行うべき、また醫師によつてのみ行われるべきいわゆる醫療行為であるところの醫業とはもちろん異つておるのでありまして、つまりそういう考え方で、醫業というものに行為が二つあると申しますよりも、醫行為というものは非常に廣汎なものであるが、その中で特に醫業と稱せらるべき醫行為の範圍がある。~
 すなわち醫學というそのためにする教育を受け、修練を經た者によつて行わるべきものである。~
 そしてまたその者のみが行い得るところに健康保持、疾病の治療、それに向けられるところの働きが醫業というものである。~
 從つて醫業という定義が、すでに醫者によつてのみ行われる、また醫者の行うべきというのでありますから、醫業は醫師が行うべきものであり、醫師が醫業を行う、そういう循環した言い現わし方になつてくるのだろうと思います。~
 そういうふうな醫業以外に、今のような醫業行為として認められるもの、そのもののみを行うというような業、術を、この法律に規定してあるようなものとして認めよう、そういう議論の結果を示したわけであります。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 なかなか混み入つたお説でありますが、事實の問題といたしまして、第十九條にございますような醫業類似行為というものは何であるかということを定義する必要から、今の内容が出てくるのでございますが、この醫業類似為というものを判斷いたしますのには、この解釋に從つてなさるのでございますか、それをはつきり承つておきたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 醫業類似行為あるいは療術行為等いろいろ表現がございますが、ここでは醫業類似行為と在來の表現を使つております。~
 ただその醫業と申しますのは、今申しましたような醫師の行う醫業であります。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 次にこの醫業類似行為の中におきまして、電氣療法を行つている方々があるのであります。~
 御承知のようにあんま、マツサージにおきましても、電氣の療法を許してありません。~
 今まで試驗を受けられたあのマツサージの方さえも電氣を使うことを許してないと私は記憶しておるのでありますが、それにもかかわらず、醫業類似行為の中に電氣を使つて治療をされるようなものがあるのでありますが、これは第十九條の最後の方の衞生上特に害あると認めるということによつて、これをお取締りになるおつもりでありますかどうか。~
 またそのままでお許しになるおつもりでありますか。~
 ~
 ~
 ''○一松國務大臣''~
 ~
 醫療類似行為はただいま東局長から申し上げました通りでありますが、この類似行為の中で、今まで各府縣々々々でそういうような業をとにかく認めておつたというようなことを、今ただちに禁じてはならぬからというので、三十年十二月三十一日までということに期限を切りまして、その間にほんとうに科學的に研究して、これは醫療行為として取入れるべきものであるか、あるいは弊害があるものであるがゆえに、これは禁壓すべきものであるかということは、それらの各仕事々々の進歩發展に任せるというような趣旨で、これは規定したのでありますが、今あなたのいわゆる可視線とかいう電氣療法、これは私の經檢するところによると、ある場合においては非常に效果のあつたことも私は認めておる、またやり方によつては非常に弊害のあつたことも承知しております。~
 でございますから、そういう弊害のあるものが存續するということは、保健衞生上おもしろくないというようなものは、もちろんこれは禁じなければならぬ。~
 そうでなくて、從來やつておるものであつて、多少效果があり、もしくは效果ありと信ずべきそれらの手術を行い、もしくは受けておる者があるとすれば、お前がこういうものをやるために弊害があつて困ると言つて、ただちに一概に彈壓することもできないと思います。~
 これは個々別々の事實の發生に伴つてこれを檢討して、これらの行政措置をすることが正しいのである、かように實は考えておるのであります。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 厚生大臣が醫學の方に素人でいらつしやいますから、私の質問申し上げた點にはずれておるのであります。~
 これは醫務局長なんかよく御承知でありますが、たとえば高壓高周波その他の電氣療法、こういうものは非常に危險であると私は思つておるのでありますが、それを八年間の餘裕がある間にそのままにしておおきになるつもりであるか、あんま、マツサージの方に電氣療法を許してないにかかわらず、そういう素人の方にそういうものを許しておくかどうか、その點を承りたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 ただいまお話の電氣療法のうち、いわゆる高周波でありますとか、あるいはまた紫外線であるとか、そういうふうなものが生物學的作用の強いものであることは申すまでもございません。~
 從つてそれが人體にただちに危害を及ぼすようなおそれのありますものは、ただいままでには許されていないはずであります。~
 現在さような名前を揚げております療法といたしましても、そのものが人體にただちに危害を與えるおそれなしということの前提のもとに許されておるものが現存いたしておるのだと思いますので、そういう意味におきまして現存いたしておるものは、現状におきましてはただちに人體に危害あるものとしてこれを禁止する必要のないものである、そういう解釋をいたしておるのであります。~
 しかしながらもしもその中に、ただいまのような意味で危害のあるものは、これはもちろん禁止いたします。~
 でありますから言葉を強く申しますれば、現在行われております高周波あるいはまた紫外線というようなものは、かりに特にそれらにいい力があるといたしましても、それらの威力を生體内に發揮し得る程度には用いられていない、言いかえれば效果なきものとも考えられるのであります。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 次に柔道整復術の方方におきまして、レントゲンをもつておいでになりまして、使用しておいでの方があるのであります。~
 午前中も田中さんからレントゲンのお話がございましたが、こういうふうなものはどんなふうにお取計らいをなさるおつもりでありますか。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 レントゲンは普通の人が自由自在に使うということは許されていないものであります。~
 從つて柔道整復の方々がそれを自由に使われるということは、私どもの考えの外にあるのでありまして、さようなことがあつてよろしいとは考えておりません。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 次にこういうふうな法律によりまして、あんま、はり、きゆう、あるいは柔道整復術というようなものが許されることになるのでありますが、その場合におきまして、これを社會保險の給付の對象とするおつもりでございましようか、あるいはまたこういうものは社會保險と別になるというようなお考えでありましようか、その點を承りたい。~
 ~
 ~
 ''○宮崎政府委員''~
 ~
 現在社會保險におきましては、柔道整復術については契約を結んでやつておりますが、あとはいたしておりません。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 今後はどうなさるおつもりでありましようか。~
 もう一つ附け加えてお尋ねいたしたいのは、柔道整復術にいたしましても、そこに被保險者が參りまして保險證を出しましても、實際上はもうできないのだというふうなことで治療代を別にとる、その治療代が相當高い治療代をとつておられるという實情がございますので、こういうものを民間の簡易療法としてお認めになる以上は、保險證をもつていつてもそれでやれる、あるいは簡單に、ポケツト・マネーを出さなくてもやれるというふうにしていただきたいと思うのでございます。~
 殊にその場合に、そういうものをそれらの方が拒否するという場合に、これはやつてもらつては困る、醫師に對する罰則がありますように、こういうものをあまねく民間の療法にひとしいようなものにして、高い金をとらずに治療を受れられるという方法を講じていただきたいと私は思うのでありますが、そういう御意思がございますかどうかということを承りたい。~
 ~
 ~
 ''○宮崎政府委員''~
 ~
 鍼灸、あんまにつきましては現在もやつておりませんが、將來につきましては今のところ考えておりません。~
 それから柔道整復術の方は、被保險者の證明をもつていつても、それによつてやつてくれないで、ポケツト・マネーを出してやるというようなことでありますとすれば、柔道整復術師に對しましてその成立の契約をいたしておる意味がございませんので、そういうことのないように、ただいま榊原委員のおつしやつたような方法で、契約した通りにうまくいくように今後督勵いたしたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 そういたしますと、あんま、はり、きゆうに對するところの治療費というものに、一つのわくと申しますか、標準をお定めくださる意見がございますか。~
 それともとり放題とつてよろしいというふうなお考えでございましようか、これは國民療法として非常に重大な問題でございますので、社會保險においてこれを扱わぬことになれば、ある一定の治療費を安價にして、たれでもかかれるようにする必要があると思うのでありますが、その點はどうお考えになりますか。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 料金の問題につきましては、それを法律的にと申しますか、定めるというところまで、實は私どもの方では研究は進んでおりません。~
 ただ行政指導ということによりまして、適當な料金のわく内に落ちるようにいたしたいと存じます。~
 なおこれは私の考えでありますが、さいわいにこの法案が通りました暁には、中央地方にこのことに關する委員會ができて、その委員會のおもなる目的は、さような業務上のことにまで及ぶのではないと思いますが、しかしながら當然諮問機關として、適正料金の問題なども、その地方々々、あるいは中央においてそういうものを設定すべく審議する機會があるものと存じております。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 次にこの法案がやかましく論議されましてから、醫療類似行為をしておられる業者の中には、ここに新しい宗教をおつくりになりまして、その宗教によつて、この醫療類似行為をしようとしておいでになる方が現にあるのであります。~
 新しい宗教をつくつて、御本尊さまを置いて、そうしておさい錢でやられるのかどうか知りませんが、その場合にこれらの法律の適用の範圍外にそれが置かれるということがあるのでございますが、その點はどんなふうにしてお取締りになるおつもりでございますか。~
 それとも宗教は信仰の自由ということによつて放任なさるおつもりでございますか。~
 その點をお伺いいたします。~
 ~
 ~
 ''○一松國務大臣''~
 ~
 宗教に名をかりて保健衞生に反するような行動をすると、やはりこれは厚生省の所管ですから、弊害があれば厚生省はその見地から取締ります。~
 宗教の範圍外と認めなければならぬ。~
 そういうことをして治療するということになれば……。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 お言葉を返えして失禮でございますが、たとえば護符を飲ませるというような場合に、これは取締ることができないのではないかと私は思います。~
 治療をいたします場合に、治療代をとつて、そういう行為をやればひつかかるけれども、信仰としておさい錢でやる場合には、これは法律上ひつかからぬのではないかという疑問がございますが、私は法律家でありませんので、一松厚生大臣はよく御存じでありましようから、どういうふうに御解釋になりますか、今の解釋でよろしいのでしようか。~
 ~
 ~
 ''○一松國務大臣''~
 ~
 宗教のうちに淫祠邪教というのがあります。~
 淫祠邪教がそういうようなことを言つて人心を惑わすということは、明らかに法の取締りを受けねばならぬ。~
 警察犯處罰令等にも規定しておる。~
 しかもこれを飲めば病氣が始ると言つて飲ませるということがあれば、それがいわゆる保健衞生に差支えがあるということになれば、もちろんこちらで取締らねばなりません。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 次に現に盲唖學校とかいうところに就學中の方、殊に來年三月なら三月に御卒業になるというふうな方に對しては、この法律を適用して試驗を受けるということになるのでございましようか。~
 ~
 ~
 ''○一松國務大臣''~
 ~
 そういうものはこの法律の原則からいけば、ちやんと法律に規定してある條件を具備しなければ資格を與えないのであります。~
 しかしながら來年の四月はもう卒業する、ところが效力のあるのは三月までだ、ただ一箇月で資格を得るか得ないかというような境であるときにはどうすればいいか、これは政治的に解決をしなければならぬ。~
 そういうことは當路者と厚生省との間において、適宜よく話合いの上で萬遺漏なきを期する、こういう考えをもつております。~
 ~
 ~
 ''○榊原(亨)委員''~
 ~
 大體これで私はあんま、マツサージの法案はわかつたのでありますが、先ほど福田さんが御發言になりました接骨師というものに名前を變えてもいい、修正しても可能だというふうなお話がございましたが、技術的に修正なさるのでございますか、委員長のおはからいを伺いたいと思います。~
 ~
 ~
    ……略……~
 ~
 ~
 ''○松谷委員''~
 ~
 私はあん摩、はり、きゆう柔道整復等營業法案につきまして四つばかり伺いたいと思います。~
 すでに各委員から質問を盡されておりますので、重複を避けて簡單にいたしたいと思います。~
 ~
  第一に第三條、第三項に出ております後半の部であります。~
 「第一條に規定する業務を行うに適しない者、」こうございますが、この適しないという中に盲人を當局は意味しておられるかどうかということを率直に伺いたいと思います。~
 そしてまたその適しない者という判斷を、いかなる點にお置きになるかということを伺いたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○一松國務大臣''~
 ~
 それはこの三に書いてある通りのことをよく讀んでいただくとすぐにわかります。~
 第一條に規定する業務に關し犯罪又は不正の行為があつた者であつて、第一條に規定する業務を行うに適しない者で犯罪又は不正の行為のない盲などはもちろんできるのであります。~
 ~
 ~
 ''○松谷委員''~
 ~
 今のような解釋にするということが決定しておれば安心してこれを讀むことができると思います。~
 ~
  それから先ほど榊原委員からも出ておりましたが、二條の第三項に羅列されてあります學問、解剖學なり病理學なり生理學という、この條文だけを見ておりますと、どうもまたいわゆる盲人に對してはこれを除外するという現實が出て來はしないかというおそれが出てまいりますので、先ほどの東局長からの説明によりますと、委員會がこの程度を決定するということで安心をいたしました、どうかその點を次の法案改正の場合のおいて、もう少しここのところが讀んですぐ安心感を受けられるような點に改正していただくことを希望いたします。~
 ~
 ~
  次はやはり第二條の第一項でございます。~
 これは先ほど大瀧委員からも出ておりましたが、從來その數において相當多くを占めておつた盲人の方が、この一つの資格を今後取得されるということになつたときに、一つの學校なりあるいは養成施設に通學することは相當困難な問題であろうと思います。~
 これに對して當局は通信教授の意思があるかないかということをお尋ねいたしたいと思います。~
 なお先ほどの東局長のお話によりますと、解剖學なり病理學も、中學校の生理衞生を少し上まわつた程度のものにしたいというお答えがございましたが、これからいたしますと、これは通信教授でもその資格は獲得できるやに承るのでございますが、この點いかがでございましようか。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 ただいまのお尋ねの第二條の養成施設あるいは學校に通わずに、通信教授をもつて資格がとれるのではないかという質問に對しましては、目下私どもの方では通信教授のことは考えておりません。~
 それから學科の科目につきましては、これによつて盲人がその教育を受ける機會を失うようなものではなかろうかという御懸念のようでありますが、すでに現在の盲人教育機關におきましてもこれらの教科目を相當の程度りつぱにこなしております。~
 この教科目があるがために盲人が不當のハンデイキヤツプを受けるというようなことは毛頭考えておりません。~
 ~
 ~
 ''○松谷委員''~
 ~
 現在通信教授に對してはお考えになつておらぬということでありますが、これは全委員においてもう一度御檢討願いたいと希望いたします。~
 ~
  なお同じ條文におきまして、學校あるいは養成施設に通學するという場合において、あんまは二年、きゆう及び柔道整復は四年、こういう非常に長い年限を要することになつておりますが、この學校修業にあたつて、國家は特に盲人あるいはその他の弱い立場にある方々に對しての、學校通學に對する國庫扶助等の意思はおありになりませんか、伺いたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 その問題は直接には文部省の所管と存じますが、すでに當方としては文部當局の方とも緊密な連絡をとつておりまして、その方向にも話を進めております。~
 ~
 ~
 ''○松谷委員''~
 ~
 次は第十八條の後半でございますが、引揚者の方々に對しての期限が昭和二十三年十二月三十一日となつておりますが、ただいまの引揚げの現状からまいりますと、昭和二十四年の十月をもつて大體終了されるというかねての發表を伺つたように記憶いたしておりますが、そういたしますと、この二十三年の十二月三十一日で打切りますと、それ以後の引揚げの方はこの規則に漏れるという心配が出てまいりますが、この二十三年と規定なすつた根據を伺いたいと思います。~
 そしてまたその漏れる方々に對してはどういう措置をとられるかということを伺いたいと思います。~
 ~
 ~
 ''○東政府委員''~
 ~
 この二十三年十二月三十一日というのは動かし得ない、いわゆるデツドラインを示したものではないのでありまして、さしあたりまず來年度においては相當の引揚げの完了を見こんでおりますので、それが二十四年度に延び、あるいはそれ以後に延びましても、そのときには然るべくこれは延長いたします。~
 ~
 ~
 ''○松谷委員''~
 ~
 それではどうかその引揚げの時日とかみ合せまして、むしろこの期限は決定していただきたいと希望いたします。~
 終ります。~
 ~
 ~
 ''○小野委員長''~
 ~
 午前中田中君から發言のありましたことに關連して一松厚生大臣より發言を求められておりますから、この際これを許します。~
 一松厚生大臣。~
 ~
 ~
 ''○一松國務大臣''~
 ~
 田中委員の御發言の詳細は承知しておりませんが、ごく概略のことは、はり、きゆうあんまのこの法案の提案に關し、もしくは資格の付與に關して、業者の間に運動費を集めて、その運動費を厚生省もしくは民主黨の黨費に寄附するようにしなければならぬとかいうことで、しきりにそういうことが行われておるといううわさを實は耳にしておつたのでありますが、アカハタという志賀義雄君の主宰しております新聞紙の表面にも、そういう記載のあつたことを私見て驚いたのです。~
 私の見たアカハタの記載によりますと、鍼灸に關する業者のある人が、一松厚生大臣に對してこれを運動したところが、厚生大臣は、民主黨に千五百萬圓を寄附せよというようなことを言うたというようなことを、大阪の業者の會議においてこれが取上げられ、大阪の業者は非常に憤慨して、そういう運動をしないとかいう決議をしたとかいう記載があつたので驚いたのであります。~
 私は業者に對してさようなことを言うたこともなければ、考えたこともなく、常に私の所にいろいろなことで運動にまいります人には、そういう運動をすることによつて金を集めて、そうして君方の仲間に迷惑をかけるようなことがあつてはいけない、聞けば、いろいろな運動にくるときに、運動費と稱して業者から金を集めて東京に來て、そうして宿屋に泊つてぜいたくをして、あるいは歸りに熱海に寄つて豪遊を試みるとかいうようなことで、そうして運動費と稱して業者から金を集めるというような悪い習慣のあることを聞いておるから、さようなことがあつては相ならぬからというので、常に私は諭しておるという立場にあります。~
 いわんや今までこのあんま、はり、きゆう、柔道整復術等の業務の改廢もしくは法案の制定とかいうことに關して、業者からさような話を聞いたこともなければ、そういうことも實は耳にしたこともなかつた。~
 しかしながらそういううわさを後に聞きましたから、私は鍼灸の方に關係のある参議院の小林議員に面會しまして、それらのことを確かめたところが、小林参議院議員は、そういうことは絶對にありません。~
 ただ今までの一年の會費十圓であつたのを百圓に上げました、そのことをあるいは誤解したのかもしれませんがと、こういう話がありましたから、十圓を百圓に何のために上げたのかと聽いたところが、これらの人々の業務の向上發展をはかるがためには、再教育等をする費用も要りましようから、そういうことを豫期して、會費十圓を百圓に値上げしたのであります。~
 こういうことであつたから、私は、そういうようなことの費用を集めるというのは、この際よくないじやないか、そういうことは君しない方がよろしいぞというくらいに、私はそのやつたことを難詰したような立場にあるのでありまして、實に私も不都合なアカハタの記事だと思つておりまして、實は志賀義雄君が編集人でありますから、これを名譽毀損の詰訴をしようとまで思つておつたのでありますが、一松が千五百萬圓を民主黨に寄附せよなどということそれ自體が常識に反する事柄でありますから、むしろこれは笑殺した方がよかろうということで、今そのままにしておるような次第であります。~
 また大阪方面の鍼灸に關する人がわざわざ私に面會しまして、實はおわびのまいりました、ああいうようなことがアカハタに出ておつて、非常にわれわれは憤慨しましたので、アカハタに對しては、絶對そういう事實はないといつて取消しを要求しておるような次第でありますから、どうかひとつ御立腹していただかないようにということを、わざわざ陳情にきたといつて私に面會に來た人もあつたのであります。~
 私は實は笑つた、そういうようなことがあろうともちろん自分は考えていないが、アカハタがときどきそういうようなことをいつて、現内閣の閣僚にきずをつけるとか、あるいは世の中の治安を紊すような記事があることははなはでにがにがしいことだと言うて、實は笑い話をしたという事實があります。~
 厚生省に寄附せよというようなことがあつたとかいうことは絶對にありませんから、この法案を審義せられます皆樣の御熱心なる御審議に對して、こういうような忌わしいうわさがあるということに對して、議その當局の大臣といたしまして、これらのことを明らかにして、この委員會を通じて國民の皆樣の御了解を得て、民主黨、厚生省竝びにこれら關係の各委員諸君が、そういうような汚ない行動のために何ら汚されておることのないということだけを、明らかにしておきたいと思うのであります。~
 ~
 ~
 ''○小野委員長''~
 ~
 以上をもちまして質疑を終了いたしました。~
 ~
  ただいま議題に供されております食品衞生法案、醫藥部外品等取締法案、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等營業法案、船員保險法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して討論にはいります。~
 田中松月君。~
 ~
 ~
 ''○田中(松)委員''~
 ~
 食品衞生法案、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等營業法案につきましては、もつと私どもは愼重に檢討したいのでございますが、これは會期も切迫しておる今日やむを得ませんので、次の國會に根本的な審議をするということを保留いたしまして、日本社會黨、民主黨、國民協同黨を代表いたしまして、一括贊成をいたすものでございます。~
 ~
 ~
 ''○小野委員長''~
 ~
 大瀧亀代司君。~
 ~
 ~
 ''○大瀧委員''~
 ~
 ただいま本日ほんとうににわかに配られたこの法案に對して、十分に審議を盡し得なかつたように思うのであります。~
 殊に榊原君と私たちの質問に對しても、十二分にまだ納得いかぬものが多々あるのでありますから、ただいま田中君のおつしやる通り、來る議會において必ずこうした點を明らかにして改正せられることを條件といたしまして、贊成の意を表します。~
 ~
 ~
 ''○小野委員長''~
 ~
 以上をもちまして討論は終局いたしました。~
 ~
  採決いたします。ただいま議題となりました食品衞生法案、醫藥部外品等取締法案、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等營業法案、船員保險法の一部を改正する法律案、以下四條を一括して採決いたします。四條とも原案の通り可決することに御贊成の方の御起立を願います。~
 ~
     〔總員起立〕~
 ~
 ~
 ''○小野委員長''~
 ~
 起立總員。~
 よつて四法律案は原案の通り可決せられました。~
 ~
  なおお諮りいたしますが、これらの案について、議長に報告いたすことにつきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。~
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕~
 ~
 ~
 ''○小野委員長'' 御異議なしと認めまして、さように取計らいます。~
 ~
 ~
 CENTER:→[[あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法公布]]
 #br
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 RIGHT:&size(11){[[HP「町の按摩さん」>http://tao.main.jp/anmasan/]]  [[「町の按摩さんblog」>http://anma.air-nifty.com/anma/]]  [[「キャラネティクス&チベット体操日記」>http://callanetics.seesaa.net/]]};
 #br

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