「和漢三才図絵」とは~

正徳2年(1712)頃発刊された寺島良安編著による本邦初の百科事典。
百五巻81冊に及ぶ。
編著者寺島良安は法橋の位をもつ大阪の城医であるが、生没年その他経歴など詳しいことは分かっていない。
編著の動機は師和気仲安より「良医たるべき資格として天人地の三才に通じること」旨示唆されたことであると記されている。

古法按摩の実際を探る

按摩の古典とされる書籍には、この「和漢三才図絵」と同時代(江戸期)に発刊された「按腹図解」「導引口訣鈔」「按摩手引」の三冊があり具体的手技についてまで解説されてはいますが、実際の運用がどのようなものであったかは現代からでは想像することしか出来ません。
ある時代に共有されていた手の使い方や身のこなし等、微妙なニュアンスを纏ったものは敢えて書籍中で言及されることはないですから。
ただここに「和漢三才図絵」という百科事典があります。
僅かにでもそれら微妙なニュアンスを纏ったものの片鱗でも拾い上げられないだろうか、という試みをしてみるつもりです。
ダメもとで、やってみなくてはわからない。

まずは、「和漢三才図絵」中より、気になる部分をピックアップ。
(「東洋文庫」の訳を参考にはしましたが、原文のニュアンスが消えていると思われる部分もあるのでデジタル画像原文の漢文を自己流にて読み下し。とはいへ、デジタル画像がまた不鮮明な所多し。)

巻第七「人倫類」より「按摩 (導引)」

按ずるに凡そ経絡を摩(さす)り按じ、痃癖(けんぺき)を引き擦(さす)る、之術保養中の一事也。
素問奇恒論に云う、爪苦く手に毒ありて善(よ)く傷つく事爲すは、積(しゃく)を按じ痺を抑え使む可し。
後漢の華陀按摩し能く人を活かす。

巻第十二「支体部」より「手の用」

按(おさへる)-音は安
按(乎左倍留-おさへる)は抑(おさへる)也。一の指にて按(おさへる)を擪(音は葉-よう)と曰ふ。

撫(なてる)-音は府
撫(奈天留-なてる)は摩也。



つづく


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