[126/167] 151 - 参 - 厚生労働委員会 - 3号 平成13年03月22日


○木俣佳丈君
 私の質問はこういうことでございまして、例えば、私は一回腰を痛めました。
大きな病院へ行きまして、レントゲンを撮る、そしてまた触診をしながら、引っ張ったり伸ばしたり注射を打ったり、いろいろしたんですね。
一年間非常に苦しんだ覚えがございます。
 ところが、ある静岡のマッサージの先生がおりまして、この方に診てもらったところ、診てもらったというより手でさわっていただいたところ、ああ、これは三回来れば治るよと、こう言われたんです。
これはすごいものだなと私は思ったんですね。
事実、一時間程度の治療を三回やったらぴたっとそれ以来何の故障もなく今まで来ているというのを私は体験しておりまして、こういった代替医療というものが、例えば、はり、きゅう、マッサージ、それから柔整、そしてまたその他、厚生省の方々はお認めになっていないアロマテラピーとか、こういったものをどう取り込んでいくかということが私は大事だと思うんですが、大臣、再度この重要性についてお伺いしたいんですが。


○国務大臣(坂口力君)
 三回来たら治ると言われてぴたっと三回で治ったというのは、大分暗示にも先生はかかったんじゃないかと思いますが、それはしかし暗示だけではなくて、その効果もあったんだろうということを私もそれは認めることは認めたいと思います。
 しかし、その周辺のところは非常に複雑になっておりまして、いわゆる経験を積み重ねることによって行うところが多いわけでございまして、特に学校でありますとかそういう専門学校のようなところに行かずに、ただ三月とか半年とかというような弟子入りをして、訓練もただ見よう見まねで受けるということだけでおやりになっている人もかなりあるわけでございます。
これらの点を正式に認めるということはなかなか認めがたいところでございますし、しかしそれが全然役に立たないかといえばそうではなくて、先生のように見事に役に立ったところもあるわけでございますから、そこは一概に言いがたいところでございますけれども、やはり専門的な技術として認めていくということになれば、それなりにやはり学校なり、それを職種としても認めて、正確にきちっと訓練をしていくということにしないと、今のような状況の中でそれらをすべて認めていくということはなかなか難しいことではないかというふうに思います。


○木俣佳丈君
 確かに今の状況の中で、代替医療というもの自体が玉石混交というのか、例えば今マッサージの分野一つ挙げても、その効用というのか効能というかについてはまだ一定の確立されたものがないというお答えだったと思うのでございます。
確かに私も、その病院へ行きながらほかのマッサージの方に見てもらって治らなかったんです。
こういう経験を持っておりますので、確かにそういうこともあるとは思います。
 さて、質問したいのは、そういう中で国家資格が例えば鍼灸、柔整についてはあると。
そして、それに対して国費として療養費というんでしょうか、いわゆる治療代について療養費というのをあてがう仕組みがあると。
その中で、鍼灸に対しては毎年大体六十億前後、しかし柔整については二千七百億という極めて大きな差があるわけでございまして、この差はなぜこれだけ大きな差が出てしまうのかなと。
 確かに柔整というのは、諸外国でいう外科に当たるものもございますので、確かに諸外国では外科なんだと。
日本では外科がおくれておるからこの部分で補完するんだと、こういう言い方もあると思うんですが、ならば鍼灸についてなぜこれだけ少額の予算をあてがうのかなと。
この点についてお答えいただけますでしょうか。


○国務大臣(坂口力君)
 後で局長の方から具体的な数字等につきましては答弁をしてもらいたいと思いますが、今、先生が挙げられましたものの中で鍼灸、マッサージ、あるいはいわゆる柔道整復師の皆さん方というのは、これは制度として認められているわけでありますし、それなりの効果というものもあることが認められているわけでありますから、それらを私は否定しているわけではありません。
マッサージはマッサージとしての効用がありますこともこれはもう十分わかっていることでありますから、それらを私は否定しているわけではございません。
 しかし、それ以外にもまだ正式に認められていない分野があるわけでございます。
それらはなかなか判別、どこに入れるのかというのはなかなか難しい面もございますし、それらのところにつきましては経験を積み重ねておやりになっているところが多いし、その辺のところを、だからといってそれを全部認めていくわけにはなかなかいかないのではないかということを申し上げたわけでございます。
 あとはちょっと数字は局長の方から。


○政府参考人(大塚義治君)
 ただいまお示しの金額は、恐らく公的な保険、健康保険などでございますけれども、による給付の額をお示しだったと思います。
 公的な保険制度の対象になるかどうかにつきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、その治療効果なり、療術あるいは技術の定義、あるいはそれに関する医学的評価が確立されているかどうかということで医療保険の対象になるかどうかというのが目安になるということになるわけでございますが、ただいまの柔道整復あるいは鍼灸、マッサージに関連して申し上げますと、いずれも医師の同意のもとに施術される場合にこれを保険給付の対象となるという整理になっておりまして、例えば柔道整復で申し上げますと、骨折でありますとか捻挫を対象に中心的な施術が行われますし、一方、あんま、鍼灸のようなケースにつきましては、他の代替的な治療でなかなか有効な効果が見られない場合に医師の判断、同意のもとに行われる、こういう仕組みになっております。
 そういう実態から結果的にお示しのような数字になっておるということでございまして、一定の制限なり特別の助成なりということではございませんで、利用者と施術者そして医師の相互の関係で委員お示しのような数字になっている、こういうことだろうと考えております。


○木俣佳丈君
 いえいえ、そういうことを言っているのではなくて、今、大臣お答えになったように、柔整にしても鍼灸にしても国家資格がある。
ですから効用については認められている。
マッサージも一定限度の効用については認めている、これはいいと。
 しかし、その予算額が、要はあてがう療養費、これは厚生省用語では償還払いの療養費と言うんですか、これが要は六十億と二千七百億と大きく差が出るわけですよ。
だから、この点については、局長、どういうふうな見解をお持ちでしょうか。


○政府参考人(大塚義治君)
 先生、予算額というふうにお話しでございましたが、これはいわば保険給付として給付をされました実績でございます。
したがいまして、あらかじめこういう枠で幾らと、こう決めておるわけではございませんで、先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますけれども、患者さんと医師と、それから施術をする柔道整復なり鍼灸なり、その関係で実績としてお示しのような数字になっている、こういうことはあらかじめ枠があるわけではございません。


○木俣佳丈君
 わかりました。
 ただ、要するに対象疾患、要するに給付される病状が非常に狭いということで、結局鍼灸の効果は認めていながらもなかなか使い勝手が悪いんではないかと、こういうことを申したいわけなんですが、いかがですか。


○政府参考人(大塚義治君)
 これは先ほど申し上げましたいわば保険給付の対象とする範囲の基本的な考え方に関する御指摘だろうと思います。
 やはり今日確立された医学的な評価の面から考えまして、どの範囲を公的な保険給付の対象とするかどうかという議論に係るわけでございまして、柔道整復にいたしましても鍼灸にいたしましても、現状における医学的な知見から申しますと、医師の同意のもとに一定の範囲で保険給付の対象にするのが適当というのが今日の考え方でございます。
そういう整理になっているということでございます。


○木俣佳丈君
 先ほどから申しますように、やはり保険給付の範囲ではあるけれども、しかし、いわゆる西洋医学というか、そういう病院でできないところをどうやって代替していくかというのが費用の削減につながると思いますので、一層の検討を図っていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。


○国務大臣(坂口力君)
 これから健康の問題が非常に重要になりますし、高齢者がふえてくるということもありますから、さらにそうした骨格あるいはまた筋肉あるいは関節等々に対する問題というのはふえてくるんではないかというふうに思います。
 そうした中で、今までありますそうした医療及び医療周辺の領域というのは、やはり一度整理をして検討しなければならないときが近づいているのかもしれない、私もそんな気持ちがしないではありません。
現状のような状況で、これからそのままにしておいていいのかどうかということはやはり一遍検討しなきゃならないときがあるんだろうというふうに思っております。
 そうした意味で、先生の御主張も十分に拝聴しながらこれからやっていきたいと思います。


○木俣佳丈君
 続いて、アロマテラピーについて、香りの診療というかについて伺いますが、これについては今のところ、大臣、御所見、この効用等については政府としてどのようにお考えでしょうか。


○政府参考人(伊藤雅治君)
 アロマテラピーでございますが、私ども厚生労働省といたしまして、平成九年度の厚生科学研究費補助金により行った研究がございます。
この研究によりますと、結論から申し上げますと、一定の香りのある環境での休憩が作業能率の低下の抑制に有効であったというような報告がなされております。
 これは、健康な大学生四十六人を四つのグループに分けまして、一日作業をしないグループ、作業をするが休息時に香りのない部屋で過ごすグループ、作業をして休息時にジャスミンの香りの部屋で過ごすグループ、作業をして休息時にラベンダーの香りの部屋で過ごすグループ、この四群を比較していろいろ医学的な検討を加えた結果、ラベンダーの環境下で過ごしたグループについて作業能率の低下に対する抑制効果があったという報告でございます。
 しかしながら、まだ非常にこのような文献が少ないわけでございまして、さらに今後、医学の治療目的ということになりますと、まだその効果はほとんどわかっていないというのが現状でございます。
したがいまして、アロマテラピーの我が国におきます医学的効果については、まだまだ根拠が整っていないのではないかという判断でございます。


○木俣佳丈君
 我が党の議員が出した主意書にも全く同じ答えが書いてございましたけれども、諸外国、特にイギリスあたりでは、アロマテラピーの効果というのを大と見ているという報告書がございますが、これは確かでございますか。


○政府参考人(伊藤雅治君)
 御指摘のイギリスのやり方につきましては研究をさせていただきたいと思います。


○木俣佳丈君
 いえ、研究していると思うんですが。特に、いわゆる代替医療、先ほどの鍼灸とかそういうのも含めたものだと思うんですが、私が持っている文献では、アロマテラピーだけではございませんが、代替医療全般にイギリス人の五人に一人が一年間に一回は受けているということでございまして、特にその第二位にアロマテラピーというのが挙げられているということであります。
 一定期間見た上でその効果、効用、効能というものをというお答えだったと思うんですが、一定期間というのは今大体どのぐらいをお考えでいらっしゃいますか。


○政府参考人(伊藤雅治君)
 確かにアロマテラピーにつきましては、先ほど申し上げました疲労に対する作業能率の低下に対する抑制効果というようなことがあるんですが、これを医学的な、つまり病気の治療に使うということになりますと、それぞれの病気によりまして期間は必ずしも一定じゃないわけでございますが、それをきちんと二つのグループに分けましてその効果を検証していくということになりますと、特に生活習慣病などに関しましてはかなり長い期間の観察というか研究が必要になってくるというふうにも考えられまして、どれくらいの期間の観察が必要かということについては一律に申し上げることはできないのではないかと思います。


○木俣佳丈君
 大臣にちょっと伺いたいのですが、最近処方が認められたバイアグラという薬がございますが、これはかなり早くこの効能について認めたと私は思うんですね。
何か特別な背景があるのかなと。もちろんこれは保険からはおりないということではありますが、これはもちろん代替医療ということではございませんけれども、例えば縮めていけばかなり縮まるのではないのかなと。
 かなりの方々、例えばイギリスの五人に一人が一年にアロマテラピー等々をやって、効能を期待して、しかも非常にターミナルケアのところでも鎮静化するという、期待以上のものが、精神的なもの以上のものがあって実施をされているのに、なぜ日本はいつもいつも後手後手になってしまうのかなと思うんですが、大臣、どうでしょうか。
バイアグラの例ではないんですが、早めて、大臣が大臣でいらっしゃる間にぜひ結論を出していただくというわけにいかないですか。


○国務大臣(坂口力君)
 今述べられましたアロマテラピーとバイアグラとは大分違うと思いますが、アロマテラピーの方は局長から述べましたようにいろいろな研究もしているということでありますから、これが本当に医療に対する効果が十分あるということになれば、例えば今まで薬を飲んでいた、しかし薬を飲むよりもこの方が効果がある、全部の人がなくてもある一部の人には効果があるというようなことが出るとか、そういうことになりましたら、それは私は非常に前進するんではないかというふうに思いますけれども、やはりこれだけでその効果が不十分、ほかのことの補助作用として補助的にこれを用いるという程度のことでありましたら、なかなか医療保険の適用というところまでは行きにくいのではないか。
 ほかの分野もいろいろ最近ございまして、こういう部分を保険適用にならないかというような部分もたくさんあるわけでございますが、やはりこういう全体の医療の事情でもございますし、医療費を節減していかなけりゃならないという状況の中でもございますので、せっかくの先生のお申し出ではございますけれども、いかににおいでも、それだけで効果を見て保険適用にできるかというのは私は若干疑問でございますけれども、私は十分な知識がない上で疑問だということを述べて大変申しわけないのですが、先ほどの局長の答弁以上にはなかなか出にくいと思います。


○木俣佳丈君
 いつ内閣がかわってしまうのかわからないわけでございますので大臣もお答えしにくいかもしれませんけれども、やはり政府の継続性というか、これは国家の継続性という意味からも、引き継ぎ事項の中にきちっと取り入れていただきたいと思うんですが、再度、短くお答えいただきたいのですが。


○国務大臣(坂口力君)
 それはそういう御主張があったことは伝えていきたいと思います。


 
 
 

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