162-衆-厚生労働委員会-14号 平成17年04月08日


○内山委員
お手元に資料を配付しておりますけれども、平成十一年九月十七日、各都道府県介護保険主管部局長あての老企第二五号、厚生省老人保健福祉局企画課長通知による「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」、これを見ると、「機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者」とされています。
資料の上の方の条文です。「この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者」と規定をされております。
 ここで、施設名は控えさせていただきますけれども、現実には、機能訓練指導員を理学療法士、作業療法士のみと理解している施設が数多くあると聞いています。
理学療法士、作業療法士の方々が施設で介護対象者の機能回復訓練に大変御努力されていることは重々承知をしておりますが、先ほど述べましたように、多くの施設では、どういうわけかわかりませんが、機能訓練指導員を理学療法士、作業療法士のみと誤認識されているようなことがございます。
このことは、何よりも介護対象者の機能回復訓練、これから実施する訓練に当たり、国民にとって大きなマイナスであろうかと思います。
 再度、老企第二五号の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」「通所介護に関する基準」の一の(三)、介護施設及び各自治体に、機能訓練指導員は理学療法士、作業療法士だけでなく、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあんまマッサージ指圧師も対象であることを周知徹底させる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○中村政府参考人
今、先生御指摘ございました機能訓練指導員のこの通知はまさにそのとおりでございますので、もしそのことについて理解が徹底していない、周知が徹底していないということであれば、今後とも機会をとらえまして、都道府県を通じ、またいろいろな機会を通じて周知徹底させていただきたいと思っております。

○内山委員
ぜひ早急にお願いをしたいと思います。
 そして、今の質問に関連をいたしますが、平成十一年三月三十一日の厚生省令第三十七号、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の第五章七十六条によれば、「指定訪問リハビリテーションの事業を行う者は、当該事業を行う事業所ごとに、指定訪問リハビリテーションの提供に当たる理学療法士又は作業療法士を置かなければならない。」とあります。
 ところで、ここで不思議なことに気がつきました。
先に質問をいたしました老企第二五号の通知による「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」「通所介護に関する基準」の一の(三)と、厚生省令第三十七号、資料でいいますと下の部分です、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の第五章七十六条と若干矛盾するところがございます。
 なぜなら、「通所介護に関する基準」の一の(三)においては、「機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。」と明記されています。
 機能訓練指導員とは、実質、リハビリテーションを行っている人たちを指すのではないか、これが現実的な考えではないかと思うんですが、機能訓練指導員とリハビリテーション従事者とは異質なものでしょうか。
お答えをお願いします。

○中村政府参考人
お答え申し上げます。
 まず、先ほど委員が周知徹底すべきだとされた機能訓練指導員、この機能訓練指導員と申しますのは、介護老人福祉施設、それから委員御指摘のとおり通所介護事業所、ここにおいて、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するために訓練を行う人という定義のもとに置かれている人員配置基準でございまして、委員御指摘のとおり、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員に加えまして、柔道整復師またはあんまマッサージ指圧師の資格を有する人とされているところでございます。
 他方、先生の資料の下の方の配置基準は、指定訪問リハビリテーション従業者の定義でございまして、ここのところには、先生御指摘のとおり、リハビリテーション、理学療法士、作業療法士、こういったところが規定されており、狭くなっている。
これはどういうことなのかという御質問だと思います。
 こちらの方のリハビリテーションは、医師法やその他医療関係職種の法律で規定されておりますリハビリテーションを意味しておりまして、医師の指示のもとに、診療の補助の行為として理学療法や作業療法といった個々の専門性が確立されている医療行為を行うものであり、その従事者につきましても、その各医療の資格法に基づいて行うことが許されている従事者について、それぞれの療法に応じたより専門的な教育を受けた有資格者がなっているというものでございます。
 そうしますと、先ほどの広い方の機能訓練とどうかということでございますが、こちらの方の機能訓練はそういった意味での医療行為ではなく、幅広い訓練を指しておるということで、身体運動に識見を有していると考えられる有資格者を広く認めている。
 いわば、福祉系のサービス由来のものと、病院、医療系サービスの由来のもので、狭義のリハビリテーションを訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション、老人保健施設のリハビリテーション等で行っておりますので、そこの職員ということにつきましては医療の専門職種に限定している、こういう整理になっております。

○内山委員
そうしますと、柔道整復師というのは医療の専門職種ではないということになりますか。

○中村政府参考人
医療におきまして、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションに関しましては、医師の指示のもとにこういったことを行うということについては、訪問リハビリテーションについては理学療法士、作業療法士、通所リハビリテーションにはそれに加えて言語聴覚士、こういうふうに指定されているところでございます。

○内山委員
質問に答えていないんですけれども。柔道整復師はそういう治療行為ができないということなんでしょうか。

○中村政府参考人
お答え申し上げます。
 柔道整復師等につきましては、医療類似行為ということで柔道整復師法等で書かれておりますが、先ほど申し上げました診療の補助行為として資格法で位置づけられている専門職種とは異なる、こういうふうに認識いたしております。

○内山委員
老企第二五号の通知は、この厚生省令第三十七号を補う、補足するということだと思います。
 ところが、どのように読んでも、厚生省令第三十七号の第五章の第二節七十六条の脈絡には、理学療法士と作業療法士以外には読み取ることができない。
なぜこのような表現をするかというと、第五章第一節第七十五条の「基本方針」において、「利用者の居宅において、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものでなければならない。」「その他必要なリハビリテーション」と、具体名は掲げなくても、これを指しているからだと思います。
 そもそも、介護保険法の訪問リハビリテーションは医師、理学療法士、作業療法士しかできないと想定しているのが問題ではなかろうかと思うんです。
特に、理学療法士、作業療法士は、治療においては自己の判断ができず、医師の指示の下でないと具体的な治療はできません。
その点、柔道整復師は、独自に開業しており、筋肉マッサージに精通しているわけですから、当然やはり訪問リハビリテーションに組み入れる対象だろうと私は思うんですが、厚生省令第三十七号第五章第二節七十六条に、言語聴覚士、看護職員、その後に、柔道整復師またはあんまマッサージ指圧師を追加することを私は要望いたしますが、いかがでしょうか。

○中村政府参考人
現在の訪問リハビリテーションにつきましては、例えば訪問看護というのがございますが、訪問看護は、医師の指示に基づいて訪問看護をすることができるという法体系のもとに認められておりますので、訪問看護として認められているわけでございます。
 私どもの行っております訪問リハビリテーションは、理学療法や作業療法という、医師の指示に基づいて理学療法を行う、作業療法を行うという体系のもとでの訪問リハビリテーションでございますので、その中には、そういう資格の裏打ちがない職種については、今の体系のもとでは、委員からの御提案ではございますが、なかなか難しいと考えております。

○内山委員
昭和五十三年の八月二十一日に、仙台高民の一審判決で、柔道整復師が打撲について医師の指示なしに治療行為をすることは適法である、こういう判例が出ております。
こういう判例をもってどう判断しますか。柔道整復師があくまでもやはり対象ではないと思われますか。
それとも、厚生労働省は、判例を無視してそのような位置づけをこれからも継続しようと思いますか。

○中村政府参考人
判例のお話はちょっとそれとして、私ども、その判例に反するとかそういった意味ではなく、広く我が国全体で、四十歳以上の方々から保険料をいただき、六十五歳以上の方々に広くサービスをする公的な介護保険制度として全国に保障するサービスということで、どういった範囲のサービスが適切であるか、そういう議論をしながらサービスメニューもつくられ、今日に至っているというふうに認識いたしております。
 そういった中で、リハビリテーションにつきましては、今の医師法なり看護師の資格法、それから理学療法士及び作業療法士法の資格法、そういった中で、リハビリテーションは広く医療や介護の世界で行われておりますので、まずそういった部分について給付の対象としていくというふうに考えているわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。

○内山委員
私は、つべこべ何を言いたいのかといいますと、やはり、きょうの新聞にも出ていましたとおり、専門家でない者、または、専門家をこれから養成しようとしても、介護予防をするわけですよ、その目的からすれば、やはり担当者が非常に少ない。
私は筋トレのプロだと思いますよ、柔道整復師。こういうプロが全国にいながら、なぜ活用できないんだろうか。
ここにやはり大きな問題点があろうか、これを指摘したいんです。
 私ごとで恐縮ですけれども、私、母が八十四歳なんです。
少し前までは非常に元気だったんですけれども、やはり寄る年波に、認知症が少しずつ出てまいりまして、階段から転びまして、両手を骨折してしまいました。
それ以前は、足が痛いの腰が痛いのといって、実は近くの接骨院に週に二回ほど随分喜んで通っていたんです。
骨折をした関係で整形外科に長期に入院をしてしまいまして、以来、退院をしてきますと、今度は外に出ることを非常に嫌うようになりました。
老人性のうつといいますでしょうかね。
かなり認知症も初期から中期の方に、素人判断ですけれども、進んでいるなと。
 でも、近くの接骨院には、けがをする前は随分楽しみに行っていたんです。
それはなぜかといいますと、診療している間、同じ患者同士でコミュニケーションがとれるんですね、同じ年代層の方と話せる、それが非常に楽しくて行っていたんだと私は思うんです。
これから介護予防ということでやる場合には、やはり、こういう高齢者のコミュニケーションのシステムというのは非常に、地域では壊れちゃっているんだと思うんです。
 話は飛びますけれども、私、少し前に、石垣島のすぐ上の竹富島というところに行きました。
竹富島は寝たきり老人がいないんだというお話をいただきました。
それはなぜかというと、やはり地域のコミュニケーションが、皆さんそれぞれ声をかけ合って、ぼけている暇がないようにいろいろな町の事業に声をかけ合って連れ出していくんだと。
これが本当の介護予防ではなかろうかと私は非常に感心をしたんですけれども、今、地域においてこういう仕組みがないということが、やはり非常に問題点があるんだろうと思うんです。
 独居老人の問題とか、外に出ない、いかにこういう予防制度をつくったとしても、なかなかやはり引っ張り出すのは難しい。
だからこそ、もっともっと、身近に行けるそういう施設をやはり今活用すべきだと私は提案をしたいと思います。
 接骨院というのは、やはり非常に、東洋医学かもしれません、西洋医学に比べて厚生労働省の皆さんはうがった見方をしているのかもしれませんけれども、私は、介護に関して、高齢者に対して優しい施設だと思っています。
ぜひ先ほどの検討を、厚生省令第三十七号第五章第二節七十六条、この中に追加を検討することをお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。


 
 
 

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